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フラれたショックで侯爵令息から海賊の頭目になったんだが ドタバタワイワイまあ楽しいのかもしれない  作者: 水渕成分


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63 ホランとイース全面戦争へ

 ホラン王国海軍第二第三第四艦隊はイース王国イースタンプトン港沖合で日没を待ち、更にイースタンプトンの街並みの灯火が消えるのを待った。


 街は静かだ。どうやらアドルフ宰相兼海軍大臣の言ったとおり、ホラン王国海軍の来寇は察知されていないらしい。


 驚いたことにイース王国海軍も三つの艦隊を持っているはずだが、シップ、ガレオンからなる戦闘艦はその姿を見ることはなかった。外洋で演習しているのか、商船隊の護衛に出ているのか、それは分からない。とにかく港の片隅に何隻かの商船(キャラック)が停泊しているのみである。


 いずれも貴族であり、多少の魔法力を持つホラン王国海軍第二第三第四艦隊の司令官たちは念話で話し合った。


「どう思う?」

「奇襲をかけ、港周辺の街を焼き払い、そのまま王宮に進撃せよという指令を考えれば、驚くほどの好条件だ」

「それだけにイース王国(相手方)の罠ではないかという気持ちもある」


 通常の精神状態であれば、三人の艦隊司令官はもう少し事前偵察に力を入れたかもしれない。但し、今の三人の精神状態は通常ではない。


 彼ら三人が恐れるもの。それはイース王国(相手方)の罠にはまることより、絶好の攻撃の機会がありながら、それをむざむざ見送ったことからくるアドルフ宰相兼海軍大臣の叱責及び処断だ。


「やるしかないな」

「大丈夫。戦力はホラン王国(こちら)が上だ」

「アドルフ宰相兼海軍大臣が言った『イース王国はホラン王国(われわれ)の攻撃計画を察知していない』はきっと正しい」


 ホラン王国の三つの艦隊は抜錨し、イースタンプトン港に向けて突進した。そのまま強行上陸、街を焼き払い、王宮に進撃、占拠する。


 今はそれをやるしかない。


 ◇◇◇


「来たな」


「来ましたね」


 ジェフリーとアミリアは顔を見合わせた。


「それにしても驚いた。アドルフがエリザと婚約破棄してまで結婚したホラン王国の第一王女の正体が魔族(デーモン)だったとは」


「アドルフは前国王(父上)を言いくるめて、エリザ姉さまと婚約したのに、それをあっさり破棄したのは、魔族(デーモン)の魔力に魅入られて、何が何でも結婚したくなったのかもしれません。今それを言っても仕方のないことですが」


ジェフリー(こっち)はアドルフの女房が魔族(デーモン)だなんて知らないからな。アドルフ挑発して『クローブ』と『ナツメグ』をちょびっともらったら、逆恨みされて、今回で三度目の攻撃を受けることになったか」


「理由はそれだけじゃないですよ」

 アミリアは溜息を吐く。

「もともと魔族(デーモン)の最終目的は人間(ヒューマン)亜人デミヒューマンをいがみ合わせ、その上に立って、世界を支配することです。人間(ヒューマン)亜人デミヒューマンが何の差別もなく、普通に暮らすアトリ諸島(ここ)は許しがたい存在なのでしょう」


「そう言われても人間(こっち)魔族(向こう)の都合に合わせて、亜人デミヒューマンとケンカなんてしてられないしな」


「その通りです。もう一つ言うと亡くなったリチャード兄さまも魔族(デーモン)の野望を嫌って、殲滅しましたからね。その異母妹(いもうと)アミリア()のことも恨んでいるでしょう」


「まあいずれは決着をつけなければならないってことだったわけだ。向こうも今回は本気も本気だ。気配で見るにシップ二隻のガレオン四隻。間違いなく世界最強の艦隊だわ。艦隊戦に持ち込んだらまず勝ち目はない」


「ホラン王国の第一艦隊ですね」


「ああ、しかも今回きついのは指揮を執るのが今までのように魔族(デーモン)じゃなくてアドルフだってことだな」


「それは?」


魔族(デーモン)の指揮ならとにかく一直線に攻め込んできたから、相手の方が数が多くても対応できた。だが今度はアドルフが指揮を執るだろう。今までのようなわけにはいくまいな」


「厳しいですか?」


「ああ。厳しい」


 ◇◇◇


 ホラン王国内部の実情はエリザやオズヴァルドの構築した情報網により、概略は把握されていた。


 更にブルーノ男爵たちのようにアドルフたちの誅殺を恐れて亡命してきたホラン王国貴族たちにより情報はより正確な形になった。


「ホラン王国によるイース王国攻撃はそう遠くない日に行われる」

魔族(デーモン)である第一王女レオニーがホラン王国の摂政になり、アドルフが宰相兼海軍大臣に就任した。この二人はジェフリーとアミリアのことを相当恨んでいる。アトリ諸島は徹底的にやられる」


 この二つは確実視されていて、ジェフリーも防備を整えてきた。


 但し、それをもってしてもアドルフの指揮するホラン王国第一艦隊が今までにない強大な敵であることには変わりなかった。


 ◇◇◇


 ズドーンズドーンズトーン


(これだよ)。

 ジェフリーは思う。

(今まで魔族(デーモン)が指揮執ってた時は距離取って砲撃なんてしてこなかった。こっちの砲撃を受けてボロボロになって突っ込んできた。こういう戦法を取ってくるだけでも手強い)。


 もちろんジェフリーも海岸線に石垣を築く、アトリ・デ・マリ商会経由で大砲を購入するといった対策を講じてきた。しかし、付け焼き刃なのは否めない。


(逆に言うと魔族(デーモン)の指揮じゃないから砲弾に魔法力を付加しなくてもいいというのもあるが、これでは双方が決め手を欠く。長期戦になる。そうなると相手の方が先に砲弾切れになることもあるが、そんなことはアドルフも承知のはずだ)。


次回第64話「ジェフリーたちにとって状況は最悪」

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― 新着の感想 ―
[一言] 天王山ですね( ˘ω˘ )
[一言] 長期戦になれば、第一艦隊がカギになりますかね (。´・ω・)?
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