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フラれたショックで侯爵令息から海賊の頭目になったんだが ドタバタワイワイまあ楽しいのかもしれない  作者: 水渕成分


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41 ンジャメナ姉は戦闘バカ

「怨霊たちよ。ジェフリーとその一味に殺された怨霊たちよ。そして、ガシェウの海で無念の死を遂げた者たちよ。我が魔力を分け与えよう。甦り、ジェフリーとその一味を皆殺しにするのだ」


(魔力を分け与える?)


「ふふふふ。はあっはっはっ」


 その美貌に似つかわぬ高笑いを続けるレオニー。


 アドルフは深い絶望感を覚え、その場を離れた。


 今さっき目の当たりにした光景をアドルフは信じられなかった。いや、信じたくなかった。

レオニー()魔族(デーモン)? 馬鹿な。そんな馬鹿な。あんな美しい者が魔族(デーモン)であるはずなどない)


 ◇◇◇


 ガシェウ港に再度向かった主力メンバーはジェフリー、アミリア、フラーヴィア、エンリコ、ンジャメナ、ノアである。それにガラス玉を紹介する関係上、ルポポも加わった。長老は留守番である。


(さて)

 ジェフリーは考え込んだ。

(最初はガシェウ港の周辺に住んでいるエルフの部族との交渉だな。ジェフリー()たちは奴隷商人じゃないから、奴隷は買わないし、小銃も売らない。代わりにカカオ豆を買い、ガラス玉を売る。この辺の交渉はエンリコとルポポに任せた方がよさそうだな)。


(問題はガシェウ港の周辺に住んでいるエルフの部族は相当他のエルフの部族の恨み買ってるからなあ。何しろ同族を小銃と引き換えに奴隷として売ってたんだからな。ンジャメナも思うことあるだろうし。当面は接触させない方がいい。後はあいつらが奴隷売ることから足を洗えるかどうかどうかだな。ここまでしてやって足洗えないようなら、それこそンジャメナも収まらないだろうし)。


 ガシェウ港の周辺に住んでいるエルフの部族との交渉は取りあえずフラーヴィアをリーダーにエンリコとルポポを付け、ジェフリーたちは宿で待機することにした。


 ◇◇◇


 夕方、フラーヴィアをリーダーとしたチームは帰ってきた。


 エンリコは満面の笑みである。

ジェフリー(お頭)。相手方、ガラス玉に興味津々ですぜ。奴隷売る奴とは取引しない。カカオ豆売る奴としか取引しないと言ったら、もう絶対奴隷売らないと宣誓書出しました。これからカカオ豆取りまくるそうです」


「奴隷売るのを止めてくれるのはいいが、大丈夫か? その調子だとカカオ豆取り尽くしてまた争いの種にならないか?」


「それは大丈夫です」

 フラーヴィアがフォローする。

「今回交渉した相手はンジャメナたち森エルフとは違うグレイエルフですが、もともとエルフは植物栽培が得意です。恒久的な取引したいなら、採取ばかりでなく、栽培もしないとと言ったらちゃんと頷いてました」


「なるほど」

 ジェフリーは感心する。

「さすがは商人だ。任せて大正解だったな」


「へっへー」

 エンリコはドヤ顔だ。

ジェフリー(お頭)。カカオ豆とガラス玉の交易がもたらす収益は凄いもんになりますぜ。但し……その分、他の国軍や海賊に狙われる確率も跳ね上がりますが」


「ああ」

 ジェフリーは頷いた。

「防衛体制を強化しないとな」


 ◇◇◇


「とにかくフラーヴィアとエンリコにルポポ。お疲れ様でした。次はンジャメナさんのお姉さんの救出だけど、それはアミリア()たちでやります」

 

 アミリアの言葉にンジャメナはおずおずと返す。

「『救出』と言うより『説得』になりそうなんですが。それで申し訳ないんですが、現地への案内はンジャメナ()がしますが、森に向かう時はジェフリー(お頭)アミリア(王女)様に先頭を歩いてほしいのですが」


「何故ですか?」


「ンマゾネス姉さんがいきなり矢を放ってくる懸念があります。ジェフリーとアミリア(お二人)にはあらかじめ『精霊の守り』と『身体強化』の魔法をかけておいてもらって」


「そんなに凄いのですか?」


「ンマゾネス姉さんが放つ矢の衝撃力はンジャメナ()の五倍、射程距離は三倍です」


「! 何ですか? それ?」


「だから、普通の者が先頭を歩くとンマゾネス姉さんに即座に射殺される危険があります。ジェフリーとアミリア(お二人)なら何とかなるかと」


「あの、そんなに凄いのに何でンジャメナさんたちは捕まっちゃったのですか?」


「はあ」

 ンジャメナは額に右手の平を当て、溜息をついてから答える。

「ンマゾネス姉さんは『戦闘バカ』なんです」


「『戦闘バカ』ですか?」


「挑発してきた相手をいつまでも追撃しているうちに、ガラ空きの森を狙われ、ンジャメナ()たちは捕まっちゃったんです」


「……」


「ともかくそういうわけでジェフリーとアミリア(お二人)が先頭を歩いていただくようお願いします。ンマゾネス姉さんが矢を撃ってきたら、ンジャメナ()に『拡声』の魔法をかけてください。説得してみます」


(何か凄いことになってきたなあ)。

 ンジャメナとアミリアの会話を端で聞いていて、ジェフリーは他人事のようにそう思った。


  ◇◇◇


 ガシェウ港の周辺に「人間(ヒューマン)」たちが住む小さな町がある。その周辺の草原にグレイエルフたちが住む。そして、更にその外周に森林がある。そこにンジャメナたち森エルフの部族は生活していた。


 もともとグレイエルフと森エルフは産物の交易などして平和に暮らしていたが、奴隷商人がグレイエルフに小銃を卸し、代わりに奴隷を求めてから流れは変わった。


次回第42話「戦闘は一流 恋愛はヘタレ」

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[一言] 脳筋女子きゃわわ( ˘ω˘ )
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