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フラれたショックで侯爵令息から海賊の頭目になったんだが ドタバタワイワイまあ楽しいのかもしれない  作者: 水渕成分


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27 お頭は変態であると認識されている

「おまえら、いい加減にしろっ!」

 不意にジェフリーが立ち上がる。

「黙って聞いてりゃ、嫁入り前の娘が何だっ! 『寝室で勝負』だあ。いい加減にしろっ!」


「「後でジェフリー(あなた)のところにお嫁入りすればいいじゃないですかー」」


「ええいっ、ハモって言うなっ! 片や国王の実の妹。もう片方は伝説の大商人の孫娘。自分の身分を何だと思ってやがるっ! 軽々しく海賊の頭目にお嫁入りするなんて言うんじゃないっ! もっと自分を大切にしろっ!」


「ジェフリー兄さまだって元侯爵令息じゃないですかあ」

「今は海賊の頭目かもしれませんが、アトリ諸島(ここ)ジェフリー(あなた)の可能性は無限大です。フラーヴィア()的には買い以外の何物でもありません」


「やかましいっ! 二人がかりで言うなっ! ええいっ! 睡眠っ!」


「グー」

「グー」


(ふいー)

 ジェフリーは崩れ落ちそうな二人をベッドに乗せ、一息ついた。

(こんな二人そろって出るところ出やがって、もう。これでサウタの娼館行くなは地獄だぜ)


(これでジェフリー()が応接で寝るとしても、こいつらが途中で起き出して扉ガンガン叩かれてもたまらん。アミリアの家が空いているからそこで寝るか)


 ◇◇◇ 

 

(それにしてもアミリアもフラーヴィアも経済感覚は抜群なのに、どうして色恋沙汰になると子どもみたいになっちゃうのかね)

 そんなことを考えながらジェフリーは頭目の館の扉を開ける。


 ざわっ


 一面のざわめき。そこには海賊団員とエルフ全員が様子を窺っていた。


「なっ、何だ? おめえらっ?」


 海賊団員はジェフリーのその問いには答えず、逆に質問してきた。

「お頭。もう終わったんですかい?」

「二人相手に一発ずつにしても早いっすね」

「お頭は早撃ちですか?」

「二人とも満足しているんすか?」


「やかましいっ! ジェフリー()は二人に手を出しちゃいねえっ! 睡眠魔法で眠らせるだけだっ!」


「え? 睡眠魔法で眠らせてからヤッたんですかい?」


「何でそうなる? 二人ともただ眠らせただけだっ! ヤッちゃいねえっ!」


 ざわざわざわ


 今度はエルフたちがざわめきだす。いやな予感しかしないがジェフリーは問うた。

「ンジャメナ。エルフたち(みんな)何て言っているのだ?」


「はっはあ。結局、お頭はアミリア様とフラーヴィアさんのどっちを選んだのかと言っています。『アミリア様応援団』としてはアミリア様を選んでほしいと」


「はあ~」

 ジェフリーは右手の平で額を押さえ、溜息を吐いた。

「あのね。そういう問題じゃないの。ジェフリー()どっちにも手出してないからね。もう一人で寝るから。そう伝えて」


 ブーッ


 エルフたちのブーイングを背にアミリアの家に向かうジェフリー。


「お頭。どこへ行くんで?」


頭目の館(俺の家)でアミリアとフラーヴィアが寝ちまったからな。ジェフリー()がアミリアの家で寝るわ」


「え? お頭。アミリア(姐さん)の家に泊まるんですかい?」

「普段アミリア(姐さん)が寝ている布団で匂いかぎながら寝るんですかい?」

「匂いかぐのはいいですけど、嘗めちゃいかんですよ」


ジェフリー()は変態かっ? アミリアの家と言ってもソファーで寝るぞっ! ベッドでなんか寝るかっ!」


 ジェフリーはアミリアの家の扉を内側から閉め、阻塞(バリケード)の魔法をかけると一息ついた。

(全く。どいつもこいつも)


 ◇◇◇


 その町マルシェは住民の殆どがミスラル教徒だった。


 その教義上、女性はみな布地の大きい服を身にまとい、肌は極力見せないようにしている。


 ところがその金髪碧眼の女は惜しげもなく両腕、両足、腹部をさらしている。


 そして歩いているところと言えば、内海の港町ではもっとも治安が良くないとされ、海賊の巣とも呼ばれるマルシェの、しかもダウンタウン。


 夜だったら即座に強姦されても仕方がない状況だが、昼間であり、逆に女があまりに堂々としているので、チンピラたちも手を出しかねた。


 手を出しかねたということは逆に幸いだった。手を出したら間違いなくろくな目に遭わなかったであろう。


 ◇◇◇


「ここね」

 その女レオニーは迷いもせず、その古ぼけた建物の扉を開いた。


「!」

 建物のなかにたむろしていた十人ほどの荒くれ男どもは目をむいた。

「なっ何だあ?」

「おっ、女あ?」

「てめえどういうつもりだ?」

「娼婦か? ここに入るんじゃあねえっ! 客がほしけりゃこっちから行ってやるっ! どこの娼館だ?」


「うるさいわね。雑魚(ざこ)に用はないのよ」

 その言葉とともにレオニーの碧眼のうち左眼が金色に光った。


「うっ」

「うおっ」

「ふうう」

 荒くれ男どもはその場に崩れ落ちた。


 レオニーは崩れ落ちた男どもを吟味する。

「うーん。どれもこれも汚い男ばかりね。仕方がない。一番若そうなあんたでいいわ。ちょっと来て」


「はい。お嬢様」

 指名された男がフラフラと立ち上がる。


「いい子ね。ここの頭目のところまで案内して。ちゃんと出来たらあんたにもちょっとはいいことしてあげるよ」


「はい。お嬢様」


 

次回第28話「アトリ諸島に危機迫る」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「何で子供みたいになっちゃうのかね」って……そりゃアンタのせいですよ、と思わずツッコミたくなります。 そう言いたくなるほど、いつの間にかキャラに馴染み、距離が近くなる描写、お見事! ジェ…
[一言] レオニー怖ッ!w
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