第2章直前 キャラクター紹介・情報まとめ
まだ第2章を連続投稿できる準備が整った訳ではありませんが、とりあえずキャラ紹介と情報のまとめだけ。本編では紹介していないところまで詳しく解説されているキャラもいます。
★メイン、幼馴染組の六人は特に詳しく書いてます。メイン以外のキャラはそんなに長くならないよう心がけているつもりなので、「ウッ長ッ!」と思われた方も少しスクロールすれば安心すると思います。
1.
■神明 蓮 (レン・ジンメイ)
今作の主人公。
水竜メロアが統治するメロアラントに生まれ育った、十八歳の少年。身長がギリギリ百七十センチに満たないことが密かな悩み。
少年と表記こそすれ、前作における竜の時代九八一年から移り変わって、黄昏の時代六年においては十八歳からが成人となる。
水色の髪を脱色させ、白くしている。また、ファッションとしてわざと毛束を散らばらせている。青目。
四華族の人間でこそないが、水の初代龍ゼーレナ、そしてその弟子であったメロアの両名に加護を受けた始祖を持つ家系であり、由緒正しい家柄だと言える。
師匠である功牙より「まるでアラロマフ・ドールの本代だ」と評されるほどの類まれなる身体能力と剣才に加え、目にしたものの本質や嘘を暴く“心眼”を持つ。
出自のためか≪クラフトアークス≫の扱いにも秀でており、水翼が特有の形状変化を遂げた状態である、≪クローズドウォーター≫を自力で発現させた。
と、物語スタート時点で比べると前作主人公が可哀そうに思えてくるレベルで、色々と持ちすぎな主人公。
生き別れの兄であるマモル・ジンメイの無事を確認したい、そしてその兄に家の跡取りとなってもらい、自分は幼馴染である千草と結ばれたい。
その為には現在結ばれているエリナとの婚約をなんとか穏便に破棄する必要がある。それを抜きにしてもできれば他国で武功を挙げ、騎士やそれ以上の爵位も得られるなら得たい(爵位に関しては蓮本人というより、エドガーが蓮に対して期待している内容だが)。
また、世界を旅すること自体も楽しみたいし、千年前から続く世界の秘密の全てを解き明かしたい探求心もある。割と向上心があり、野心家なのかもしれない。
……と、旅においての目的は色々とあるが、生き別れの兄を心配している気持ちに嘘偽りはない。
戦闘においてはスピードタイプ。左腰に長い刀と短い刀を一本ずつ下げており、基本は一刀で戦い、必要があれば二刀流を選ぶ。
師匠からは様々な状況に柔軟に対応する術を学んでいるため、二刀流に拘りすぎない。また、長刀と短刀はそれぞれどちらの手に握っても有効に扱える。
クレバー(利口な、ずる賢い)な戦い方を躊躇なく選ぶため、それに成すすべなく敗北を喫する周囲の学生からは嫌われがち。だが、それが師匠に評価されている現状、本人はあまり気にしていないようだ。
実は、前作のうちから二回くらい名前だけで登場していた(守のモノローグなど)。が、それだけで蓮が次回作の主人公になると予想できていた読者はおるまい。というかいたら怖いわ。作者としては「守の弟、蓮を次回作の主人公にしよう」という考えを常に持ちながらグロニクルを執筆していた。
★TIPS★ 四華族
約三百年前、魔王レメテシアとの戦いにおいて水竜メロアから力を受け取り、功を立てた一族の末裔。
外見的特徴としては、東陽人と帝国人のどちらのものが出てもおかしくはない。
蛍光院家が最も力を持ち、メロアラントの顔と言ってもいい。現在は国全体の統治(メロアの補佐)と外交、観光業の担当がメイン。最も大きな力を持つに至った経緯としては、やはり帝国の権力からの独立を強く誇示するためにも、清流人由来である漢字の姓を持つ家系をトップに据えておくべきだという、清流人たちの共通認識によるものだろう。
蛍光院以下は明確に序列がある訳では無いが、オールブライト家が実質の二位である。こちらは帝国の血筋を定期的に取り入れ続け、懇意にし続けることで帝国の横暴からメロアラントを守り続けている。そんな防波堤としてのオールブライト家は、メロアラントの民衆からの信頼が非常に厚い。メロアラント内に住む帝国人をサポートするための、総領事館の運営がメイン。
曙家、リヴィングストン家には、代々受け継がれている役割はこれといって存在しない。基本的に上の二家の補助的な役割を務める。第一次産業、第二次産業、第三次産業にバランスよく着手している。水竜メロアが太鼓判を押すエリナがいるため、リヴィングストン家と水竜教会の結びつきは、これから強くなっていくと思われる。
2.
■曙 千草 (チグサ・アケボノ)
今作のメインヒロイン。
全方位攻略済み乙女ゲーヒロイン系兼、後輩系兼、妹系女子。盛りすぎじゃないか?
純真でありながら小悪魔な一面もある、十七歳の少女。美形設定はそこそこ(かわいい系)。身長は平均の僅かに下。
名前の由来ともなった千草色のセミロングヘアに、白いカチューシャがトレードマーク。青目。
幼馴染組の中で唯一の未成年となる。
三年前までは蓮と両想いの関係にあったが、親の都合で別れさせられている。毒親かァ~?
困っている人間を放っておけず、面倒事に首を突っ込みまくるタイプ。それによって全方位を攻略した経緯がある。が、蓮を評価しない人間に対しては攻撃的になることも。
ピースさえ揃えば容易く世界の秘密にも迫ってしまうほどに頭が良く、勘もいい。物語における探偵役を務める。自身の恋愛方面においてはお馬鹿になるのはご愛嬌。
現在は蓮とエリナが婚約関係にあるが、それを邪魔しようとしたことは一度もない。エリナの前では蓮から少し距離を置くそぶりが目立つ。
天真爛漫な態度が素の状態だが、求められればお嬢様モードに入ることが出来る。
「~っす」という語尾は、楽しい気分の時にふざけて言う程度。常時こればっかりだと、作者からしてもキャラ付けがくどくなりそうな気がしたので。
家系による経歴のせいか荒事慣れしており、勝負度胸がある。そのため、非力な者でも扱いやすい武器(拳銃など)を持たせてやれば活躍できる。と言っても、現時点でもその辺の学生よりは充分に身体能力は高い。
3.
■曙 敦也 (アツヤ・アケボノ)
メインヒロインの兄。
非情に体格が良く、フィジカルに優れた十八歳の少年。
清流人らしい青い髪(濃いめ)。短髪寄り。黒目。
幼馴染組と行動している際は粗暴な態度や言葉遣いが目立つが、実際は大人しめで、真人間寄り。
武道においては幼少の頃こそ負けなしだったが、蓮が実力をつけてからは負け続きとなっているため、周囲からは中々理解されない劣等感を抱えている(周囲にしてみれば、彼も文句なしにエリートなため)。
蓮とエリナの婚約によって、妹である千草が精神的に消耗させられていることを知っているため、蓮とエリナに対する最近の心証は悪い。
4.
■エリナ・リヴィングストン
少しクールめのシスター。正確に言うと、シスターより上位のプリースティス。
神秘的な雰囲気を持つ、表情を読みにくい少女。十八歳。美形設定は強め(美しい系)。身長は平均的。
腰まで伸ばした鮮やかな金髪に、翠緑の瞳。
水竜メロアの眷属に与えられる≪クラフトアークス≫、水翼への適性が非常に高く、現在のメロアラントでは最大の使い手だともっぱらの噂。
その関係で、実家を出ているという訳ではないが、水竜教会に籍を置いているに近い状態にある。
彼女の存在が、リヴィングストン家と水竜教会の結びつきを強めた要因である。
大人しく儚げにも見えるが、意思はかなり強いタイプ。古い慣習のせいもあってか、初見の吸血鬼に対しては攻撃的な態度を取ってしまった。
現在は蓮の婚約者となっているが、どちらからも恋愛感情は存在しないようだ。
5.
■エドガー・オールブライト
外国人顔の貴公子。美形設定は強め(カッコイイ系)。
敦也に迫るほどの立派な体格に、真ん中からかき上げるように分けられた燃えるような赤毛と、翠眼。デル人の特徴が強い十九歳。
デルに移り住んだオールブライト家の分家に不幸がおきた後、本家に引き取られたらしい。
現在では、思考や好みは完全に清流人としての色に染まっている。
真面目でコミュニケーション能力に優れ、蓮たち幼馴染組における兄貴分。
それは同時に、苦労人であることを意味している。
6.
■蛍光院 美涼 (ミスズ・ケイコウイン)
メロアラントが誇る最上位の姫。美形設定は強め(美しい系)。身長高め。
水色のロングヘアをツインテールにすることが多い。
リンドホルム学園での学園生活においては数多のお嬢様を束ねるヌシ・お嬢様であり、ボロを出すようなことは決してない。
快活で姉御肌なのが素の性格であり、千草を特に気に掛けている。
メロアラントにて最も尊ばれる家柄であり、それ故に自身には結婚相手を選ぶ権利がないことを嘆いている。
自覚はないが、蓮に対して憧れを持っている。
★その他の登場人物
7.
■宝竜 功牙 (コウガ・ホウリュウ)
蓮の師匠である男性。
水竜メロアの姉であるもう一体の水の龍、魔王レメテシアの直系となる。
卓越した剣士であり、≪クラフトアークス≫の扱いにも優れる。メロアを元にした水翼とは似て非なる≪クラフトアークス≫を扱うことがあるように見えるのは、その身に流れるレメテシアの血に由来するものだろうか?
かつては冒険者ギルドに籍を置いており、大暴れしていたらしい。
その当時は粗暴な態度を隠す技術が無かったため、常識を身に付けた今となっては、そうした過去を弟子たちに知られたくない様子。
傭兵ギルドにも知り合いが多くいる。
前作にも同じ苗字の人物が登場していたが……?
8.
■コリンナ
傭兵ギルドの受付嬢。割と新参らしい。
地味に同一人物が前作でも端役として登場していたが、出番はとんでもなく一瞬だけなので、恐らく覚えている読者は一人もいない。わざわざこのキャラを探す為に読み返すほどでもない。
9.
■モーリス
Aランク傭兵。額にバンダナを巻いた傭兵。男性。元レンジャーで弓使い。
10.
■カトリーナ
Aランク傭兵。中装に身を包んだ傭兵。女性。大剣使い。
11.
■ガーランド
Sランク傭兵。クラン≪黒妖犬≫の片割れ。黒い鉢金を始めとした、黒備えのコスチュームに身を包んだ男性。
高位の傭兵にありがちな二つ名だが、彼のそれはまだ不明である。
右手は長剣を握る為に器用さを高めた薄手の籠手のみ。
左手にはごつい白色のガントレットを装着している。魔道具であり、何らかの魔法によって握ったものを粉々にしてしまう。
勿論、魔法を発動させないこともできるので、日常生活を送る上で左手では何も掴まないように努力が必要……なんてことはない。
彼をよく知らない者からは「魔道具ありきの実力だ」と揶揄されることもあるが、彼自身は気にしていない。
12.
■ビルギッタ・バーリ
2023年1月のイラスト(この時はそこまで頑張って描いてないのはあるが……)
2025年2月のイラスト(オイ絵柄変わりすぎだろ! これが一週間以上掛けた今の全力)
Sランク傭兵。クラン≪黒妖犬≫の片割れ。ガーランドと同様に黒備えの装備かつ、ガーランドよりも更に軽装の女性。
見る者を魅了してしまう美貌を持つ魔人であり、吸血鬼。
少々以上に荒っぽさを窺わせる人物であり、功牙に「ビティ」という愛称で呼ばれた際はブチ切れた。
猛犬による噛みつきを防止するためのマズルのようなもので口元を覆っているのは、「人間に敵対する意思はありません」というアピールだと思われる。
どの程度がっちりと固定されていて、それを外すまでにどれだけの工程が必要なのかは不明。格子状なので、ストローを差し入れることで水分は補給できる。
傭兵たちの間では≪影縫いのビルギッタ≫という二つ名で有名。
二つ名の通り、吸血鬼が操る≪クラフトアークス≫、黒翼を変形させて地面を這わせることで、相手の脚を縫い止める技を得意とする。
黒翼特有の形態変化を遂げた状態の≪クラフトアークス≫は、≪カームツェルノイア≫と呼ばれているらしい。
吸血鬼は古代の龍の言葉で≪鎮めの黒≫とも言う、かつては人間を主食にしていた超種族である。
が、国によっては大手を振って歩けるまでになっているあたり、時代は変わったということだろう。
前作では最終編に少しだけ登場。まぁ、彼女を探すためなら読み返す価値はそこそこあるかもしれない……?
13.
■アンリ
荷物持ちとしてよく≪黒妖犬≫の二人から雇われるらしい青年。
蓮の見立てでは、彼自身もかなり戦える人物。
本名はアンリエル・クラルティ。
前作にもそれなりに登場していたが、メインキャラだったかと訊かれると微妙なところ。
くすんだ金髪に黒目だが、前作とは目の色が違う……?
14.
■ハロルド・オールブライト
エドガーの義父にして、全明帝国総領事館のトップ。
メロアラントに住む人々からは「総領事閣下」と呼ばれ親しまれている。
15.
■エルヴィス・アルジャノン・ハンフリー・ドナフィー
二十代前半程度の外見にして、既にメロア正教の教会騎士長の一人に抜擢されている優秀な男性。
名前が長い。
教会騎士長は、上に教会騎士団長を頂き、下には数十名の教会騎士を隊として束ねる役職。
隊は現在十個あり、彼は最も新しく任命された騎士長なのだろう。
16.
■神明 堅 (ケン・ジンメイ)
蓮の父親にして、神明家の当主。妻である浄見は蓮を産んだ際に亡くなっている。
かつて、領地を守るために汚職に手を染めてしまっていたが、水竜メロアは目覚めた後、直々にその罪を赦している。
上の息子である守に家出されたことでかつての覇気を失い、下の息子である蓮にも嫌われるのではないかと、過剰に恐れているふしがある。
17.
■神明 守 (マモル・ジンメイ)
蓮の兄。前作のメインキャラクターにして、優れた剣士であった。
父親の汚職に気付いて失望し、家出してから既に長い年月が経っている。
どうやら、現在は遠い未開の地で、書くのも躊躇われるほどの苦痛に苛まれているようだ……。
18.
■ヴィンセント・E・パルメ
サンスタード帝国における特権階級、侯爵待遇である≪四騎士≫の一人、“双槍の騎士”。男性。
代々吸血鬼狩りを生業として生きてきた一族の末裔にして、歴代最強の呼び声高き、≪静かなる破壊者≫。
ビルギッタに対して執着がある様子で、蓮たちを影から狙っている。
19.
■ロウバーネ・サオトメ・ヘイスティングズ
サンスタード帝国における特権階級、侯爵待遇である≪四騎士≫の一人、“鎖の騎士”。女性。
かつて、少女と言われるほどの外見だった頃、帝国陣営による吸血鬼&アニマの里襲撃を手引きした張本人であり、特大の業を背負っている。
彼女を殺すことができるならば、たとえ己の命を差し出しても惜しくないと考える吸血鬼やアニマは多い。
★TIPS★ 龍
龍と呼ばれる、世界にとって重要な意味を持つ存在たち。民衆に対して姿を晒しているのは現在水竜メロアのみだが、メロアが語ったことにより、龍という超常の存在は民草の間でも既知となった。それぞれ、何らかの属性の頂点に立つと思われる。
認知されている属性は「地・水・火・風・木・金・雷・氷・無・幻」。主に西洋ファンタジーと五行思想がごっちゃになっている感じ。存在が明らかになっていないだけで、まだ他にもいる可能性はある。光とか闇とかいそう。
龍が命を落とすと、その属性を持つ者たちの中から新たな龍が選ばれる。選ばれるまでの時間には割と差がある場合も。恐らく、任命しているのは龍よりも上位の存在だと推察されるが、それこそが真なる神なのかは不明。
ちなみに、バランスに配慮する必要があるゲーム世界みたいな設定がある訳ではないので、属性ごとに弱点や有利不利が明確に設定されている訳ではない。例えば炎と水がぶつかり合った場合にどっちが勝つのかと訊かれれば……そんなの場合によるだろ(出力や質量)としか言えない。ゲームによっては、無条件に水が勝つんだろうけど。
20.
■水竜メロア
現在のメロアラントを統治するドラゴンにして、メロアラントに住む人々にとって、正しく神である。女性。
もっとも、他の龍に同じく、基本的には人の似姿を取る。巨大なドラゴンの姿を維持するには、消費エネルギーが多くなってしまうことが原因らしい。
この世界にとって大きな意味を持つ“龍”の一柱であり、物語のカギを握る存在。彼女が語る世界の真実を求め、各国から様々な人間がメロアラントを訪れた結果、国内の経済は潤った。
彼女は二代目となる双子の水竜の片割れであり、三百年ほど前にはただの村娘であった。現在は元の小柄な村娘であった頃の面影はほとんど残らない、超高身長の美女となっている。これは恐らく、師匠である先代水竜ゼーレナに憧れた結果なのだろう。
前作において魔王ルヴェリスは「同じ属性の龍は複数存在しえない」と説明していたが、水の龍が二体存在するのはどういうことなのだろうか……?
21.
■ダリ
本名不明にして年齢不詳の龍。雷の力を備えている様子。雷の初代龍?
既存の生命体に似ていない外見的特徴ばかりを供えた褐色系童顔女子。女性というよりは女の子と評した方がしっくり来る。ただ、ロリっぽい顔面に反して背は高い。頭部から首元までを覆い隠すように巻かれた布は、角の類を隠すためのものなのかもしれない。
尊大な態度に、堪能とは言えない言葉遣いが目立つ。が、不思議と憎めないのはその不可思議な外見のせいなのか、龍としての権能か。
水竜メロアとは友好関係にあるようだ。
最後に残った千年竜、災害竜テンペストの娘らしい。
22.
■金の初代龍
本名不明。千年近く前の故人。
世界で最初に確認された龍であり、“目の前にあるものを複製する”権能を備えていた。
それがマッドサイエンティストたちに悪用された結果、魔人達が棲むこの惑星イズランドに、複製体である地球人たちが誕生することになった。
コピーされた地球人たちは記憶を含め、今まで生きてきたオリジナルの全てを引き継いでいたため、本人の認識としては「突如として誘拐された」に近いものとなる。
しかし、実際にオリジナルの個体は誘拐された訳でもなく、変わらず地球において暮らし続けていた。故に、これらの生成行為によって地球側で問題が発生したことはない。誘拐の真実、自分には帰る場所が存在しないことを知った複製体の多くは絶望し、自死を選んだ。
※これは前作「緋色のグロニクル」の更に前日譚になる予定だった、「ペットのケンリ」にあたる部分の物語。時系列は「黄昏のイズランド」の約千年前。
自死を選ばなかった者の中には「自分たちを虐げた魔人と金竜に復讐しよう」と考える者もおり、その中でもリーダー格だったものが災害竜テンペストであり、炎竜ルノードであった。
科学者に利用され続けていた金の初代龍だが、自己を確立したあとは罪悪感に苛まれ続けることになる。地球人たちが生き残る為に継続的な援助をすることも考えたが、最終的には自死を選ぶことになった。
23.
■金竜ドール
何代目かの金竜。故人。男性? 彼と表現されることが多かったが、性別が存在したのかは不明。
初代龍が己に掛けた呪いによって「地球人に味方し、贖罪し続けなければならない」という底なしの義務感を与えられており、これまた苦しみに満ちた人生を送ることになった。
地球人全体への得のみを考えて動いていたため、強国であるサンスタード帝国の人間を優遇していた。対して小国の価値を軽視し、捨て石にするなどの非情な面が目立ったため、それを知った者からは反感を買うことが多かった。
炎竜ルノード、そして炎竜グロニクルとの生存競争に敗れ、死亡。
代々の金竜によって受け継がれてきた術式を完成させ、この世界に生きる全ての人間を強化する永続魔術を発動していた、らしい。
それにより、今の人間はちょっとやそっとの怪我などすぐに完治してしまう、驚異的な生命力を手にしている。
この恩恵は人間としての血が濃いほど影響が大きい。そのため、純粋な魔人には恩恵がない。
逆に言えば、人間と魔人の混血には、多少の効果があると言える。
24.
■災害竜テンペスト
この世界を包む“嵐の海域”を創り出し、千年にも渡って維持し続けているという龍。女性。
千年前を生きた人間であり、現在でも存命。こうした長命な龍は、龍を知る者たちの中でも“千年竜”と呼称され、特別視される。≪氷炎戦争≫で炎竜ルノードが逝ったことで、テンペストは最後の千年竜になった。一般的に龍は長い時を生きる程に力を増していくとされ、全ての龍の中で最も大きな力を持つと推測される。
金の初代龍を憎む地球人たちが興した組織のリーダー格であり、その頃は“人喰いマリィ”と呼ばれていた。
金の初代龍に噛みつき、その血肉を喰らったことで龍として覚醒した……ということになっているが、上位存在であるイズが彼女を認めた直接の契機がそれなのかは不明。
龍に覚醒して以降、直接、間接的を合わせて数百万人を殺害、もしくは生活に多大な影響を与えたとされる、史上最大の悪竜。
だが、そんな悪竜も歴史の表舞台から姿を隠して久しく、直接彼女を憎んでいた人間が現代まで生き残っているはずもない。
稀代の怪物でありながら、憎しみを抱かれる対象になることは少ないさまは、まさしく“災害”と言えるのかもしれない……。
その能力は長年謎に包まれていたが、雷の能力が娘のものであったとするなら、テンペスト自身が司る能力は風に留まることになる。
だとすれば、風の初代龍と評するのが正しいのだろう。
25.
■炎竜ルノード
炎の初代龍であり、アニマという超種族、そして炎竜グロニクルを創った龍。故人。男性。暴力の頂点。
千年前を生きた人間であり、最近まで存命していた。かつては最強の龍の異名を欲しいままにしており、実際五年前には複数の龍との連戦にも耐えて見せた怪物。その終わり方も彼自身の自罰的な態度が原因であり、生にしがみつこうと思えば今でも最強のまま生きていたはずである。
高火力の蒼い炎も強力な攻撃手段だったが、そもそもそれを吐き出す前段階にある“周囲の熱量を根こそぎ奪う”能力が正に反則であり、あらゆる生物を下してきた。結果、まともに相手になれたのは極低温下でも活動可能な氷竜のみであった。
金の初代龍を憎む地球人たちが興した組織のリーダー格であり、その頃は“オサム”と呼ばれていた。
災害竜テンペストのかつての仲間であり、彼が龍として覚醒したのは、テンペストの血液を分けられたことによるもの……だと推測される。
ただの地球人であった頃の名前は一本槍修二。
一部のアニマが槍を好んで扱うのは、炎竜ルノードが地球人だった頃の名前の影響もあるのかもしれない。
≪氷炎戦争≫の折、氷竜アイルバトス、金竜ドールとの連戦で負った傷が原因で死亡した。
26.
■氷竜アイルバトス
氷の初代龍。男性。故人。人格者だった。
元は≪名無しの種族≫の魔人の一体であったが、二百年ほど前に龍として覚醒したらしい。
自分に似た種族となる氷竜を創出した後、魔王ルヴェリスと交友を結び、静かに暮らしていた。
≪氷炎戦争≫の折、炎竜ルノードとの決戦に敗れ、死亡した。
こういう物語を書いておきながら言うのもなんだけど、戦争ってよくないよね。
27.
■氷竜ナージア
氷竜アイルバトスが炎竜ルノードに敗れた際、新たに氷の龍の座を引き継いだ青年。二代目。
同じく炎竜ルノードから炎の龍の座を引き継いだとされる悪竜、炎竜グロニクルを人類の生活圏から追い出したとされる。
世界から英雄として称えられる存在。
28.
■水竜ゼーレナ
水の初代龍。女性。故人。かなりの長身だったようだ。
かつてのメロアの保護者にして、師匠。荒っぽい口調の割に情に厚く、弱者を庇護し続けた。
幻竜グレアムとの争いに敗れ、傷付いていた折にメロアの住んでいた村の近くに流れ着いた。
その後、近くの村に捨てられたあぶれ者たちを保護し、自らの後継者として育てることを決める。
メロアラントを創った、もう一人の祖と言えるだろう。
グレアムとの戦いで弱っていたこともあるが、最終的な死因は老衰と言ってもいい。
詳しい出自や年齢は不明。
29.
■幻竜グレアム
何百年も前から、世界各地で暗躍し続けている龍。前作の事件も元を辿れば大体コイツが原因。幻の初代龍?
自分以外の龍を滅ぼそうとしているようにも感じられ、その際に周囲の民草が巻き込まれることに拘泥しない、悪の面が目立つ。
現在はサンスタード帝国に力を貸している……?
出生、思想、能力含めその殆どが謎に包まれているが、かつて直接戦って生き延びたゼーレナの存在もあり、水竜メロアの勢力ではその存在を正しく認識できている。
能力が幻惑系に特化しているのであれば、その分身体能力は他の龍に劣るのではないかと推察される。
……が、現状では恐らく戦ってきた全ての龍との戦いに勝利・もしくは拮抗してきたと思われる。
やっぱ幻術ってサイキョーなのかもしれん。
目下、最大のラスボス候補。だが、作者は途中でラスボス枠を変更する癖があるので何とも言えない。
30.
■海竜レメテシア
この世界にモンスターと呼ばれる魔物、魔獣を生み出した龍。二代目の水竜の片割れ。
間接的にとはいえ、彼女によって奪われた命は災害竜テンペストに次ぐことになる。
人間の英雄との戦いに敗れて以来、数百年にも渡って海中に姿を隠している。
メロアの実の姉。人間だった頃の名前はティシー。
31.
■炎竜グロニクル
炎を司る龍。二代目。
累計で十万人以上を焼き殺したとされる炎の初代龍ルノードの死後、その能力と罪状を引き継いだ悪竜。
炎王グロニクル、“焦土の魔王”、アニマの王など、多くの二つ名を持つ。
全ての国家によって指名手配されており、彼とその仲間たちが人間界から存在を赦されることは、二度とない。
特定の領土は持たず、現在は初代龍が創造した種族であるアニマを主とした“炎竜一派”を率いて、いずこかに潜伏しているらしい。
底知れない治癒の力を持ち、彼が率いる一派は“不死の軍勢”として恐れられている。
グロニクルとは元々「アニマの族長」を意味する言葉であったが、龍となったことで長命化し、世代交代の必要がなくなったためか、現在では彼そのものを指す言葉となっている。
帝国が初めに彼を国際指名手配した際の名前は「レンドウ」。
32.
■黒竜イズ
この世界を創造したとされる存在。
長く生きる龍たちの間ではイズという呼称が受け継がれてきたようだが、直接名前を聞いた者がいたのかは不明。
龍たちよりも上位の存在だと思われるが、イズより上に更に別の存在があるのかは分からない。
龍となった者の中には、龍になる以前にイズが目の前に現れ、まるで品定めされているかのような感覚を覚えた者がいる。
33.
■魔王ルヴェリス
前作にて主人公一行に導きを与えた、自称“出来損ないの龍”。故人。
一般的に属性と言われるものを持たず、能力的に秀でていたとは言い難い。何の初代龍と形容するべきかは微妙だが、龍の間では“無形”と呼ばれていた。
睡眠期を取らずに行動し続けた結果、老衰にて死亡。龍という存在にも千年ほどで寿命が来ることを証明した形となる。
魔国領ベルナタ(ベルナティエル魔国連合)に属する民からは“博愛の魔王”の異名で親しまれ、あるいは恐れられた。ルヴェリスが人間との融和を求める王であることに反感を抱いていた者も魔国領にはおり、一部の“魔貴族”たちの行動を、現在の魔王では御し切れない部分があるらしい……。
34.
■地竜ガイア
千年前に“ルノードの実姉ユウコ・イッポンヤリ”、魔王ルヴェリスらと共に魔人側に味方し、テンペスト&ルノードの陣営と戦った龍。女性。
彼女ら全員の力を束ねてもテンペスト・ルノードが有する暴力には到底及ばなかったが、テンペストらもガイアらを憎んでいた訳ではない(元々は仲間だった訳だし)ことが幸いし、負け続けながらも情に訴えかけ続けることでなんとか譲歩を引き出した形。結果、この嵐に包まれた世界の中で、魔人は存在を赦されたのだ。
一応は存在し続けている地の初代龍だが、テンペスト(もしくはダリ)によって骨だけの姿にされており、あまりにも多くの力を失っている。故に、生きている千年竜とは見做されない場合が多い。実際、自発的に行動するだけの能力も気力も無かったようだ。
復活する芽があるのかは不明。現在は意識があるのかないのか、サンスタード帝国によって回収され、いいように利用されていると見られる。
35.
■木竜ストラウス
今作未登場の龍。女性。
暗黒大陸の大森林に棲むという。
前作の最終盤に登場。
★その他、大物
36.
■炎王妃
炎竜グロニクルの妃。
ウサギ耳を持つ魔人らしい。もふもふ。
37.
■魔王ナインテイル
現在のベルナティエル魔国連合を統べる魔王。女性。
数百年を生きる狐お姉さんという風だが、残念ながら現在では余裕綽綽とした態度を失ってしまっている。
元はプレッシャーに強い、そののらりくらりとした性格を買われて魔王の座に就いたのだが、偉大過ぎる先代と自らを比較され消耗することは避けられなかった。加えて、同じ炎属性である炎竜に対して劣等感を覚えていたりと、不憫な人物。実は前作のうちから少し危うさは描写されていた。そもそも出番が少なかったけど。
38.
■廃病院の悪霊
廃病院に誘拐・監禁された幼馴染組を救った、怪物のような女性。
その際は「モトシロ」とだけ名乗る。
かつては本代・L・アーヴリルと名乗る戦士だったが、それに気づける者も、もはや本代家の現当主くらいしか生き残っていない。
39.
■本代家当主
当主様、モトシロ公爵などと呼ばれることが多い。本名は本代・J・バティスト。
アラロマフ・ドールが実質的な帝国の属領となってからは、「バティスト・J・モトシロ」と名乗ることの方が多くなった。
常識外れの身体能力を持つ、稀代の戦士としてかねてより有名。
40.
■エヴェリーナ・イスラ・ドール
現アラロマフ・ドール王国の女王。
前作の序盤で「イスラ」と名乗る家出少女がいたが……。
41.
■人間の英雄ゴットフリート
約三百年前、魔王レメテシアを直接下したという帝国人の英雄。故人。
後に≪ゴットフリートの四騎士≫と呼ばれる者たちを率い、竜狩りの武器を振るって戦った。
レメテシアを退けて以降は、一代限りの王としてアラロマフ・ドールを統治した。
四騎士たちは決戦の際には≪クラフトアークス≫を振るえるようになっていたが、ゴットフリート本人は“人間の英雄”であることに拘り続け、最後まで水竜メロアから水翼を授かるをことを拒んだという。それで勝てたんだから大したもんだ。
果たして、力の受け取りを拒んだ真の理由とは……?
「あの、このキャラ紹介ページ故人多すぎじゃない?」と思われた方。はい、作者も同じことを思ってますので安心してください。
恐らくですが、10月中には第2章の投稿は始まらないんじゃないかな……と思っています。11月中を目指したい。




