設定資料:イズランドにおける人種1
ここで紹介する以外にもありますが、まずは現時点で紹介しても問題ない範囲のみ公開します。
■東陽人
多くは灰色の髪を持ち、黒から茶色の瞳をし、身長や体格に恵まれることは稀。
現実世界におけるモンゴロイドにしてアジアン……つまりは黄色人種にして、ほぼ日本人そのもの。
髪の色が灰色に設定されているのは、他種族との外見的混同を避けるためという作者都合。
五百年近く前にサンスタード帝国に敗戦して以降、東陽という国名がイーストシェイド自治領に、更に近年ではイーストシェイド公国に改められるなど、国政に関しても帝国から操作を受けている。
もっとも、完全に言いなりという訳ではないようだが。
元天皇は現在大公の地位にあるが、自治領時代の立憲君主制を疑似的に引き継ぐために、民衆から立ち上がったリーダーたちに公爵位を与えた。
同族愛が強い反面、内向的で、あまり国から出て行く者はいない。
・ひとことコメント
蓮
「天皇が聖人すぎる」
■清流人
三百年前、帝国が“大渦の魔王”レメテシアとの世界を巻き込んだ戦争に臨む際、友軍として参戦した(参戦させられた)東陽人が、水竜メロアから加護を受け取ることで分岐した人種。
髪や目には青系の色が混じりやすくなり、大昔には水の力を操る人種として、未開地を開拓する際にも活躍した。
魔王レメテシアとの戦いで功を挙げた英雄(蛍光院家、曙家)の存在も手伝い、総じて他の国家から流入を歓迎されやすかった。結果、前作のうちから「古くからこの土地に土着していた、水色の髪の民族」と称されることが多々あった。
彼らの神が永い眠りにつき、この世界において「神」という概念が忘れ去られかけていてもなお、彼らは水竜メロアを神として信じ続けていた(詳しくは前作を参照のこと)。
また、東陽人をルーツとして持つため、初めから友好国だった。
現存する全ての家系が、遡れば摩訶不思議な力を扱えていた時代があるため、広義で言えば魔人に含まれる。しかし、実際は東陽人をルーツに持つことが明らかであるため、人間として扱われている。水竜メロアが永い眠りについていた関係上、摩訶不思議な力をほぼ失っていたことも理由だっただろう。
・ひとことコメント
千草
「めちゃくちゃ前作を読んで欲しい気持ちがあることは伝わってきました」
■帝国人
金色系の髪は鮮やかさや明るさに幅がある。瞳は主に青と緑が多いが、他国の血が混じることの多かった市井では茶色系の瞳も多く見られる。肌は白くて日焼けには弱め。体格に恵まれることが多い。
現実世界におけるコーカソイドがモチーフ。
間違いなく人類最強の国家であるサンスタード帝国に帰属することに誇りを持っている。プライドが高く傲慢……とは、他国から見た場合に抱かれやすい印象である。
生物として優れた基礎スペックを持っていたためにそれを誇りにしているが、一方でそのルーツには謎が多い。
千年前に金の初代龍によって地球人の情報がコピーされ、イズランドに複写体が生み出された際、対象とされたのは日本人のはずだが、一体どこから白色人種が現れたのだろうか?
他人種との間に子をもうけた場合、白い肌が優先されるかはまちまち。この世界では「有色人種との交わりを避け、彼らを差別する価値観」が市井においてはそこまで広まっていない。が、さすがに帝国貴種ともなれば、肌の色が違う民族と交わることに対する忌避はある。
補足:オールブライト家、リヴィングストン家は古くは帝国人だったが、爵位はそれぞれ伯爵と子爵だった。あまり高い身分ではなかったことも手伝って、帝国人という身分を捨ててでも、水竜メロアの祝福を受けることを決断できたのだろう。
その結果、見事に魔王レメテシアとの戦いで功を挙げ、“四華族”のうちの二家として、英雄の地位と共に清流の国(現メロアラント)の領地を与えられた。
現在では完全に清流人として帰化し、自分が英雄の民族であることに誇りを持っている。
そのため、帝国と仲が悪い訳ではないが、メロアラントにとって不利益が起こる可能性があるような帝国からの要求は、主にオールブライト家の方からやんわりと躱すように努めている。
・ひとことコメント
ダリ
『英雄の血筋でなくば、「売国奴」などと帝国人より罵られていたかもしれないであるな』
エリナ
「帝国式の名を名乗ってはいますが、実際にこの目でその国民性を確認したことはないので、私からはなんとも言えません」
■デル人
ドワーフと友好関係を結んだ、赤髪の技術者たちの一族。瞳は灰色で、場合によっては緑が混じって見える者も。他の人種に比べれば圧倒的に数が少ない。
白い肌をはじめとした外見的特徴から、帝国人から分岐した一族と考えられるが、その燃えるように赤い髪はどこから生まれたのだろうか?
デルは国として興ってからも街は一つだけのままであり、国領として主張した範囲も慎ましやかであったため、周辺国家からの印象は悪くない。
・ひとことコメント
エドガー
「いい国だよ。いつまでも、どこの国からも侵略されないままでいてほしい」
■レピアータ人
千年近く前に災害竜テンペスト、炎竜ルノードの両名によって魔人達がこの地へと追いやられ、“嵐の海域”に断絶されることで閉じ込められた際、それに巻き込まれた形となる人々の総称である。
東陽人との最も大きな違いは、「元々望んでそこに暮らしていたかどうか」に尽きる。彼らは、外の世界へと帰りたがっていた。
竜の時代には、その人々が身を寄せ合って暮らすその場所は「レピアータ文化保護区」などと呼ばれていた。
自分たちは“嵐の海域”の向こう側にあるレピアータ大陸、そこにあるレピアータ本国から切り離された存在だ……と始祖たちは語り、それは子々孫々へと伝えられてきたが、当時は“世界の真実を語る龍”である水竜メロアも活動していなかった。
そのため、やがては子孫たち自身も、そしてそれ以上に他の国の人間たちは早いうちから、その話を半信半疑にしか聞くことができなくなっていった。
ただ、レピアータには災害竜テンペストが人間だった頃の兄妹の子孫、つまりは龍の親戚が多くいたため、テンペストの怒りを買うことを恐れた帝国によって文化保護区として指定され、他国からの干渉を受けずにいられたのだった。それに関してはテンペストの威光に守られた形。
黄昏の時代に入り、レピアータ本国との混同を避けるため、共同体の名前を「レピアトラ」と改めた。しかし、国家というよりは、沢山の集落が点在している自給自足を営む民といった風。同族愛は非常に強く、同じレピアータ人というだけで無条件に助け合うほど。
元は地球人そのものであるはずだが、多くは東陽人と似た顔でありながらも、どういう訳か現在では紫色、紺色などの地球では考えられない髪色が定着している。
また、この千年間では“嵐の海域”の影響が弱まるタイミングが何度かあり、そうした際には外の世界からの漂流者が、内の世界に迷い込んでしまうことがあるという。
そうして内の世界にやってきた人々は、やはり紫や紺の髪をしており、それ以外には白い肌に高い鼻と、例外なくコーカソイドの特徴を備え、ヨーロッパ風の名前を名乗るという。
一体、“嵐の海域”の外はどうなっているのだろうか?
外の世界で繁栄しているのは、日本人では無かったのか?
――それはまだ分からない。
ただ、十年ほど前に外の世界から漂流してきたという剣豪イービルモートが、その武力を持って自らが狂人ではないことを証明し、レピアータ本国の存在を帝国に認めさせたという話はあまりにも有名。彼ならばあるいは、レピアータ本国についての知られざる秘密を語れるのかもしれない。
・ひとことコメント
千草
「いちおう隣国という扱いにはなりますけど、上の世代からはあんまり関わらないようにしろって教えられてきましたね」
蓮
「まぁ、他ならぬ帝国が文化保護区に指定してた訳だし、それに倣っておくのが安定だわな」
■ネグロイド
これは特定の人種を指すものではない。
「環境に合わせてその姿形を変化させる」性質を持っていた≪名無しの種族≫の魔人が、土や岩肌が黒い暗黒大陸東部に土着した結果、黒い肌が定着したものである。
特徴的な縮毛はものを造る際の素材として扱いやすくするために発達したと言われているが、安定した生活基盤が整うにつれ、縮毛でない者も姿を見せ始めている。
髪や瞳はやはり景色に紛れるためにか黒が多いが、明るい色のものや鮮やかな色を持つ者もいるあたりは、さすがは魔人と言ったところだろう。
必ずしも共同体が血縁関係で結ばれている訳ではなく、体格による性能もさまざまで、一概に体躯の大きいものが優れているとは限らない。
現在ではネグロイドは「肌が黒い魔人たちの通称」となる。強く固定化されたネグロイドと他人種の間に生まれた子孫がネグロイドと呼ばれるかどうかは、場合によるのでなんとも言えない。
多くの場合、黒い肌色は血と共に薄まっていく。
補足:ネグロイド(ニグロイド)は、現実世界において始めの二文字を延ばして言うと黒色人種に対する差別的スラングとなるため、使ってはいけない。これはガチ。
・ひとことコメント
メロア
『我は褐色肌を格好いいと感じるね。わざわざ肌を焼こうとする清流人がいるのも理解できる』
功牙
「……国民が卒倒しちまうから、絶対にやろうとしないでくれ」
■アニマ
魔人。龍が扱う言葉では≪灼熱の申し子≫という。
黒い髪に黄玉の瞳、発達した犬歯を持ち、すらりとした長身に長い耳を持つ者が多い。
長らく伝承に残る魔人、吸血鬼のふりをすることで人間を恐れさせ、身を護ろうとしていた種族。
その正体は、炎の初代竜ルノードが創出した、炎を操る種族。大人たちを除いてその真実は知らされておらず、記憶と異能の力も制限されていたため、子供たちは自身が吸血鬼だと信じていた。
実際、創出する際にルノードは吸血鬼の遺伝子パターンをコピーして流用しているため、外見的特徴には似通っている部分が多い。
吸血鬼が抱える弱点はその際に削除されているため、子供たちがそうだと思い込んでいるだけで、実際は太陽も流水も平気である。
現在はルノードが犯した蛮行により、全ての社会より指名手配を受けている、「生きることを許されない種族」。
今のアニマたちを束ねるのは、先代炎竜ルノードから“焦土の魔王”としての罪状と、護るべき民を引き継いだ、炎竜グロニクル。
・ひとことコメント
帝国のお触れ
『アニマとは生まれながらにしての悪である。これを匿ったものは極刑に処す』
■吸血鬼
魔人。龍が扱う言葉では≪鎮めの黒≫という。
鮮やかな金の髪に、紫紺の瞳が主となる。発達した犬歯に長い耳、長身に、見た者を意図せずして魅了するほどの美貌を備える。
ルノードがアニマを生み出す際に参考にしたことからも分かるように、それより以前からこの世界に存在していた、発祥不明の人種。
かつてはアニマと手を取り合って暮らしていたが、帝国との戦争に敗れた際、アニマたちが「彼らしか逃げ込めない、炎の龍が守護する地」を逃亡先に選んだため、見捨てられた形となる。
また、アニマが吸血鬼が持っていた生来の弱点を克服していることも、現代を生きる吸血鬼がアニマを恨みやすい理由となってしまっている。
太陽と、大量の流水の上を通過することが苦痛であり、無理がたたればたちまち体調を悪くしてしまう。
かつては伝承にある通り、「吸血鬼に血を吸われた者は死に至る」時代もあったらしいが、現代の人間たちは、家系に混じった魔人の血などから耐性がついたのか、吸血行為によって命を落とすことはほぼなくなっている。
黄昏の時代において、人間と共存する吸血鬼は身分証を発行することは当然とし、更には好き勝手に吸血行為を行うことも許されず、複数の厳格なルールに縛られている。
また、吸血鬼に対して血を提供する側にも「家系に魔人の血が確かに混じっており、吸血されても問題ないだろう」ということを役所に対して証明し、あらかじめ許可証を所持している必要がある。
最初こそ手間は掛かるが、吸血鬼に対して血液を提供することは人間にとってはいいビジネスとなるため、許可証を申請する者は多い。
・ひとことコメント
敦也
「魔人も役所に身分を提示する時代か……」
■妖狐
吸血鬼に並ぶと言われる程、古くから存在する≪名有りの種族≫。
炎と幻の魔術に高い適性を持つという。
現在のベルナタの指導者である魔王ナインテイルと、その一族が該当する。
■ドワーフ
魔人。第10話をご参照のこと。まだ秘密は多い。
■オーク
豚のように見える頭部をした、人型のモンスター。
別に色情狂でもなければ、人間の女性を襲うこともない。というか言語を解する頭脳を持たないため、他種族とは争う以外の関係性を築くことができず、人種と言えるのかは怪しい。
扱いとしては狂暴な類人猿といったところ。
・ひとことコメント
美涼
「人間より幅がデカくて、そもそもの筋肉量が全く違うらしいから要注意ね! 現実じゃ「くっ、殺せ!」なんて言う暇もなく、首を捩じ切られるのがオチよ」
エドガー
「……もしかして俺の部屋にある漫画勝手に読んでる?」
■氷竜
魔人。二百年ほど前、氷の初代龍アイルバトスによって生み出された。
その際に遺伝子パターンを参考にしたのは≪名無しの種族≫であったアイルバトス自身と、強力な原生生物である飛竜である。
そのためか、氷竜という種族は「竜人」とでも形容すべき外見をしている。
顔立ちは普通の人間とそう変わらず、額には氷を思わせる透明感のある角が二本生えている。
髪の色は濃いものでは青みがかった灰色、薄いものでは真っ白まで幅がある。身長は高くなりやすい。
白めの肌の表面には、光の反射によって見え隠れする、網目状のウロコのような膜が浮かんで見え、それは角度によって青系だったり虹色に見えたりして、美しい。
成長すると、白い竜としての姿へと変身する「竜化」を使えるようになる。
これは、他の龍の力を受けた種族たちに発現することがある「竜化」と非常に似てはいるが、一部異なり、龍側から制限を掛けられるものではない。また、≪クラフトアークス≫の才能の大小に関わらず、全員がいつかは身に付ける。竜が元になっていない他種族の場合、才能がない者は一生身に付けることはない(例として、アニマや吸血鬼)。
今の氷竜たちを束ねるのは、“焦土の魔王”である炎竜グロニクルを暗黒大陸の奥地へと追いやったとされ、帝国から“救国の氷雄”の二つ名を与えられた、氷竜ナージア。
初代龍のアイルバトスという名前の由来は、マレー語で氷を意味する「アイルバトゥ」より。
・ひとことコメント
蓮
「今じゃどの人間の国でも英雄扱いだし、ロストアンゼルスに行けば結構いるはずだよな?」
★おまけ
1.作者が人生で初めて読んだライトノベルは、安井健太郎先生の「ラグナロク」です。
と、ここまで言えば、私の小説に出てくる「魔人」という存在が「〇〇〇〇」からインスピレーションを受けたものであることは、安井健太郎先生の小説を読んだことがある同士には伝わるのではないかと期待します。
2.人生で一番好きなライトノベルは、十文字青先生の「薔薇のマリア」です。
だから前作では(多分今作でもそうなりますが)あんなに新キャラクターをばかすか登場させていたんですね。前作だけではぽっと出のままで出番が終わってしまったキャラが多いので、どんどん再登場させていきたいと思っています。




