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おわり

眩しくて、眩しくて目を瞑っていたのは一体どれくらいだったのだろう……。

「ハッ! キャラリア‼」

俺は叫んだ。

が、彼女はどこにも居ない。

目の前は、何故か、

「樹……?」

大きな大きな樹が立っていた。

キャラリアと俺が手を繋いでも抱えきれない程幹が太い。

だが、今はそれどころじゃあない。

キャラリアは一体どこに居るんだ、そしてここは一体どこなんだ!

焦る俺に、声が聞こえた。

『ディートリアン……』

「キャラリア!」

キャラリアの声だった。俺は必死になって声の方向を探す。

足を一歩踏み出すと、草のサクサクという音がする。

「キャラリアどこなんだ、返事をしてくれ!」

『ここよ、ここ。ディートリアン……』

声は樹から聞こえていた。

まさか、

「キャラリア、おまえ」

『そう、私は神様の手によって世界樹に召されたの』

俺はフラフラと世界樹とやらに近寄って行った。

これが、キャラリア……?

あの、天真爛漫な、亜麻色の髪の春の空の様な色の瞳の人間が、樹になってしまった……?

一体何故……⁉

俺の目から涙が出る。

『泣かないで、ディートリアン』

「キャラリア、だってだっておまえ、これから故郷に帰るんだろう? そして親父に会おうとしたんだろう? 美味しい母さんの手料理たべるんだったろう? それにそれに」

『ディートリアン、もういいの』

「だって!」

おまえには、夢があったじゃあないか。

俺の思いは、口の出せず震えた声しか出なった。

「俺の花嫁になるんだろう⁉」

『ディートリアン……』

彼女の哀しそうな声が胸を震わせる。

俺はもう嗚咽しか出てこなかった。

俺と彼女との約束、秘密の約束、が、こんな形で終わるなんて……。

「キャラリア、キャラリア……」

樹にそっと触れると、彼女のぬくもりがした。

俺は叫んだ。

「神様が何だ、何だって言うんだ! 彼女を返せ、返せよー! 何が世界樹に召喚、なんだよ」

俺は決めた。

「分かった、なら、俺はずっとここに居る。キャラリアの側に居る。だから」

どこともない空間を睨んで、言った。

「俺は、世界樹を守る守護獣になる。いいだろう……?」

光が、ディートリアン、翼を包んだ。

その光が晴れた時、そこには美しい翼をもった獣が居た。

鳥とも言えない、ペガサスとも言えない、真っ黒な漆黒の色を持つ守護獣が居た。




これは、世界の何処かの、物語。



お読み下さり、本当にありがとうございました。


この企画を主催してくださった黒森冬炎様様に厚くお礼申し上げます。


願わくば、彼と彼女が、別の世界で幸せになっていることを願います……。

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