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逆トイレトレーニング日記  作者: 062


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綾と優奈と貴子


「突然呼び出してしまって、ごめんなさいね」


そう言って、私は優奈ちゃんを出迎える。綾ちゃんも同様に「すみません」と謝っている。綾ちゃんのお願いのうちの1つが優奈ちゃんとの連絡である。通話をスピーカーにして3人で話をしようかと思っていたが、優奈ちゃんが来てくれた。


「構いませんよ。それに詩乃が教育実習で綾ちゃんの学校に行ったので、そろそろかと思っていました」


そう言って、私の淹れたコーヒーに口をつける。


「その口ぶりからして、前から分かっていたのですね?私達が気づく時期まで含めて」


「そうね。多分、綾ちゃんは健太君とのやりとりで気づいたでしょ?そうなるように仕向けたの、私だもの。詩乃の恋愛相談にアドバイスの形でね」


綾ちゃんが目を剥いて驚く。私にはサッパリわからない。それに気がついた優奈ちゃんが解説してくれる。


詩乃ちゃんは優奈ちゃんに恋愛相談していたらしい。それで健太に嫌われる事を詩乃ちゃんに言わせた。詩乃ちゃんにはそこで離れる男ならこの先は難しいし、それでも諦めない男なら見所があると唆したらしい。それが詩乃ちゃんの年齢がバレた時点で話しても問題ないと判断した健太が綾ちゃんに話した。それで綾ちゃんは気づいたという事らしい。


「詩乃とはつきあいが長いですからね。健太君が綾ちゃんに話すかどうかが不確定要素でしたが、上手くいったようですね」


と優奈ちゃんが結んだ。


「私が気づくのは計算の内、ですか。大人とは恐ろしいものですね」


綾ちゃんが溜息混じりに言う。優奈ちゃんが笑って答える。


「優奈ちゃんは詩乃が代わりと見込む女の子よ。つまり、詩乃と思考のタイプが似ている。それなら、私の手に負えるの。詩乃限定だけどね」


私にとってはここまでは前菜である。そろそろメインを頂く事にしたい。


「優奈ちゃんに恋愛相談してる時点でわかる事だけど、やはり詩乃ちゃんは健太の事・・・・・・」


「えぇ、間違いありません。私が最初に聞いたのは成人式の後、酔った勢いでしたけど」


優奈ちゃんの言葉に、私の目の前がパァーッと明るくなったように感じた。逆に綾ちゃんは笑っているが、沈んでいるように見える。それでも冷静に口を開く。


「貴子さん、2つ目お願い、よろしくお願いします」


「ええ、任せて!」


綾ちゃんの言葉に私は笑顔で答える。


「詩乃は感情が高まれば高まるほど冷静に理性で判断しますから、レールを敷くなら健太君の方が楽だと思いますよ?」


綾ちゃんとの約束を知っているかのように、優奈ちゃんがアドバイスする。なるほど、健太ならば簡単に動かせる。


約束の2つ目は、詩乃ちゃんと健太の仲を取り持つ事である。綾ちゃんがそれをやると詩乃ちゃんが気づくだろうし、お互いが健太を譲りあう結果になるかもしれない。だから、綾ちゃんは私に託した。私にとっては最終的に詩乃ちゃんを娘にするチャンスである。











ふと、素朴な疑問が浮かぶ、

そして、それを口にしてしまった。


「ねぇ、ここまで話してて思ったのだけど・・・・・・ここまで詩乃ちゃんの思惑通りって事はないわよね?」


誰も何も言えないまま、その場が凍りついた。

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