少し前の出会い その2
5月初め。
例年だとゴールデンウィーク真っ只中の今、我が家は絶賛通常運行中。まあ、今年はコロナ禍のせいでどこも同じだろうけど。
仕事終わりの夕方、あたしは何となくドラッグストアに立ち寄った。今日の晩御飯はリモート勤務になった旦那が準備してくれると言うし、別に何かが必要という訳でもない。日常の気晴らしだった。
ちょうどハンドクリームが残り少なかった事を思いだしてカゴに入れる。後は一通り回ってみる事にする。
見覚えのある娘がいる。ニットにジャンパースカート、相変わらずプチプラな服を上手く着こなしていると関心してしまう。前に会ったのもこのオムツコーナーだったなぁと思いながら声をかける。
「こんにちわ」
「え!あ、こんにちわ」
「今日もオムツの買い出し?」
「はい」
「個数制限がなくなって助かるわね、お互いに」
「そうですね」
あたしは何となくこの娘に気になっている事がある。でも、同時にこんな場所で立ち話で聞くのも悪いとも思ってしまう。駄目で元々な気持ちで軽く誘う。
「この後、時間はあるかしら?今日は夕飯がひとりなの。よかったら付き合ってくれないかな?もちろん、予定があるならいいけど。もちろんおごるわ」
もちろん嘘だ。出会って2回目の娘を食事に誘うなどどうかしてる。わかっている。
数ヶ月後に私はこの判断が英断だったと思い知る。