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デビルライン  作者: DAO
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悪魔と死の世界で

どうしてこうなった…

僕が何をしたって言うんだ…

誰か…誰か助けてくれ…

拷問部屋の様な部屋に一人の少年がいた。衣服はボロボロで身体の所々には痣がある。

周りの壁は赤い血の様な跡が付着しており、とても17歳の少年がいるには相応しくない場所だ。

1ヶ月前


「母さん、行ってきます!」


「行ってらっしゃい、気をつけてね」


俺はそう言っていつもどおりの挨拶を交わし、今日も学校へ登校していった。


1年前に交通事故で父親を亡くし、今は母が女で一つで俺を養ってくれているため、部活には入らず、授業が終わってからはアルバイト三昧の毎日を過ごしている


母は父が亡くなった時から少し元気が無くなっていた…


2人はとても優しい両親だった


俺が困っているとよく父はそれを見て助けてくれた。

俺が落ち込んでいると母が元気づけてくれた。

そんな二人が俺は大好きだった


だけど、あれから父は亡くなり、母は凄く泣いた。


俺も溢れ出しそうな涙をグッとこらえるのが精一杯だった。



「男の子なんだから泣くんじゃない。お前は俺に似て強い子だ。だからもし俺に何かあった時は母さんのこと代わりに守ってやってくれよ。」




俺は父さんみたいに強くない…


だけど…だけど…



「母さん、俺、父さんの代わりにはなれないけど、母さんのことは俺が守るよ」


「だから泣かないで」


俺は目に溜まった涙をこぼさないように力を込めて言った

母はそんな俺を見て父の面影を重ねたのか俺を抱きしめてそれ以上何も言わなかった


「おはよ!哲喜!」


「おはよ!隆二!」


「今日も一日学校か〜あー早く夏休みになんないかな〜」


「あと2日で夏休みだろ、もうすぐじゃないか」



佐藤隆二は寝癖を立たせたままいかにも眠そうな顔をしながらあくびをしている


やれやれこいつはいつもいつも通常運転だなって思う


「いつも思うけどさ、学校までの道のりって駅から遠すぎないか?

この前グールマップで見たら駅からうちの高校まで2キロくらいあったぞ?

もうちょい近くに駅作れよって話だよなぁ

これじゃ授業聞きたくても学校着いた時点で授業中疲れて寝ちまうっての」



「隆二は疲れてなくてもいつも寝てるじゃないか

それにうちの高校あんな山の上にあるんじゃ仕方ないよ、俺は部活に入ってないからいい運動になって結構いいけどね」



「いいよなーそんな前向きに考えられるやつは、

俺なんて部活もやってないしバイトもやってないけど、早く帰れないから夜のネトゲの時間が潰れるってだけで入学するの躊躇ったぜまじで!

まぁ、結局のところ家から一番近い高校はここしかないんだけどさ笑」


「隆二… そんなんでよく入学できたなー

でも、おかげで隆二とも出会えたし俺は満足だけどな」



「くぅ〜…おうよ!親友!俺もお前に出会えて良かったぜ!」


哲喜の肩をガッと掴みながら友情の念を送って隆二は笑っていた。



「沖永良部島洞窟探検ツアー?なんだそれ、有希そういうアウトドア系好きだったんだ」


「うん!昨日駅ビルのショッピングモールで景品当たっちゃってね〜」「せっかく夏休みだし行っちゃおうかな〜と思って。ほら、夏休みの課題に使おうかな〜と思って♪」



新井有希が哲喜の机の前で少しニッコリと微笑みながら話している。



「それでー、なんで俺も行かなくちゃいけないんだよー。有希と行くとほら…色々と目立つだろ」



黒髪ロングのゆるふわ系な彼女はクラス一のいや、学年一の美少女である。そんな彼女と探検ツアーにいけるなんて周りのなんて羨ましいやつなんだ!世の中不公平だ!と言わんばかりに周りの男子達から嫉妬の目が向けられているのは言うまでもない。


「うぅ…でもチケット当てられたのは哲喜のお母さんのおかげだし…哲喜のお母さんも幼馴染水入らずで行ってきたら?って言ってたんだもん。」



「母さんの仕業か…」



哲喜の母と有希はよく一緒に買い物に行く仲である。幼少期から哲喜の幼馴染として小さい頃から一緒にいるので、もはや自分のお母さん的存在になっているのかもしれない。

そして有希が哲喜に想いを寄せていることも、きっとこの母親にはお見通しなのだろう。


あらあらうふふと微笑むのが容易に想像つく。

そんなことをわかってか哲喜は頭をポリポリかきながら少しため息をついた。


「わかったよ、行くよ。俺も課題の題材欲しかった所だから」


有希の表情が花の様にパァっと開いた


「うん!じゃぁ来週の土曜日また連絡するね!」


ルンルルンとご機嫌な鼻歌を歌いながら彼女はそのまま自分の席に着いた。



「へいへい旦那〜〜朝からまたイチャイチャしちゃって〜もうこの教室に俺以外の味方はいないと思うぜ〜〜〜」



「隆二…恐ろしいことを言わないでくれ…確かに有希と話始めてから男子達の目から殺気を感じたけど、全部見なかったことにしてるんだから…」


「そんなに嫌ならさっさと付き合って周りを黙らせればいいんじゃないか?哲喜もまんざらでもないんだろ?こういうのは男から告白するもんだぜ」


いつもチャランポランな癖にこういう時だけ男らしい事言うなこいつは…


哲喜は隆二にジト目を向けながらもため息をつく


「まぁ、そうだよな、これを期に夏休み中に告白するよ」

「おお!大将!ついにリア充のお仲間か!くぅ〜!俺は全力で応援するぜ!」


「隆二…せめて旦那なのか大将なのかはっきりしてくれ…」



「そこ!もうホームルーム始まってるぞ!静かにしなさい!」


「はい…すいません…」

「はい…すいません…」


クラス全体に広がる笑い声を聞いて哲喜と隆二は二人して顔を赤く染めるのであった


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