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4ちょろ

女王がついに動き、取り巻きの生徒を連れマリア・エイミス男爵令嬢を連れて行った。

側近がエリックに伝える。


エリックが探すと中庭で数人の女子生徒に囲まれたマリアを見つけた。


「そのでなにをしている!」


マリアの頬に涙の跡を見とり、声をあらげる。

エリックの声で人垣が割れる。

その先にはチェルシーとマリアが対峙していた。

エリックはもう一度問いかけるここでなにをしていたか。


「マリア様からお話を聞いていただけです」


チェルシーが口を開いた。


「ではなぜマリアが泣いている」

「私が聞きたいですわ、少し話しかけたら泣き始めたんですもの」


先日エリックはチェルシーマリアとの関係を聞かれた。

お前には関係あるないことだと無視した。

今それを後悔している。


「大人数で取り囲んだ話もないだろう!」

「私を心配してついてきてくれた友人です」


青い目がエリックを見続ける。


「エリック様はなぜここに?」


冷静なもの言いに腹が立った。


「お前とは話すことなどない!」


エリックはチェルシーに言いすてるとマリアの手を引いて歩き出した。

無言で進んでいくとエリックは足を止めふりかえった。


「あの女になにをされた」


マリアの頬を優しく撫でる。


「な、何もありませんでした」

「ではなぜ震えている」


エリックは優しくマリアを抱きしめた。

何もなかったと繰り返すマリアをいじらしく思う反面、強情さにいらだつ。

私はそんなに頼りないかと。


「……チェルシー様からエリック様は私の婚約者だと言われただけです。そんなのみんな知っているのに」


だから何もなかったんです。

マリアはそう言うがエリックの怒りは増すばかりだった。


「あの女…、女王と驕るばかりでなく」


エリックにはチェルシーと婚約している事実さえ歯がゆい。


「私は何もされていません。大丈夫です」

「しかし」

「こうしてエリック様の腕の中で守られている。それだけで私は幸せです」


マリアの言葉でエリックの心は決まった。


「必ず守る」


エリックはマリアの額に唇を落とすと、マリアは驚きに目を見開く。


「だから、側にいてくれ、永遠に」

「エ、エリック様」

「君を隣に迎えるために少し時間をくれないか」


マリアは小さくうなずきエリックはさらにマリアを抱きしめた。



エリックはチェルシーがマリアに何をしたか調べると、数々の嫌がらせ行為が明らかになった。

持ち物を隠したり、嘘の情報を教えたりはまだ軽度で、ひどいものは制服をやぶく、汚水をかける、暴漢に襲わせるなだとあった。

巧妙にチェルシーの痕跡は残っておらず、他の生徒にやらせていたようだ。


調査結果を元にエリックはチェルシーに裁きを与えることにし、断罪の舞台は学園の舞踏会に決めた。



学園で行われる舞踏会は社交界に出る前の生徒が練習の場として年に一度行われる。

その場には国王も招かれ盛大な会となる。


タイミングは生徒が揃い、国王が訪れるその前に。


エリックは時を待った。


チェルシーは高位貴族であり、エリックの婚約者ということで最後に入場してくる。


普段な腹ただしい婚約者という事実も、エリックに有利に働く。


チェルシーが会場に入るとエリックは、チェルシーに指を突きつけ言った。


「私エリックはチェルシー・アーバンとの婚約を破棄する!」


群衆がざわめく。


「権力をかさにきて下位貴族への陰湿なる嫌がらせを繰り返す。そのような女は国母にさせてはいけない」


さらに言葉を重ねようとしたら、凛とした声が遮った。


「私はそのような下品なことしておりませが…エリック様が『婚約を破棄したい』というならば、私は婚約を取りやめます」


チェルシーの目から涙が零れ頬を伝う。

表情はいつもの無表情だが、涙が次々と頬をつたい、床をうつ。


「では失礼いたします」


美しい一礼を残してチェルシーは扉から出て行く。

エリックも、群衆も、皆女王の見せた涙に動揺した。


なぜ泣く?

怒りをあらわにするのではないのか。


皆動けずにいると、国王の到着を告げる使者が来た。


気まずい、重い空気のまま舞踏会となった。





















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