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1ちょろ

私チェルシー・アルバーン!

元気いっぱい16歳!

ツヤツヤな黒髪はお気に入りだけど、お父様似の鋭い青い目はちょっと怖く見えるみたいで、見てるだけなのにお許しください!って逃げていくの。

ほんと失礼ちしゃう。

おうちはアルバーン公爵家なんだけど私は普通かな?

だってお父様もお母様も兄弟みーんなすごいんだもん。


大好きな家族を紹介するね!

お父様はアルバーン公爵家の当主。

領地経営がとっても上手で領民に慕われてるの。

金髪に青い目がきれいなんだけどちょっと顔怖いかも。

お母様と並ぶと「魔王と囚われの姫」みたいだけど……。



お母様は元隣国の王女さま。

遊学中のお父様と運命的な出会いをして、恋をして、国を隔てて離ればなれになるけど、数々の障害を乗り越え結ばれるの……。

この話大好きでお母様に何度もおねだりしちゃうの。

異国の青年貴族と黒真珠姫のロマンス。

隣国は黒髪に黒目が多くてお母様もそう。

黒真珠と言われた美貌は4人の子持ちには見えないわ。


大兄様はアルバーン公爵家の跡取り21歳。

お嫁さん募集中。

大事だからもう一度。

お嫁さん募集中。

今はたくさん領地のことも勉強中。

学園では首席で卒業で、とっても博識!

知らないことは何もないんじゃないかしらってくらいよ。


小兄様は騎士団所属の18歳。

はては騎士団長と言われるくらい、剣も体術も強いの!

何度か練習を見学したけど、素人の私がみても小兄様の剣さばきはきれいだったなぁ。

ちょっとガサツだけどね!

あと第一王子、アルフレッド様と親友でよく家に連れてくるからみんなびっくりさせられるの。


そして我が家の天使!末っ子のコリン!

お母様の美貌にお父様の色彩を受け継いだ天使!

笑顔が、仕草が、もうかわいい!

10歳だけど頭もいいし、運動も上手。

パーティに出たら女の子を独り占めするに決まってるわ!

心も純真無垢で側にいるだけで癒されるの。

これを神の使いと言わないで何というのよ。



でもそんな家族よりステキなのが私の婚約者。

エリック様♡

王妃様の御子で第二王子で皇太子なの。

私と同じ16歳で、容姿端麗、頭脳明晰、文武両道。

讃える言葉はこれで足りないくらい。

柔らかな金髪は黄金の麦畑より美しいし、青い目は明るい春の空をすくったよう。


ちょろいん♪


もちろん容姿だけでなく、とってもお優しいの。

さりげなくいたわりの言葉をかけてくれたり。


ちょろいん♪


初めて会った日は忘れられないわ。

だって世界が薔薇色に染まった日だから!


お父様に連れられて王宮に行った幼い日。

私は些細なことで怒っていたの。

多分リボンが気に入らないとか、お家で遊びたかったとかそんなこと。

エリック様に引き合わされたけど私はずっとつまらない顔をしていたの。

そしたら、不機嫌な私にエリック様はお花を下さったの。

何も言わず差し出された花を受け取ったとき、私は恋に落ちたわ。


ちょろいん♪


私は決めたの。

エリック様に釣り合う女性になって結婚する!って。

家族に比べて知識や武力、容姿もイマイチだけど……。

エリック様を想う気持ちは誰にも負けないわ!

辛い王妃修行(心の中では花嫁修行って呼んでるけど♡)も頑張るし、学園の勉強も運営も手を抜かない。

エリック様との距離を縮めたり努力全力疾走中。


でも最近悩みがあるの。


ちょろいん♪ちょろいん♪ちょろいん♪


『エリック王子はやめとけにゃー』


私の頭の上から声がする。

羽根の生えた白い子猫が浮いている。

白い毛並みで腰のあたりに大きなハートマークがついている。

肩からベルトを下げ子猫サイズの太鼓を下げている。

子猫が太鼓をたたくたびに、ちょろいん♪と音か響く。

私がエリック様にキュンキュンしてると太鼓をたたくの。


こないだエリック様とお話ししていたら、ちょろいん♪ちょろいん♪ちょろいん♪ちょろいん♪と連打。

王立楽団の打楽器奏者より激しかったわ。

私が何をしても追い払えないし、なにより私にしか見えないから誰にも相談できない!


『僕は君がエリック王子と離れればいなくなるにゃー』


そんなことできないわ!

私どんなことがあってもエリック様のお嫁さんになるんだもん!


ちょろいん♪


もうまた叩いた!

もーおこったわ!

ねこを睨んで言ってやる!


「お黙り」


子猫は尻尾をぶわっとふくらませた!


『うわー怖いにゃー。さすが魔王の娘だの、鉄面皮だの、氷の姫だの言われるだけあるにゃ!』


子猫に散々言われ泣きたくなった。

ふんだ!






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