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真夏の入れ替え物語  作者: シャチー01
7/11

7.話し合い

順二と優子は、互いに戻る方法について話し合う。

 とある休日、駅前のカフェにて順二と優子は向かい合っていた。店内は比較的空いていた。その窓際の席にて、二人の話し合いが始まる。


 事の発端は、順二(優子)である。順二と優子(順二)は互いに連絡先を持っていたため、某トークアプリにて、順二から優子にこんなメッセージを送った。

〈今度、一緒に会わない?〉

 これに対して、優子は

〈なんで?〉

と、返した。一緒に会うのは面倒だと思ったためである。しかし、

〈お互いこのままでいいと思ってる? 私は嫌だよ〉

と、情に訴え掛けた。

〈そうだよな、どこかで会って今後の解決策について話し合おう〉

 優子も合意したのだった。

 それから、会う日時と場所を決め、この日と場を迎えたのである。


「これからどうすりゃいいんだ?」

 切り出したのは優子である。

「それよりまず、今の君の状況はどうなの?」

 順二は訊き返した。

「今の状況って?」

「まずは、お互い入れ替わってから今までどうしてきたか気になるでしょ?」

 順二は念を押すように言った。

「そうだよな、俺は……」

 優子は勉強が危機的な状況になり、担任の先生に家庭訪問されて説教された後、心を入れ替えて仕方なく勉強に励み、何とか巻き返したことを話した。それを聞いた順二は、「はぁ……」と溜息を吐いた。

「私の身体で何やってくれてんの? って感じ。元に戻って迷惑を被るのは私なんだからね。行きたい大学に行けなくなったらどう責任取ってくれるの?」

「そんなこと言うけど、あんたの状況はどうなんだよ?」

 優子は即座に訊き返した。順二も同様に説明した。

 クラスの生徒たちにいじめを受けるようになったこと。運動が急にできなくなり、体育でも馬鹿にされるようになった。このままではまずいと思い、体育の先生に懇願してマンツーマンで教えていただき、何とか巻き返したことを話した。

「あんたも人のこと言えねぇじゃねぇかよ」

 優子は反撃した。互いに不利は被って、何とかカバーしたことに変わりはないのだ。

「そうだよね、ごめん」

 順二は自分の過ちを認めた。続けて、

「私達、どうやって元に戻る?」

 最大のテーマはそこである。順二は優子を真っ直ぐ見て言った。

「さぁな、もう一回ぶつかるとか?」

 確かに優子の提案は最も有力なように思われた。しかし、

「わざとぶつかるの?」

「うん、自転車でな」

「そんなの……」

 順二は一瞬言葉を引っ込めた。しかし、やはり本心は伝えなければ。

「怖くてできないよ」

 二人の間に数秒間の沈黙が流れた。

「そうか……」

 優子は残念に思った。優子の提案は却下された。

 その後もいくつか方法を話し合ったが、どれも実現は難しい。結局、今後の進展は無いまま、互いに引き続き現状の生活を送るということで解散となった。


 店を出て、途中までは一緒に歩く。互いに無言のままだ。

 その時、二人の背後から急に邪悪な気配が……。次の瞬間――!

「んんーっ!」

 順二と優子は、それぞれ何者かに口を押さえられ、そのまま体を掴まれながら連行され、車に乗せられた。そして、車は即座に走り去ったのだった。

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