3.トラブル対応(順二ver.)
ep.3更新です。入れ替わった状態の順二と優子は、それぞれの生活においてトラブルに遭遇。上手き切り抜けられるのか……。
順二は、学校の屋上で計八人の男子生徒に絡まれていた。
「今までお前にやられたこと、たっぷり返させてもらうぜ」
座り込んでいたうちの一人の、短髪のクールな風格の男子生徒が順二に言った。
「ちょ、ちょっと待って……」
順二も黙っていなかった。
「私が一体何をしたっていうの?」
ここで順二、自分が人前でうっかり女言葉で話してしまっていたことに気付いた。一度出た言葉は取り消せない。
「『私』って、お前いつの間にか面白くなったな」
その場にいる男子生徒全員に嘲笑された。順二は恥ずかしかったが、それよりも恐怖感の方が上回っていたので、すぐに気持ちを切り替えた。
「決まってるだろ。お前がこれまでどれだけ俺達に授業妨害してきたか分かってんのか?」
同じく短髪のクールな風格の男子生徒が詳しく答えた。この男子生徒がグループにおいてリーダー格なのだろうと優子は推察した。
「お前の授業妨害のせいで、俺達は迷惑が掛かったんだよ。いつも授業中にゲームしてるし、目障りでしょうがねぇよ。腰パンなんかもやってるけど、俺らからしたらダサすぎて不快でしかねぇんだよ」
「ちょっと待って」
優子は遮った。続けて、
「過去の俺はそうだったかもしれないけど、最近そんなことはやってないよね。既に是正してることを今更言ってくるのはおかしいと思う」
本来の順二の汚点を着せられていることに気付いた優子(中身)は、どうにか反論を試みる。
「過去だろうが今だろうが、俺達が被った迷惑の落とし前はちゃんと付けさせてもらうぜ」
リーダー格の男子生徒が得意げに言った。これから私は何をされるのだろう――そんな不安で順二の頭の中は一杯だった。
その時、順二は屋上から見下ろせる中庭において体育の先生の姿が確認できた。そこで、順二は恥を恐れず行動に出た。
「せんせーいっ! 助けてくださーいっ! 屋上で男子達に襲われてまーす!」
「何だとっ!」
その声に反応した先生は、屋上を見上げて順二達の様子を視認するや、すぐに走り出した。
「くそっ、覚えてろ!」
男子生徒達は、決まり文句を言い捨てて即座に屋上から去った。窮地から解放された順二は、屋上から街の景色を見渡しながら思慮に耽った。
――ずっとこのままだったら、嫌だな……。
優子も同様に窮地だった。ある日の学校の放課後、優子の自宅で、優子と優子の母、そして担任の先生がテーブルを囲んで向かい合っていた。
優子の授業態度があまりにも悪いので、遂に担任の先生が痺れを切らしたのだ。
これから何が始まるかは、言うまでもない。