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短編

夏の思い出

作者: 高瀬めぐみ

暑いなぁと思って思いついた話

オチもなにもないです、ただいちゃいちゃ書きたかっただけです。

1時間クオリティ

淑女な話しかたは今回しておりません。

誤字修正しました。(2017/7/18)

「あーつーいー・・・」



 領地であるベルファインは現在夏真っ盛り、両親と兄夫婦は揃って避暑地にある別荘に行っているというのに私はなぜかこの暑い領地の本宅に残っている。



「お嬢様・・・お行儀が悪うございます。」



 暑さで項垂れる私に、乳姉妹であり侍女であるニーナが嗜める。



「だって、ニーナも暑いでしょ?


 本当なら私もニーナ達も今頃、父様達と一緒にビルバーグの別荘に行っている頃なのに・・・


 それもこれも全部、レンが悪いのよぉぉぉ!!」



「お嬢様・・・グレンノール様を悪く言われるのは如何かと・・・」



 そう言いながらも、ニーナは暑さで額に汗を滲ませて苦笑を禁じ得ないようだ。




 私こと、ミルレンシア・フィーナ・ベルファイン侯爵令嬢がこの本宅に居残っているのは、ひとえに婚約者であるグレンノール・ギレン・バハラム次期侯爵が私に会いにここまで来るという連絡が届いたためだった。



 何もこの暑い最中にベルファイン領に来なくとも、ベルバーグにあるベルファイン家の別荘ならバハラム家の別荘も近いのにと思ったのは致し方ないと思う。




「もうもう・・・暑いんだからぁぁぁ!!


 レンのばかぁぁぁ!!!」



「そんなに怒らなくてもいいだろう・・・僕の可愛いミルレンシア。」



「だって、暑いのよ!!


 ベルファイン領は盆地にあるから、余計に暑いのよ!!


 って・・・あら・・・いつ来たの?」



 聞こえるはずのない声に気づいて振り向くと、開いた扉の前に案内役の侍女と共にグレンノールが立っていた。




「今着いたとこだよ、僕の可愛い婚約者殿。


 怒った顔も可愛いけど、君には笑顔でいて欲しいかな。」



「だったら、この季節に本宅じゃなくて別荘で会う約束にしておいてよ!」




 涼しい顔をしているグレンノールに余計に腹が立って、私は地団駄を踏む勢いで詰め寄って言った。




「まぁ、そう怒らないでおくれよ。


 別荘だと邪魔が多いし、連れて行きたい場所があるしね。」



「何よ、どこ行くのよ!


 つまらなかったら婚約解消してやるんだから!!」



「それは内緒。とりあえず馬車でうちまでおいで、夕食を済ませてから出かけよう。」



「なんですって!?バハラム領に今から?


 何の準備もしてないわよ!!」



「大丈夫大丈夫、全部我が家で準備するから・・・君は僕にエスコートだけされてればいいから。


 じゃあ、そういうことで後はよろしくニーナ。」



 ニッコリと笑顔でニーナ達侍女に言葉を掛けて。グレンノールは私に有無を言わさず連れ去るように馬車へと乗り込んだ。


 ニーナ達は心得たとばかりに、揃って頭を下げて私を見送るが私は冗談じゃない。



「ちょっと待ちなさいよ!私普段着なのよ!!


 こんな格好でバハラムの小父様達に会えないわよ!!!」



「それなら問題ないよ、父上達も今頃別荘でベルファイン侯爵達と楽しく過ごしているからね。


 我が家には最低限の侍女と召使達しか残していない。」



「あぁ、そうなのね・・・って、えぇぇ!?


 ちょっ・・・んぅぅ・・・」



 驚きの声を上げる私の口を、グレンノールが自分のそれで塞いだ。



「さっきからこの可愛い口は煩すぎるね。


 そんなに驚かなくてもいいと思わないかい?」



「だってレンが・・・あん・・・ぅん・・・」



 言い返そうとする私の口を、再度グレンノールが塞ぐ。


 口付けは何度も角度を変えて、深さを増していき、私は息苦しくてグレンノールの胸を叩いて抗議するが、全く容赦してくれそうになかった。



 やっと解放された頃には、私の意識は身体から離れる手前だった。




「可愛い僕のミルレンシア・・・そんな目を他の男に向けないでおくれよ。


 僕でさえ、我慢の限界に近いんだからね。」



「他の殿方なんて、話す機会もないじゃないの・・・


 夜会に出ても、私に声を掛けようとする殿方を威嚇しまくってるくせに!」



「当たり前だよ、僕の可愛い婚約者殿に近づく男共には、あれでも生ぬるいくらいだからね。


 それでも君に声を掛けようとした不貞の輩には、きっちり後で制裁も忘れていないよ。」



 私の言葉に、にっこりと笑顔で恐ろしいことを白状してくれる。

 あぁ、壁の花になっていたときに気を遣って声を掛けてくださった殿方達ごめんなさい。



 夜会に出ると数曲踊ったあとしばらくグレンノールが私の側を離れて、殿下の下に執務関係の話をしにいく事が度々あった。

 実はそれがグレンノールがいらぬ虫を徹底的に駆除するために、わざと隙を見せていたと知ったのは、私がグレンノールと正式に婚姻を済ませた後だったのは違うお話。




 そして、その夜バハラム領にある丘の上で、晴天の夜空に流れる流星群を見上げながらグレンノールに再び意識が飛ぶほど口付けられたのは、暑い夏の思い出。



読んでいただきありがとうございました

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