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彼女は大人になった2(ギルバートside)
今日も彼女の待つ寝室に入る。
カチャッと扉を開けても彼女の声が聞こえない。寝ているのだろう。寝ていて欲しいと伝えても待っていてくれる彼女には珍しい。私も寝ようかと思って布団をめくったら、シーツが赤くなっていた。それに驚くのと同じくらい、嬉しい。ほの暗い悦びが胸を占める。
「クララ、クララ起きて。」
クララは眠いだろうに怒らずに労ってくれる。他人のことを考えられる彼女はやはり素敵な女性だ。私は彼女と話しながら浴場に連れて行く。私から伝えたら彼女も恥ずかしがるだろう。私も大人になった、としか言えない。年甲斐もなく恥ずかしい。
彼女を侍女に任せて、寝室も整えてもらう。私はワインを飲んで心を落ち着かせていた。
恥ずかしがっているクララに私はキスをした。ファーストキス、なんて可愛いことを言う彼女はリンゴみたいに真っ赤で初めて会った時のことを思い出した。また私は君を幸せにすると誓うよ。
クララ、ごめんね。こんな目でキミを見ている私をどうか嫌わないで。君が僕のところに落ちてくるように、君が驚かないようにゆっくり攻めていくから、覚悟していて。