初めての朝チュン?
クッソヤロークッソヤロー
朝チュンならぬ朝クッソヤローだ。この国には雀みたいにチュンチュン鳴く鳥はいなくて、代わりにクッソヤローと鳴くヤロー鳥がいる。こんな変なBGMが流れていても、横に眠る彼の周りからは澄んだ空気が流れ込んでくるようだ。詐欺だろ。
改めてまじまじと彼を見る。マツ毛が長くて、羨ましい。対する私はどうだ。私の想像する王族とは違って、茶髪に平均的な顔。7歳という年齢は無条件で可愛さを与えてくれるけど、それも今は逆効果なんじゃないだろうか。昨日は泣いてすがってしまったから、もう大人っぽくするというのは諦めようか。私はやっぱり彼の愛を望むのは難しいのかもしれない。国のために結婚して国のために生きる彼を好きな人の元に送り出すのが、私の役目なのかもしれない。いや、きっとそうだ。
例え主人公が彼のルートを選ばなくても、彼は私のことを妹としか見れなくて悩むのだ。ゲームの中でなくて実際に王妃と王様が離婚できるのかは分からないけど、きっと主人公となら彼は幸せになれるはず!なら私は、彼と主人公の恋愛を応援しよう!
そう、そうと決まれば彼が私の元を離れるまでとことん甘えよう!
時は金なり。早速私は彼のお腹にスリスリする。うむ、良い筋肉ぞ。励むが良い。
「ははっ!くすぐったいよ。もう起きたんだね。」
彼は笑いながら私の頭を撫でてくれる。
「はい、おはようございます。」
「うん、おはようございます。」
彼の顔を見上げると、にっこり笑ってる。うう、まばゆい。それからチュッと私のおでこにキスをした。きっと私は真っ赤だ。
「ほら、おはようのキスは?」
彼は寝転がったまま自分の頬を指して笑ってる。
「お父様とお母様にしかしたことない。」
「じゃあ3人目か、嬉しいな。」
嬉しそうに笑うからしょうがない。ここは幼女パワーでメロメロにするしかない。私は彼の頬にチュッとキスをした。
次話はまだ7歳にしました。(05.28)