初夜はドキドキ?2
「うっうっ涙がっとっとまらないよー。」
前世を思い出したけど、精神が身体の年齢に引きづられてる。
悲しい。もうこのまま悲しみから抜け出せないんじゃないかと思ってしまうくらい悲しい。でも私は知ってる、こんな悲しみは遅かれ早かれ誰でも経験して、そしていつか乗り越えられるのだ。それでも、分かってても悲しいものは悲しい。
「クララ様、入りますよ。」そういってギルバート様が入ってきた。まだ結婚式のキラキラしい服のまんまだ。今までまだ挨拶回りしてたのかな。
「こんな年上と結婚させてしまって申し訳ありません。」
恐がらせないようになのか、彼は床に膝をついて、ベットの脇に座る私を下から見上げた。
「ち、違うのです。父や母が亡くなり、私が一人になってしまったことを思い出してしまって。」
話しながらもほろほろと流れる涙が止められない。
彼は私をぎゅっと抱きしめて、
「貴方は強いのですね。悲しみを受け止めて泣ける強さがある。」
そういって背中をさすってくれる。あったかい。私を抱きしめてくれる人なんて、両親が死んでから誰もいなかった。侍女たちは優しいけど、親しくはなれないのだ。
思わずぎゅっと彼の服を掴む。
「今日はこのまま寝てしまおう。」
彼は布団を開けて私を抱きつかせたまま寝ようとする。
「服がしわになっちゃう。」
皺を取るのは大変なのだ。
彼は何だかビックリした後、笑って上着を脱いでシャツ一枚になってからまた私を抱き込んで一緒に横になった。
完全に子ども扱いだけど、でも、この暖かさを今は手放せそうにない。
私は彼の暖かさを甘受して眠りについた。
「今日から私は貴方の家族です。貴方は一人じゃない。」彼が小さく呟いた言葉を私が聞くことはなかった。