日常(午前)
「あちぃ…」
シベリアンハスキーの血が入っていることもあり、暑さにとことん弱い。
今は8月。夏真っ盛りだ。
ここ2、3日はずっと家から出ずに、クーラーと扇風機の付いた部屋で引きこもっている状態だった。
今日はクラスの友達に誘われたこともあって、集合場所に向かっているのだが…。
それにしても暑い。
しばらく涼しさになれていたから、余計に暑く感じる。
蝉の声がまた暑さを引き立てる。
「よう!風太」
「おう…」
集合場所にはすでに友達が集まっていた。
天然の金髪が特徴のゴールデンレトリバーの琉維。
目つきが鋭いドーベルマンの魁。
「どうした?夏バテか?」
魁が肩をポンッと叩いた。
「シベリアンハスキーにはこの暑さは駄目だ…」
「そうだね~ 俺も毛が長いからさ。」
琉維は自分の尻尾の毛をいじりながら言う。
高校2年の俺ら。
「どうする?カラオケる?」
「ん~…俺買い物したいんだけど」
あれこれと提案をしている2人。
そんなことより俺は…
「とにかく、建物に入ろう!!」
とりあえず、近くのファッションビルに入った。
夏休みの真っ最中。人が大勢いた。
「ここ入ったんだし、買い物しようぜ」
琉維がそう言ったことで今日のプランは決定。
俺らの服の趣味はバラバラ。
琉維は、ベストやカーディガンといったイギリス紳士風。
魁は、迷彩やタンクトップなどの軍隊風。
俺はというと、灰色や黒のポロシャツが多い。
服選びも終わり、同じビルにあるレストランで食事をしている。
「服の趣向も犬の頃と似るのかな?」
琉維がナイフとフォークを器用に使い、肉を食べながら言った。
「さあな。」
それに対して、骨付き肉にがっつきながら魁が答える。
「帰りたい…」
俺は、冷たい飲み物に頬をつけている。
「じゃぁ、風太の家行こうぜ?」
「そうだな。」
「行き先へんこー!俺んち!!」