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うみのひ。

作者: 小波

ぴは待ってた。丸が追ってくるのを。だから三角も四角も代わりの誰かは連れて行けない。

海の底まで心が届きそうな夜に、月はまんまるでぴは目の周りがぼんやりしてきた。小さな丸が涙みたいにコロコロ落ちる。本当に底の中まで歩いてみようかしらん。自暴自棄って程じゃない。地に足がついてるだけ、ただそれが息の届かない海の中だというだけだ。


半分に切った光がお月様の真下に落ちてる。あの光を目指したら溺れないと思う。ぴは砂の上をざわざわと歩み進める。竜宮城では美しい姫様が踊っているだけだろう。わざわざ怖い場所へ行くはずはない。


丸は追っては来ない。ぴは目の下の小さな玉を前足で拭う。ぴは今夜海のものになる。


ピンク色の粒が泡と波に揉まれて旅を始める。見えない場所へ放り込まれるのは生まれる時以来の快楽があった。光る君は、月の影を瞼の中に隠してる。

ずっと好きだった。

愛されたかった。

もうわからないから探しに行こう。


誰かが言ってた。青い鳥は帰ればいるんだって。自由に飛ぶより胸の中に始めからいるって。じゃあなぜ僕は潜るのか。丸が後から追ってきた。愛なんか探しに出たって碌なことはないと丸をこぼしながら笑っている。

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― 新着の感想 ―
丸が取れた「ぴ」=「ひ」で、「日(太陽)」ということなのかなと思いました。海の底に沈んでいく様は、海辺の日没を思わせますね。
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