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#067 : 新作のゲームを配信するぞぉ!



その日の午後、カレンと美咲は、ライブ後初めてのゲーム配信に向けて、準備を進めていた。ライブという非日常の熱狂から、いつもの日常に戻ってきた二人。しかし、その空気は、以前よりもずっと穏やかで、心地よいものだった。


「よし、美咲。準備はできたよ!」


カレンが、ヘッドホンをつけながら、美咲に声をかけた。美咲は、PC画面の最終チェックを行い、カレンの隣に座った。


「うん。いつでもいけるよ。今日のゲーム、すごく楽しみだね」


美咲が言うと、カレンは、にっこりと微笑んだ。今日の配信でプレイするのは、最近二人がハマっている、協力プレイ専用のパズルアクションゲームだ。キャラクターの能力を活かし、二人で協力してステージをクリアしていく。


「みんな、待ってるかなぁ」


カレンが、少しだけ緊張した面持ちでつぶやいた。美咲は、そんなカレンの手を優しく握った。


「大丈夫だよ。てか私楽しみすぎて、ずっとワクワクしてたんだから!」


美咲の言葉に、微笑みながらカレンは、こくりと頷いた。美咲の隣にいれば、どんな場所でも、どんな時でも、自分らしくいられる。カレンは、美咲の手をぎゅっと握り返した。


そして、カウントダウンが始まった。


「3、2、1……」


配信開始の音が鳴り、二人のアバターが画面に映し出される。




配信が始まると、あっという間にたくさんのリスナーが集まってきた。コメント欄は、歓迎の言葉で埋め尽くされている。


「きたー!」

「待ってたよ!」

「美咲ローズてぇてぇ!」

「let’s go!!!!!!」

(いくぞー!)

「この新作ゲームちょっと気になってたんだよね」

「これ結構難しいって聞いたな」

「I hear this game is kinda hard my friend didn’t go to the last part.」

(このゲーム結構難しいって聞いた事ある、私の友達は最後ら辺まで行けなかった、)

「来た来た!」



「みんな、こんばんは! 美玲エラと、ローズバイトで今日は、この新作の協力プレイゲームを、二人でプレイしていきたいと思います!」


美咲がゲームのタイトルを紹介すると、ゲームが起動した。ファンタジーな世界観のステージに、二人のアバターが現れる。カレンが操作するのは、剣と盾を操る騎士。美咲が操作するのは、魔法の弓を操る魔法使いだ。


「よし、ローズ。私が魔法で道を開けるから、先に進んで!」


美咲がそう言うと、カレンは、盾で美咲を守りながら、道を切り開いていく。二人の息はぴったりだった。


しかし、ステージが進むにつれて、パズルの難易度が上がっていく。


「あ、美咲! そのスイッチはまだ押さないで!」


カレンが慌てて叫んだが、美咲はすでにスイッチを押してしまった後だった。すると、頭上から大きな岩が落ちてきて、二人は押しつぶされてしまった。


「www」

「お約束!」

「美咲ちゃん、ドンマイw」

「初見なんだけど美咲って誰だよ、」

「あーあwwww」


コメントに笑いが生まれる。すると配信のコメントを見た美咲が答える。


「あー今更だけど、知らない人も居るか、私こと美玲エラは!本名が美咲なんですよーって今なんでVtuberが本名バレしているかと言うと、説明に結構時間かかるから公式サイトやファンが作ってくれたサイト、掲示板を見てくれると助かるー」


「意外と知らない人いるよ」

「oh that’s why Rosebite is saying Misaki

(あーだからローズは美咲って呼んでるんだ)

「あの伝説の物置配信か、」


カレンはそんなの知らないかのようにゲームへと話題を戻す。


「もう! 美咲は本当にポンコツなんだから!」


カレンは、呆れたようにため息をついた。しかし、その言葉には、以前のような冷たさはなく、どこか楽しそうな響きがあった。


「ごめん、ローズ! 私が焦っちゃったみたい……」


美咲がしょんぼりとした表情で謝ると、カレンは、美咲の肩に手を置いた。


「いいよ、次頑張ればいいんだから。それに、ポンコツな美咲も可愛いし」


カレンの言葉に、美咲は、顔を赤らめた。


「てぇてぇ!」

「ロゼ、ずるいぞ!」

「もう最高じゃんw」

「tee tee is goooooood」

(てぇてぇは良き)

「照れてる美玲最高かよ」

「ぁかわよ」

「^ - ^我高みの見物」


二人のやり取りに、リスナーは大いに盛り上がった。


その後も、二人は何度も失敗を繰り返した。美咲が敵にやられたり、カレンがパズルの謎が解けなかったり。そのたびに、二人は笑い合い、互いを励まし合った。


そして、ついに最後のステージにたどり着いた。


最後のパズルは、これまでのステージで学んだことをすべて活かす、最高難易度のものだった。


「カレン、右の道、私が開けるから。カレンは、左の道から進んで、一番奥のスイッチを押して!」


美咲が、落ち着いた声で指示を出すと、カレンは、静かに頷いた。


二人の連携は、完璧だった。


美咲が、魔法で敵を足止めしている間に、カレンは、素早くパズルを解き、スイッチを押した。すると、隠されていた扉が開き、二人は、ついにクリアすることができた。


「やったー!」


二人は、同時に叫び、ハイタッチをした。


「やったね! 美咲!」


「うん! ローズ、ありがとう!」


二人は、ゲームクリアの喜びを、心から分かち合った。


配信後の温かい時間


配信を終えた後、二人は、リビングのソファでくつろいでいた。まだ少しだけ体が熱い。それは、ゲームに集中していたからだろうか、それとも、二人で一つの目標を達成した喜びからだろうか。


美咲は、スマホで今日の配信のコメントを読み返していた。


「今日の配信、本当に最高だった!」

「二人の仲の良さが伝わってきた」

「いやぁ、まじてぇてぇ配信いいな」

「まさかゲームクリアするとは思わなかった」

「それな」

「いやぁ普通に凄いな」

「俺クリア出来なかったからこの二人マジ凄い」

「Brava」

(素晴らしい!)


たくさんの温かいコメントに、美咲の心は満たされていった。


「ねぇ、美咲。今日の配信、どうだったかな?」


カレンが、美咲の肩に頭を乗せながら、尋ねた。


「最高だったよ。みんな、カレンの毒舌も、喜んでたしね」


美咲がそう言うと、カレンは、少しだけ照れたように笑った。


「もう! 美咲ったら!」


カレンは、そう言って、美咲の腕を優しく叩いた。その仕草には、以前のような冷たい響きはなく、ただ、愛しさがこもっていた。


美咲は、そんなカレンの横顔を、じっと見つめていた。



二人の関係は、より深く、強固なものになった。それは、何よりも、カレンの心を温かく満たしていた。


二人のVTuberとしての物語は、これからも、様々な困難を乗り越えながら、続いていくだろう。


しかし、二人の心は、永遠に、一つだった。

読んでくれてありがとうございます。


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