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#065 : 愛のある毒舌

 


 ライブを終えて数日後、カレンと美咲の日常は、少しだけ変化していた。ライブの成功をきっかけに、二人のチャンネル登録者数は飛躍的に増え、配信のコメント欄には、英語のメッセージが、以前よりも多く見られるようになっていた。


 その日の午後、美咲は、ソファでくつろぎながら、カレンの個人配信を視聴していた。今日の配信は、リスナーからの質問に答える、まったりとした企画だった。


「一つ目行きます!『ローズさん!こんばんは!私はいま英語を勉強しているのですが、何かコツや上達する方法を教えてください!』なるほどね、英語か」


「そうだねー、私の場合はお母さんがアメリカ人だったから、小さい頃も今も、会話する時は英語で会話しているからなぁ、どうなんだろう。」


「あっあと上達する為にはとにかくアウトプットが大事とにかくしゃべる事、日本人が英語を喋る事が難しいと感じるのはスピーキングより書く事、読む事が重要視されてるからそれが問題だと思うよ?」


「はい、次の質問。えーと……『ローズバイトさんは、最近、すごく優しくなりましたね。ちょっと寂しいです』、だって」


 カレンは、質問を読み上げると、少しだけ困ったような表情を浮かべた。


「え、私、優しくなったかなぁ? そんなことないと思うんだけど……」


 カレンの言葉に、コメント欄は、「優しくなったよ!」「昔はもっと、塩対応だったのに」といった声で埋め尽くされた。


 美咲は、そのコメントを読みながら、少しだけ複雑な気持ちになった。


(確かに……カレン、最近、毒舌がなくなっちゃったなぁ)


 美咲は、カレンと出会った頃のことを思い出した。

「何、そのダサい服」「美咲、ポンコツだね」といった、カレンの容赦ない毒舌に、何度も心が折れそうになった。しかし、それは、カレンが心を許した相手にしか見せない、特別な一面でもあった。


 美咲は、カレンの変化を、嬉しく思う反面、少しだけ寂しく感じていた。


 配信を終えた後、美咲は、カレンの部屋に入っていった。


「カレン、お疲れ様」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲の方を向いた。


「美咲……ねぇ、私、本当に優しくなったのかな?」


 カレンは、少しだけ不安そうな表情を浮かべていた。


「うん。優しくなったね。でも……それが、寂しいって言ってる人もいたよ」


 美咲は、そう言って、ファンからのコメントを見せた。


 カレンは、そのコメントを読み、深くため息をついた。


「やっぱり……私、変わっちゃったのかな……」


 カレンは、そう言って、少しだけ俯いた。


 美咲は、そんなカレンの気持ちを察して、カレンの隣に座った。


「カレン。私はね……カレンの毒舌、大好きだよ」


 美咲の言葉に、カレンは、美咲の方を向いた。


「カレンの毒舌は、愛があるから。カレンが、心を許した相手にしか見せない、特別な一面だからね」


 美咲の言葉に、カレンは、少しだけ照れたように笑った。


「そうかなぁ……?」


「そうだよ! だから、私はね、最近、カレンの毒舌がなくて、ちょっとだけ寂しかったんだ」


 美咲は、そう言って、カレンの顔を覗き込んだ。


 カレンは、美咲の顔を見て、少しだけ考えてから、言った。


「へー。美咲って、マゾなの?」


 カレンの言葉に、美咲は、目を丸くした。


「えっ!?」


「だって、私の毒舌がなくなって、寂しいんでしょ? 変態だね」


 カレンは、そう言って、にやりと笑った。


 それは、美咲と出会った頃の、カレンの容赦ない毒舌だった。しかし、美咲は、その言葉に、少しも傷つかなかった。むしろ、嬉しくて、心が温かくなった。


「もう! カレン、ひどい!」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲の頭を、優しく撫でた。


「冗談だよ。でも……美咲の言う通り、私、少しだけ、変わっちゃったのかもしれないね」


 カレンは、そう言って、窓から差し込む夕日を見つめた。


「でもね……美咲と出会って、私が変われたのは、美咲が、私の隣にいてくれたからだよ」


 カレンの言葉に、美咲は、胸が熱くなった。


 その日の夜、二人は、二人でゲーム配信をした。


 配信が始まると、たくさんのリスナーが集まってきた。


「みんな、こんばんは! ローズバイトです。今日は、美咲と、二人で、ゲーム配信するよ!」


 カレンがそう言うと、コメント欄は、喜びの声で埋め尽くされた。


 配信中、カレンは、ゲームのミスをした美咲に向かって、言った。


「何やってんの、美咲! ポンコツすぎでしょ!」


 カレンの言葉に、美咲は、少しだけ戸惑った表情を浮かべた。


 しかし、リスナーは、その言葉に、大きな声で喜んだ。


「おー! ローズの毒舌、久しぶり!」

「これこれ! これが、ローズの配信だよね!」

「待ってました!」

「she is back let’s go!!!!!」

(彼女が帰ってキタァ!!!)

「OMG I am so happy!!!!」

(やばいまじで嬉しい!!!)


 カレンは、リスナーの反応を見て、にっこりと微笑んだ。


「you guys are very gross」

(君たち本当にキモいね)


 カレンがそう言うと、コメント欄が爆破した。


「あ、俺、マゾかも、」

「ぁぁ^_^」

「yeah she’s really back」

(あぁ、彼女は本当に帰ってきたようだ)

「ま、まずい!俺の中がムズムズすぅ!」

「効くぅ、」

「ねぇなんて言ったの?英語わからなすぎて、泣く」

「↑東大へ行け!」


「ほらね、美咲。みんな、私の毒舌、好きなんだよ」


 カレンがそう言うと、美咲は、少しだけ照れたように、カレンの腕を、優しく叩いた。


「もう! ローズったら!」


 二人の間には、いつものように、笑い声が満ちていた。


 配信を終えた後、二人は、リビングのソファで、くつろいでいた。


「ねぇ、カレン。やっぱり、カレンの毒舌、最高だよ」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲の方を向いた。


「そう? まぁ、美咲のためなら、いつでも毒舌、言ってあげるよ」


 カレンの言葉に、美咲は、胸が熱くなった。


 それは、カレンが、美咲を心から信頼し、愛しているからこそ、言える言葉だった。


 二人の関係性は、ライブという大きな出来事を経て、より深く、強固なものになった。


 カレンの毒舌は、以前のような、誰かを突き放すようなものではなくなった。


 それは、美咲との絆が深まったからこそ生まれた、愛のある、温かい毒舌だった。


 二人のVTuberとしての物語は、これからも、様々な困難を乗り越えながら、続いていくだろう。


 しかし、二人の心は、永遠に、一つだった。

読んでくれてありがとうございます。毒舌要素を完璧に忘れていました土下寝します。

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