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#056 : 二人旅計画

 


「見て、カレン! 再生回数、すごいことになってるよ!」


 美咲は、興奮した声で、タブレットの画面をカレンに見せた。


 新たな世界の始まりを告げるVlog、「二人暮らしのモーニングルーティン」は、公開からわずか一日で、これまでにない再生回数を記録していた。コメント欄も、温かい言葉で溢れかえっている。


「うわ……すごい……」


 カレンは、美咲の隣で、驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべていた。


「最高の朝だね!」

「二人の空気感に癒される……」

「てぇてぇがすぎる!」

「もっとプライベートな二人が見たい!」


「みんな、喜んでくれてるね」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲の方を向いて、にっこりと微笑んだ。


「うん。本当にありがとう、美咲。全部、美咲のおかげだよ」


 カレンの言葉に、美咲は、少しだけ照れたように笑った。


「違うよ。全部、私たち二人でやったことだよ」


 その言葉通り、このVlogは、美咲がカメラを回し、カレンがナレーションを担当し、二人が協力して作り上げたものだった。


 その時、コメント欄に、さらに多くの要望が寄せられていることに、美咲は気づいた。


「次は二人旅Vlogだ!」

「温泉Vlogが見たい!」

「一緒に旅してほしい!」


 美咲は、そのコメントを見て、カレンに尋ねた。


「カレン、どうかな? みんな、私たちと一緒に、旅がしたいみたいだよ」


 カレンは、その言葉に、少しだけ考えてから、静かに頷いた。


「……うん。いいね」


 カレンの瞳は、以前のような不安の色はなく、期待と希望に満ちていた。


 二人は、リビングのソファで、二人旅Vlogの計画を立てることにした。


 タブレットには、日本各地の観光地の写真が映し出されている。


「うーん……沖縄もいいし、北海道も行ってみたいなぁ……」


 美咲は、楽しそうに、画面をスクロールした。


 その隣で、カレンは、静かに画面を見つめていた。


「ねえ、カレン。行きたい場所、ある?」


 美咲がそう尋ねると、カレンは、少しだけ迷ってから、一つの場所を指差した。


 そこは、桜並木が美しい、古都の写真だった。


「ここ……昔から、ずっと行きたいって思ってたんだ」


 カレンは、そう言って、遠い目をした。


「でも、一人じゃ……行く勇気がなかった」


 カレンは、過去に、一人で多くのことを乗り越えてきた。プロとしてのプレッシャー、孤独な戦い。しかし、その強さの裏側には、一人では踏み出せない、小さな不安が隠されていた。


 美咲は、そんなカレンの気持ちを察して、優しくカレンの手を握った。


「大丈夫だよ。今度は、私がいるから」


 美咲の言葉に、カレンは、安心したように、美咲に寄りかかった。


「ありがとう、美咲。美咲がいてくれて、本当に良かった」


 その言葉には、過去の孤独な自分と、今の幸せな自分を、比較するような、深い安堵が込められていた。


 旅の計画を進める中で、二人は、旅先でやりたいことについて話し合った。


「ねえ、カレン。旅先で、ゲーム配信とかしてみない?」


 美咲がそう言うと、カレンは、少しだけ考えてから、首を横に振った。


「ううん。今回は、ゲームはいいかな。ただ、美咲と、景色を見て、美味しいものを食べて、のんびり過ごしたい」


 カレンの言葉に、美咲は、少しだけ驚いた表情を浮かべた。


「そっか。カレンは、ゲーム、本当に好きだったから……」


 美咲がそう言うと、カレンは、美咲の手を、ぎゅっと握った。


「ゲームは、今も好きだよ。でも、それ以上に、美咲と、こういう時間を過ごすのが、もっと好きになったんだ」


 カレンの言葉に、美咲は、胸が熱くなった。


 夜になり、二人は、旅の計画を終え、ソファでくつろいでいた。


 カレンは、美咲の膝に頭を乗せ、今日の出来事を話した。


「ねえ、美咲……私、ずっと考えてたんだ」


 カレンがそう言うと、美咲は、優しくカレンの髪を撫でた。


「ランカーとして、頂点を目指すこと……それは私の夢だった。でも、それは、一人でしか叶えられない、孤独な夢だったんだ」


 カレンは、そう言って、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。


「でもね、今は、もう違うんだ。私の新しい夢は……」


 カレンは、そう言って、美咲の顔を見つめた。


「美咲と二人で、みんなに幸せを届けること。それが、私の新しい夢だよ」


 カレンの言葉に、美咲は、何も言えなかった。ただ、カレンの瞳に、深い愛情と、決意が満ちているのが分かった。


 美咲は、カレンの頭を、優しく抱きしめた。


「うん。二人で、最高のVTuberになろうね」


 美咲の言葉に、カレンは、静かに頷いた。


 それは、カレンが「ランカー」という肩書を捨てた後、初めて見つけた、心からの夢だった。


 そして、その夢は、美咲と二人でしか叶えられない、特別な夢だった。


 二人のVtuberとしての物語は、今、新しい夢を乗せて、穏やかに、そして力強く、動き始めた。

読んでくれてありがとうございます。

鼻血止まらない、、

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