#005:世界が動き出す海外メディアの取材依頼
配信を終えた直後、私は机に突っ伏した。
「つ、疲れた……ッ!」
コラボとはいえ、毒舌を一時間以上続けるのは、想像以上に神経を使う。
リリスのノリに助けられた部分も大きかった。
だがその疲れも、すぐに吹き飛ぶような事態が起きた。
ピコーン。
スマホに通知が来る。リライブ運営からのチャット連絡だった。
【Re:Liveクリエイターサポート】
「RozeBite様宛に、米国のエンタメメディア《StreamScene Global》から取材申し込みが届いております。
オンラインインタビュー形式にて、翻訳サポート付きでの実施となります。ご確認ください」
「……は? メディア取材?」
一瞬、脳がバグった。
StreamScene Globalは、私も聞いたことがある。
海外の大手配信者やバーチャル系クリエイターを特集する、英語圏最大級の動画メディア。
まさか、自分がそんなところから声をかけられるなんて。
私は混乱しながらも、マネージャーに連絡を入れる。
「……ってことで、どうすればいいの? 断る? 受ける? 英語バレてるし、今さら隠せないし……」
『もちろん受ける。むしろ、受けないと損』
即答だった。
マネージャーの神田さんは、いつも淡々としているのに、今日は妙に食い気味だった。
『このタイミングで海外メディアに取り上げられたら、完全に“世界進出の旗印”になる。お前は今、波に乗ってる。逃す手はない』
「……でも、英語の受け答えとか……キャラが崩れたりしたら……」
『英語バレてるんだから、むしろ“地が出たRozeBite”を見せたほうがファンは喜ぶ』
私はしばらく黙って考えた。
たしかに今の私には、「作った癒し系」でも、「隠していた二面性」でもなく、
“毒舌で本音を話すキャラ”としての立ち位置が求められている。
「……わかった。やってみる」
私はスマホを握りしめ、返信欄に「Yes. I'm in.」とだけ書いた。 →私も行くわ
世界が、少しずつ動き始めていた。
読んでくれてありがとうございます