#041 : 証明する歌
―――ユニバーサルVTの歌謡祭への出演が決まってから数日後。
カレンと美咲は、事務所の会議室で、作曲家と顔を合わせていた。作曲家は、柔らかい物腰の中年男性で、名前は佐々木という。
「さて、お二人のデュエット曲ですが、事務所からは『二人の関係性を歌にしてほしい』と聞いています。まずは、お二人のイメージを聞かせてもらえますか?」
佐々木がそう言うと、美咲が口を開いた。
「私は、クールでかっこいい曲がいいです。RozeBite先輩と私、二人の個性を際立たせるような、力強い曲が希望です」
美咲は、Vtuberとしての自分を完璧に演じたい、という思いが強く、歌でもそれを表現しようとしていた。
美咲の言葉に、カレンは少しだけ戸惑った表情を浮かべる。
「美咲……私は、優しい曲がいいな。私たちの絆とか、優しさが伝わるような、温かい曲が歌いたいです」
カレンは、歌を通して、美咲への感謝を伝えたいと思っていた。
美咲とカレンの意見は、正反対だった。クールでかっこいい曲。優しくて温かい曲。二人の間に、少しだけ険悪なムードが流れる。
佐々木は、そんな二人の様子を見て、何も言わずにノートに何かを書き込んでいた。
「美玲エラさんは、クールな自分を表現したい、と。RozeBiteさんは、美玲エラさんとの絆を表現したい、ということですね。どちらも、大切なことだと思います」
佐々木がそう言うと、美咲が改めて口を開いた。
「でも、ライブは一発勝負です。失敗は許されません。私は、RozeBiteを支えるために、完璧な自分でいたいんです」
美咲の言葉は、以前カレンに語った、あの日の言葉と重なる。完璧な自分でいたいという美咲の想いは、カレンを支えるための、美咲なりの愛情表現だった。
だが、カレンは、美咲の言葉に胸が締め付けられるような思いがした。
「美咲……なんで、そんなに無理するの? 失敗したっていいんだよ。私は、完璧な美咲じゃなくて、ありのままの美咲が好きなのに」
カレンがそう言うと、美咲はハッとしたように顔を上げた。
「だって……私、カレンに迷惑かけたくないし……」
「迷惑なんかじゃない! 私たちは友達でしょ? 美咲は、美咲のままでいてくれれば、私はそれで十分なのに!」
カレンはそう言って、美咲の肩を掴んだ。美咲は、カレンの真剣な眼差しを見て、静かに涙を流した。
「ごめんね、カレン……私、ずっと無理してた。カレンを支えるために、完璧なVtuberにならなきゃって、一人で頑張ってた」
美咲の言葉に、カレンは美咲を優しく抱きしめた。
「もう大丈夫だよ、美咲。私たちは一人じゃない。二人で、一緒に頑張ろう」
カレンの温かい言葉に、美咲は静かに頷いた。
二人の本音を聞いた佐々木は、笑顔でペンを走らせる。
「ありがとう、お二人さん。お二人のおかげで、最高の曲ができそうです」
佐々木がそう言うと、二人は顔を見合わせた。
「お二人のデュエット曲のテーマは、『クールで、優しい曲』にしましょう。美玲エラさんのクールな力強さと、RozeBiteさんの温かさが、一つになるような曲です」
佐々木がそう言うと、美咲は「そんな曲、作れるんですか?」と尋ねた。
「作れますよ。お二人の絆が本物だって、僕が証明してあげます」
佐々木の言葉に、美咲は静かに頷いた。
それから数日後、佐々木から、二人のデュエット曲が完成したと連絡があった。タイトルは、「ユア・メロディ」。
二人は早速、曲を聴いた。そこには、美咲のクールで力強い歌声と、カレンの優しくて温かい歌声が、一つのメロディーとなって響いていた。
そして、サビの部分で、二人の声が重なり合う。
『君が隣にいたから、私は強くなれた』
その歌詞に、二人は静かに涙を流した。
「美咲……」
カレンは美咲の顔を見た。美咲は、カレンの顔を見て、優しく微笑んだ。
「この曲、私たちにしか歌えないね」
美咲の言葉に、カレンは力強く頷いた。
二人は、ユニバーサルVTの歌謡祭に向けて、デュエット曲の練習を始めた。
二人の歌声は、お互いの心が通じ合い、一つのハーモニーとなって響き渡る。
二人の絆は、誰にも壊すことのできない、かけがえのない宝物になっていた。
読んでくれてありがとうございます。
歌といえば最近友達とカラオケに行ったんです。けど、私は結構歌うのが好きで、その日もお気に入りの曲を歌っていたら、採点で100点が出たんですよ!皆さんも得意な曲とかありますか?




