#004:毒舌vs毒舌?!リリスとの初コラボ!
コラボ配信が始まる30秒前。
「……ふう、やるしかないよね」
画面の左側に私、RozeBite。
右側には同期Vtuberの**Lilith_Ray**が並んでいた。
リリスは、黒髪ゴスロリ風衣装に、吸血姫っぽい小悪魔キャラ。
人気のある配信者で、しかも毒舌キャラという点では私と同系統……のはず。
カウントダウンが終わり、配信スタート。
「みなさん、こんばんは〜♡ 闇夜の薔薇こと、リリス・レイで〜す♪
今日はついに、あの話題の“毒舌姫”とご一緒しちゃいます〜♡」
「へえ、“闇夜の薔薇”?」
私は軽く口元を歪めた。
「That’s cute. Like, fake edgy cute.」
《可愛いじゃん。なんちゃって中二っぽくて》
「ちょっとぉ、第一声からディスりなの? Rozeちゃん」
リリスが猫のように目を細める。
「I’m just being honest, darling.
You look like a cosplay failed its charisma check.」
《正直言ってるだけよ、ダーリン。コスプレで魅力チェックに失敗したみたい》
コメント欄:
《うわ始まったww》
《毒舌姫vsゴスロリ悪魔、開戦!》
《She just roasted her outfit lmao》
⇒《衣装ディスってて草》
《リリス負けるなー!》
「じゃあRozeちゃんのその“全身トゲトゲバラ”は何?
お花屋さんに捨てられたやつ?」
「Says the girl who looks like she fell into a goth dumpster.」
《ゴス風のゴミ箱に落ちた女がよく言うわね》
バチバチにやり合いながらも、どこか楽しげだった。
「でもさ〜、Rozeちゃんって、もともと癒し系だったんだよね?」
「急に毒舌キャラになったって、演技じゃないの?」
「You think this is fake? That’s cute.」
《演技だと思ってるの?可愛いわね》
「No baby, this is me finally breathing.
I’ve just stopped lying to everyone.」
《これはやっと“素”で息できてるってだけよ。もう自分に嘘つくのやめただけ》
コメント欄:
《Rozeちゃん…ちょっとカッコイイ》
《Damn that hit.》⇒《ちょっと刺さった》
《本音キャラいいなあ》
《This duo is fire》
「……でもまあ、こうしてバチバチやってるけどさ」
リリスが少しだけ声を和らげた。
「私、Rozeちゃんが“本当の声”で配信してるの、ちょっと嬉しいよ」
「……」
画面越しには映らないけど、私は少し目を細めて笑った。
「Thanks. Now shut up and lose.」
《ありがと。でも、黙って負けてくれる?》
「おっけ〜! じゃあコラボ恒例の『即興毒舌しりとり』、始めよっか!」
配信は、大盛り上がりのまま続いていった。
コメント欄が「神回確定」「切り抜き案件」の文字で埋まるころ、
私はようやく、毒舌キャラとしての“自分の居場所”を見つけ始めていた。
――これが、世界に牙をむくVtuber・RozeBiteの、次なるステージだった
読んでくれてありがとうございます