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ミュートを忘れたら英語ネイティブVが世界一になった話  作者: 久家
第二章 : 二人の物語、二つの世界
38/85

#038 : 夫婦漫才

配信回でございまーす!

 


 RozeBiteと美玲エラの初コラボ配信当日。


 二人はリライブプロダクションが用意した貸しスタジオの配信ブース内にいた。防音室特有の、閉鎖された空間。目の前には、配信画面が映る大きなモニターと、高性能なマイクが二本。


 配信開始まで、あと10分。


「緊張するね、カレン……」


 マイクを握る美咲の手が、微かに震えている。クールな美玲エラのアバターとは裏腹に、その表情は少し強張っていた。


「大丈夫だよ、美咲」


 カレンはそう言って、美咲の肩をポンと叩いた。


「私たちは、いつも隣にいるんだから。いつも通りで、大丈夫だよ」


 カレンの言葉に、美咲は少しだけ緊張を解いたように、ふっと息を吐いた。


「そうだね……ありがとう、カレン」


 配信開始、5分前。二人は最終チェックを終え、各自のアバターへと意識を集中させる。


 カレンは、ふと美咲の顔を見た。美咲がVtuberになることを決意した、あの日のことを思い出す。自分を支えるために、不慣れな世界へ飛び込んできた親友。その想いが、カレンの胸を熱くした。


「よし、カレン、準備はいい?」


 美咲がそう言うと、カレンは力強く頷いた。


「もちろん。いつでもOKだよ、美咲」


 そして、時計の針が、配信開始時間を指した。


 画面が切り替わり、紫と銀の光が交錯する。


「皆さん、こんばんは! RozeBiteだよ!」


 カレンがいつもの、弾むような声で挨拶する。


「……こんばんは。美玲エラです」


 美咲の声は、クールで落ち着いたトーン。しかし、僅かに震えているのが分かった。


「えー、本日は、初の公認コラボ配信にお越しいただきありがとうございます! 今日のゲストは、なんと新人Vtuberの美玲エラさんです!」


 カレンがそう言うと、コメント欄は瞬く間に「美玲エラだ!」「待ってた!」といった興奮の声で埋め尽くされた。


「Wow, she's really good!」

(うわー、彼女本当に良いね!)


「RozeBite and Mirei Era The coolest collab ever!」

(RozeBiteと美玲エラ史上最高のコラボだ!)


「え、もしかして、美玲エラってRozeBiteの奥さん!?」


 そんなコメントが流れた瞬間だった。


「え、夫婦漫才!?」


 カレンがそう言って、驚きを隠せない。美咲は、そんなカレンを見て、フッと笑った。


 They really look like a married couple lol

(本当に夫婦みたいだw)

「これは確実に結婚してますねメガネクイ」

「Mirei Era, the wife of RozeBite.」

(美玲エラ、RozeBiteの妻だ。)


「や、やだ、やめてよ! 美咲、なんか言ってよ!」


 カレンは顔を真っ赤にして、美咲に助けを求める。美咲は、そんなカレンを見て、くすくす笑いながら答えた。


「はい、そうです。私がRozeBiteの奥さんです」


 美咲はそう言って、冗談めかして笑ったが、その瞳の奥は真剣だった。


「え、マジか!?」


 ファンは、美咲の言葉に大盛り上がりする。


「Mirei Era! The perfect wife!」

(美玲エラ!完璧な奥さんだ!)


「I'm loving this so much!」

(これ、めちゃくちゃ好き!)


「さて、次は、お互いの出会いについて話していこうか」


 美咲がそう言って、トークテーマを切り替えた。


「RozeBiteは、美玲エラとどこで出会ったんですか?」


 美咲の問いに、カレンは少しだけ言葉を選ぶように話す。


「うーん……そうだね。私がちょっと大変な時があって、その時に美咲が助けてくれたんだ。それから、ずっと一緒」


 カレンは、配信事故の詳細は伏せつつも、美咲への感謝を伝えた。


「Their friendship is so beautiful!」

(二人の友情、すごく美しいね!)


「I love their bond.」

(二人の絆、大好き。)


「美玲エラは、RozeBiteのことをどう思ってる?」


 カレンが尋ねると、美咲は少しだけ考えてから、答える。


「……RozeBite先輩がいたから、私もVtuberになろうって思えたんです」


 美咲の言葉に、カレンは胸が熱くなった。


「私も、美玲エラと出会えて、本当に良かったよ」


 カレンはそう言って、微笑んだ。


 配信の終了時間が近づいてくる。


「最後に、美玲エラから、ファンの皆さんに一言お願いします」


 カレンがそう言うと、美咲はマイクに向かって、深々と頭を下げた。


「RozeBite先輩の隣で、Vtuberになれて、本当に良かったです。これからも、RozeBite先輩と、二人で頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!」


 美咲の言葉に、カレンは少しだけ涙ぐんだ。


「I'm crying.」

(泣いてる。)


「They are the best.」

(彼女たちは最高だ。)


「私も、これからも、隣にいてくれたら嬉しいな」


 カレンはそう言って、美咲の顔を見た。美咲は、カレンの言葉に、嬉しそうな表情を浮かべる。


 配信は盛況のうちに終わり、二人は画面から姿を消した。


 そして、二人だけの空間に戻ると、美咲はカレンを優しく抱きしめた。


「ありがとう、カレン」


 美咲の言葉に、カレンは何も言わなかった。ただ、美咲の温もりを感じながら、静かに涙を流していた。


 二人の新しい物語が、今、始まろうとしていた。

もうこの2人結婚させたいや、

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