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ここなら!

「ヨシモト先輩!」

ノブナガは叫んだ。

「馬四駆についての案が出たか?」

「やっぱり……」

「何だ?」

ノブナガはヨシモトの相槌に強く応えようとする。だが勇気が出ない。絶対ダメって言うだろう。そればかりか、今までの関係性も保てなくなるかもしれない。だけどここで言わなきゃ。ノブナガは唾をのむ。汗が垂れる。

「やっぱり、アースキララを使わせてください」

「!?」

ヨシモトは心臓が止まったかのように硬直する。

「本気で言ってるのか?」

「俺はこんな、こった冗談言いませんよ」

「ムムムムム」

今度はヨシモトの額に汗が流れ始め、目は動かない。まるで、メデューサににらまれて石化したかのようだ。

「し、仕方ないな……」

ヨシモトは今度は目を泳がせながらノブナガに応じる。

「じゃ、じゃあ」

ノブナガが手を伸ばす。ヨシモトは「ダメだ!」と言って、ノブナガの手を振りほどき、アースキララをひっつかみ、部室を出た。

「僕を捕まえれたら、アースキララをあげてもいいぞ! ただし、今日中にだ!」

ヨシモトはドアの外でわめいた。

ノブナガ達はため息をつきながらその様をまじまじと見る。

「じゃあな、皆の衆!」

「……」

「どうする? ノブナガ?」

みんなはノブナガに判断をゆだねた。

「行くぞ捕まえに!」

「どこを探す?」

「前ユキムラを探した時みたいにばらけるか?」

「その必要はなぇ。気づいちまったんだ。空中脱シューズを使えば、上空から探せるということを。それにこの部室にあるヨシモト先輩がよく使ってる双眼鏡がある」

「まだ遠くには行ってないはずだ」

ノブナガは上空に飛びあがった。三百六十度見渡す。しかし、見つからない。

「どうせやると思ったぞ。森の幹の影に隠れて正解だった」

ヨシモトは上空を見上げる。

「ここなら見付からない絶対に」

「ヨシモト先輩いた?」

「いや、全然」

ヒデヨシや、ケンシン、ミツヒデ、ユキムラも仕方なく上空に上がり、周りを見下ろす。

「いない!」

「どうすんだ? ノブナガさんよ?」

ユキムラはにやにやしている。

「手分けして探す!」

ノブナガ達は、花火のように散らばった。

「私を置いてくな!」

「イエヤス! お前は近くの森でも探してくれ!」

ノブナガの声は飛行機雲のように伸び、消えた。

ヨシモトはそれを小耳にはさむ。

「ここにいてはダメだ!」

ヨシモトは逃げられずに森にいるしかなかった。ノブナガの包囲網は万全だった。ヨシモトは魔道具に手を伸ばす。

「使い切りの魔道具久しぶりに使うか!」

ヨシモトはそうは言って、ちらちらと部室の方を見る。

イエヤスは一人うずくまっている。

「どうしたというのだ」

ヨシモトは声を漏らし、立ち尽くす。

イエヤスは気づかない。

「よくわからんがここにいれば安全らしいな」

ヨシモトは幹の影にぽつりとはまった。そして数時間が過ぎた。いつの間にかヨシモトは眠っていた。

「魔力よ纏われなさい!」

イエヤスは成風を通ろうとしていた。自分の足で。イエヤスは一歩一歩と足を送るが二歩目のところでどうしても追い返される。一歩、二歩、一歩、二歩……。

「うゎゎゎああイライラする!」

「何度もわめくのでヨシモトは目が覚めた。

一歩、二歩、一歩、二歩……。

「きゃあああ!」

イエヤスは何度も何度も森に足を踏み入れる。弾かれる。

「今度こそ!」

イエヤスは丹田に力を入れる。魔力が体の血管と細胞のあれもこれもにいきわたった。

「心地いい!」

「とうとう魔力を手にしたか」

ヨシモトは感心する。

「じゃあ、そろそろ別の場所に隠れるとするか」

ヨシモトは木の幹から起き上がろうとする。ヨシモトの尻は持ち上がらない。

「バカな!」

ヨシモトの尻は木の幹にすっぽりはまってしまっていた。

「クッソ。このままでは俺は捕まってしまう。いや、かえってそのほうが良い、このまま生涯を終えることになるよりはましだ。イエヤス来い!」

ヨシモトは叫ぶが、イエヤスは一度森に入った経験を胸にしまい、部室に帰っていった。

「クッソ! クッソ! クッソぉぉぉ!」

しばらくしたらまたヨシモトは叫び疲れて眠っていた。

ノブナガ達は戻ってきた。

「いたか?」

「いない」

「だが飛んでる時どうすればヨシモト先輩を見つけれるのか気づいたよ」

ノブナガはにやにやしている。

「ホントか?」

ヒデヨシはほっとした。そして目をキラキラさせた。

「俺達以外で飛べる奴、そして郵便を運ぶ奴がいる。どこにいてもどんな時でもそいつは現れる。何故なら魔動物の郵便屋だからだ」

「溜めるな、焦らすな、早く言え!」

「慌てるな。ヒデヨシ、そいつはこれだ!」

何やら小動物が遠方より飛んできた。

「ムササビだよ。ヤマネこいつなら居場所がすぐに特定できるはずだ。俺はそう踏んだ」

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