try to!
「行けるわけないじゃない! 私こんな成風が強いところ、一人で歩いたことないのよ!」
「イエヤス! 大人になれ!」
ノブナガはイエヤスに激励を下す。
「ヒデヨシ! この馬鹿に何とか言ってよ」
「……」
ヒデヨシはため息をつく。
「ヒデヨシ!」
ヨシモトは双眼鏡でその様をまじまじと見ていた。
「さて、全員無事でこの森を超えれるかな」
「今日は無理~。明日にしよう!」
「明日は、士気道があるんだよ。かつかつなんだよ。俺達」
「無理、無理よこんなの」
「クッソ、埒が明かねぇ」
ノブナガは困り果てる。イライラして貧乏ゆすりも始まりそうだ。
ヒデヨシはイエヤスに背中を見せしゃがむ。
「私の背中に乗ってくれ」
「ありがとう!」
「けっガキが」
「ユキムラなんか言った?」
「いいえ、何も」
「それじゃ、奇々怪々部部室に出発!」
イエヤスは元気よく一人盛り上がる。
「やれやれだ」
ノブナガは一呼吸し、森の中に入る。
ノブナガ一行はこうして奇々怪々部の部室にたどり着いた。
部室の外には誰もいない。ノブナガは部室のドアを開けた。
その瞬間だった。パンッ。
「うわぁ!」
クラッカーの音だった。
「ようこそ、奇々怪々部へ!」
魔法で部屋中が赤と金の色になり、心地よい春風が吹いている。空中にはようこそ奇々怪々部への文字が泳いでいる。
「思ったよりいいところじゃない!」
イエヤスはびっくりした。感動の目さえ浮かべている。
「じゃあ、早速、馬四駆を作るか!」
「はい!」
ヨシモトは馬四駆のプラモデルを持ってきた。
「馬四駆は、使用者の魔力が、いかに入り込み制御できるかで決まる。士気道の球をコントロールするのと似た感覚だ」
ノブナガ達はプラモデルに夢中だ。ヨシモトはそれでも説明を続ける。
「そして、馬四駆は風で走る。魔風と呼ばれるものだ。成風の上位互換だと思えばいい。魔力と、成風が混ざりあり、魔風となり馬四駆は走る」
「え!? 成風に上位互換なんてあるの!?」
イエヤスは飛びつく。
「ああ、ある」
ヨシモトは成風の入った手のひらサイズの蛍光灯のような物を、六かける六団子から、出す。
「今から見せてやる。魔風の力を」
ヨシモトは白馬の王子様シリーズの名門アースキララに目を向けると、手を震わせる。
「何してるんですか?」
イエヤスはワクワクドキドキし、今か今かと、身構える。
ヨシモトはカタカタと手を震わせる。
「出来ない」
「!?」
「もし走らせて壊しでもしたら、僕は……」
「もう貸してください」
イエヤスはアースキララをくすねようとする。
「触るな!」
ヨシモトは反射的にそれを阻止し、アースキララを守り切った。
「守備かてぇな」
ノブナガはため息をつく。そして提案する。
「一からプラモを組み立てて作りましょう!」
「流石はノブナガだ。意義なしだ!」
ヨシモトは嬉しそうだ。
ノブナガ達はニッパーで部品を切り離していく。
「これどこのパーツ?」
「あ、それ俺が探してたパーツじゃん」
タイヤをはめ、ボディーをはめ、長編映画が一本見れるぐらい時間をかけて車体が完成した。
「後は、この成風で」
ヨシモトは、完成した馬四駆を掴み、成風の入った、道具をくっつけた。鍵を持つ。
「クリリアン号発射!」
この馬四駆の名はクリリアン号だ。クリリアン号は床を駆け回る。それだけじゃない。重力に負けじと壁を上る。まるで狩りをするときの蜘蛛のように素早い動きだった。
「凄い!」
みんな感動してそれを見つめる。
「まぁスピード付けすぎると壁に当たった時すぐ壊れちゃうんだけどね」
ヨシモトは馬四駆のスピードを徐々に緩め、停止させた。ノブナガ達の目の前に停まった。




