滝とノブナガ5
ノブナガは、次の日から再び滝に通い始めた。滝を斬る修行は、数日間続いた。
ある日、ふとノブナガは首を傾げた。
「……よく考えたら、なんで他に滝を斬ってる奴がいないんだ?」
その疑問に、突然声が返ってきた。
「それは、この地域の滝なら、どこで修行しても構わないからだよ」
「誰だ?」
「僕はヨシモト。君は?」
「ノブナガだ」
「いい名前だね」
「サンキュー。……って、お前どこから湧いて出たんだよ!」
「失礼な。滝の向こうから来ただけさ」
「……なんか、いい人そうだな」
「ノリがいいからね。僕はアズチ魔法学校から来たんだ」
「魔法学校? 何しに来たんだ?」
「指導に、だよ」
「は?」
「君、水門斬りがうまくいってないだろう?」
「……なんでそれを」
「だって、それ以外にここにいる理由があるとは思えないし」
ノブナガは言葉に詰まった。
「君、腰が入ってないんだ。飛び道具系の魔法ならそれでも何とかなるが、接近型の技術じゃ無理だね」
ヨシモトの助言を受け、ノブナガは腰の使い方を意識し、薪を割るようなイメージで魔剣気を滝に振るった。
すると――滝が、少しずつ裂け始めた。
「やるじゃないか。君、センスあるよ。僕の指導でここまで一発で成果を出すなんて、なかなかないよ」
ノブナガとヨシモトは、それぞれに自信を取り戻していった。
「じゃあ、アズチの世で君を待つことにするよ」
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