表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/56

なんだよ

「どりゃあぁぁぁ!」

ノブナガは白い球に薪を割るかのような大きな一撃をくらわす。白い球は弾け飛ぶ。

太鼓が鳴り響く。

「終了!」

「一試合目、一年チームの勝ち!」

「やっと俺の番ってわけね」

リュウセイは楽しそうに準備体操をする。

「両チームけが人が多いため、今回は、一年の勝ちとする」

「やった……」

ノブナガは喜びの言葉を口にするも、意識はほとんどなかった。ただ、ほのかな暖かさが体を包んでいた。


ヒデヨシ達は、保健室にいた。

「ユキムラ」

「な、何だよ。ヒデヨシ」

「お前、馬四駆の大会に出たいか?」

「何だよ急に」

「ノブナガが集めている。メンバーをな」

「!?」

「一緒にやってくれないか?」

「ノブナガのためにか?」

「いや……」

ヒデヨシは窓付近を見る。そして、ユキムラを見る。

「自分のためにだ。自分自身のために」

「……」

「あと、スポーツ大会にも出てやってほしい」

「!?」

「……」

「ノブナガは強化スポーツにもお熱なのか?」

「いや、イエヤスが仲間を集めてる」

「そ、そうか」

「どうだ?」

「わかった。出るよ」

「お前ならそう言うと思ってたよ。ありがとう」

ユキムラは顔を赤らめ、それを隠すように布団をかぶる。とはいえ、カーテンが隔ててあるのでどのみち見えない。


「ノブナガもう時間がない」

「わかってる! 分かってるさそのくらい!」

「大丈夫か?」

「余裕余裕余裕」

ノブナガはそう言いつつも冷や汗をかく。ダラダラ、ダラダラと汗は頭から滴り落ちる。

「ダメかもしんねぇ」

「おいクラスの吹き出物! 俺が手を貸してやろうか?」

ユキムラが寮の廊下の前方の曲がり角から急に飛び出してきた。道路なら間違いなく車に引かれている。

「どこから湧いて出た?」

ノブナガはユキムラをにらむ。

「にらむなよ。そんなことで。俺が馬四駆のメンバーに入ってやろうと思ってな」

「あ、大丈夫です。間に合ってるんで」

「!?」

「ノブナガ?」

「ミツヒデ、こんな奴にぺこぺこしようなんて無茶な話だぜ」

「まぁ俺はいいけどね」

ミツヒデはノブナガに寄り添った。

ユキムラは泣くこともせず、怒りもせずただただ突っ立ている。

「何だよ。俺は必要じゃなかったのかよ」

ノブナガ達はユキムラの前を通り過ぎ、廊下の角を曲がる。

「すいませんでした!」

ユキムラが突然泣きじゃくる。ノブナガとミツヒデは目を大きく見開いて後ろを向いた。まさか、あのユキムラが泣いてまで懇願するとは!

振り向くとユキムラは廊下の真ん中の線の上で、正座し、次の瞬間には土下座をし、頭を地面に深々とつけていた。鼻からは大量の鼻水、目からは壊れた水道のような涙。

「ユキムラ……。お前……」

ノブナガとミツヒデはそれを見てふうっとため息をついた。

「わかった。わかったよ。ユキムラ。お前を、メンバーの一人に入れてやる。だから顔をあげろ」

ユキムラはそれでも、泣いていた。

「ありがとう!」

ユキムラはくちゃくちゃの顔で確かにそう言った。声がごもっていてよくは聞こえなかったが確かにそう言っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ