見取り稽古!
「礼!」
「お願いします!」
開始線を三歩進んで礼をする。それと同時に、声を出した。そして、下がると同時に大将が「行くぞ!」と叫び、拳を握り肘を下げる。同じチーム同士は右回りで選手同士が拳をぶつけて鼓舞する。
先鋒は空中脱シューズを吹かせる。
審判は、やや遠くからその様を見る。
お互いの先鋒はそれぞれの開始線にもう一度立つ。
「始め!」
赤と、白の球が一個ずつ同時に空中に放り出される。互いの先鋒は、シューズで走り込む。そして……。
「飛んだ!」
まるでサーフィンをやるかのように空気という、波に乗っている。
Aチームの先鋒ガバンはさらに加速し、相手チームの赤い球を、左カーブで追いかける。
「どりゃ!」
競技用魔剣気は空を走り、球をとらえる。Bチームの赤い球は一個割られてしまう。Bチームの先鋒ムラガキも加速する。Aチームの白い球はイナズマ型ボールという型のボールらしい。左右にジグザグ回っている。ムラガキは焦って追いかける。ガバンは空高く舞い上がり急降下する。ムラガキにタックルを食らわせる。ムラガキは自慢の足腰そして、空中脱シューズでこらえる。ガバンも、ムラガキも反動で軽く後ろに下がる。ムラガキは、地面に足を突かない。加速。再度Aチームの球を狙いに行く。ガバンはそれを追う。
ムラガキは速い。だがそれでもガバンのスピードには及ばない。ガバンはムラガキの目の前に現れる。右足で踏みつけるように蹴り飛ばした。ムラガキは地面に吸い寄せられる。まるでブラックホールのような引力だ。ガバンは急降下する。追いかける。
「だりゃ!」
ガバンは魔剣気を振りかぶる。ムラガキの腹に命中する。ムラガキは地面に転がり込む。横向きに。
「ムラガキ反則!」
「へ?」
ノブナガは驚く。周りを見渡す。
「地面に落ちたら反則を取られ一分間コートに入れないんだ」
ヒデヨシは試合を見ながら応える。
試合は続く。
Bチームの二個目の球が排出される。しばらく球を泳がせたら、ガバンは球に向かって加速する。球は発射後十秒間は追ってはいけないことになっている。ガバンは球を切った。三個目も出る。切る。悠々自適に飛び回る。
二分が経ち、ムラガキとそれぞれの次鋒も乱入する。
「ガバンぶっ殺す!」
ムラガキは目をとがらせ、ガバンをにらみつける。発進早々、ムラガキはガバンに体当たりする。ガバンはそれをかわす。ムラガキは暴走列車だ。ガバンに体当たりを仕掛ける。ガバンはそれをひらりひらりとかわす。
「お前じゃ無理だ」
Bチームの次鋒、クレナイはAチームの球を追いかけていた。
Aチームの次鋒レイナはクレナイの前に現れたり、Bチームのボールを破壊しに行ったりしている。Bチームは球を一つも破壊できないまま中堅、副将……。そして、大将が今まさに出ようとしていた。
「流石に強いなAチーム。俺が何とかしなければ……」
「悪いけど、今回も僕らが勝つよ」
「ヨシモト、調子に乗らないことだな」
「忠告有難う。でも負け筋は一切ない」
大将が戦に突入する。
「俺、コノガタがお前らを勝ちに導くぞ!」
コノガタと、ヨシモトは開始線から飛び立つ。
「Aチームの守備している球は全部で十個こっちは、一つ。俺が、全部の球をぶった切る。先鋒から中堅までで、白い球を死守しろ! 副将は俺をフォローしろ!」
「はい!」
「そうはいかない! 君達は今回もコールド負けだ! 十個の球は僕が引き受けた! 全員で後一個破壊しろ!」
「わかりました!」
「なめすぎだろ!」
コノガタは副将のミヤマと一緒に球に近づく。その上空を通って、上から、ヨシモトが君臨する。
「さぁどうする?」
コノガタは右に、ミヤマは左に一度それてヨシモトの横を通る。通る瞬間だった。ヨシモトが、魔剣気を左右に振り回し、コノガタとミヤマの顔面をとらえたのは。
コノガタとミヤマは地面に急降下する。
「君達の負けだ!」
「まだ! まだ終わっちゃいねぇ!」
コノガタは加速した。ヨシモトを抜いた。
「バカな!」
「まだあいつらは俺を信じてボールを死守してくれている。絶対俺は諦めてはいけないんだ! 絶対勝つ!」
「こっちだって、あいつらの思いを背負っている!」
「同じか!」
コノガタの目の前に球が飛んできた。
「諦めなければ、勝てる。当たり前の方程式だ!」
コノガタの刀は赤い球に振り下ろされる。
「あと九個!」
しかし、その後はヨシモトの刀が球を切る勝ちの方程式を、許さなかった。
「あぶねぇ」
ヨシモトは間一髪のところで、振り下ろされる刃を自身の魔剣気を斜め横にして受け止めた。
「これがAチームだ!」
コノガタはバックする。左に方向転換。加速。
「懲りねぇ奴」
ヨシモトは加速する。
ブザーが鳴る。
「終了!」
試合は突如終わりを告げた。
それぞれの開始線に選手達は並ぶ。
「九対零でAチームの勝利!」
Aチームは喜ぶそぶりも見せずに紳士的だった。
「ありがとうございました」
「Aチームすげぇ!」
リュウセイは大はしゃぎだ。
「同じメニューで練習してるのにここまで違うのか?」
「ノブナガ確かに私も同感だ。妙だ」
「考えすぎじゃないのか?」
ミツヒデは小さな声でボソッと言った。
「そうかな」
「そうだよ」
ノブナガの疑問をミツヒデは簡単に流した。




