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「実は私達は、乗馬で怪我してしまいまして」

「なるほど」

「話を聞こうか、とりあえず。ベットに横になりなさい」

保健室には白いベッドと、白いマクラが二つずつ置かれている。ノブナガ達はそれぞれベッドであおむけになる。

「君は、腹がきれいに切れているね。ではこの薬だ」

「君は脳震盪か……。ならこの薬」

ムラカミ先生はてきぱきと診断する。調合した薬を飲ませる。そして、ムラカミ先生はトイレに行くと言って、どこかに行ってしまった。

「二人っきりになっていしまったな」

ヒデヨシは唐突に話始めた。

「ヒデヨシお前もう少し自分自身に甘くなったほうが良いぞ」

「それはお前にも言えることだぞ」

「あのままだと死んでもおかしくなかった」

「まぁな」

「というか、イットウサイも止めろよな」

「それは私も思った。でも、それはイットウサイ先生の優しさでもあるんじゃないか?」

「あれは優しさなんかじゃない。馬鹿なだけだ。あれは人を殺す馬鹿だ」

ノブナガ達はその日の授業のあれもこれもを欠席した。


その夜のことだ。

ヨシモト先輩今日も、夜の店に行ってるのかな……。ノブナガは夜の店に一回行ってみたくてしょうがなかった。ヨシモトが言っていることを知って楽しそうだと興味を持ってしまったからだ。あの時、ヨシモト先輩と一緒に行っていれば……。ノブナガは全然寝れなかった。そして、考えに考えた末、自分が持つもう一つの仮面を六かける六団子から、出した。

「よしこれだ」

ノブナガはタガメの仮面を顔に押し付けた。部屋を出て階段を駆け足で降りる。

「よっしゃ! 行くぜ!」

ノブナガはスキップで川沿いの道を軽やかに進み、裏長屋を何件か超える。

ノブナガは仮面をつけていたのであまり緊張することなく夜の店に足を運び入れた。

「いらっしゃいませ!」

中に入ると、右側にはたくさんの女子生徒が先生や、生徒達と何か飲んでいる。楽しそうにボディータッチや腕に絡みつくなどスキンシップをしている。そして、みんな赤い椅子に座り、飲み物を茶色のテーブルに置いている。左側には、大蛇のように長いまっすぐな先が少し湾曲した茶色のテーブルがあり、赤い椅子が数えきれないほど並んでいる。

「カウンター席にします?」

金髪の優しそうな目の女性がニコニコして、尋ねる。

「それともテーブル席かな?」

ちらっと、目線を右手に移す。ノブナガの鼓動は早くなる。

「て、テーブル席にします」

「ちょっと高くつくよ?」

「お金ならいくらでもあるんで」

「私は、アヤカ。これでもナンバーワンキャバ嬢なのよ」

「へぇー」

ノブナガはテーブル席に案内される。一番手前の席だ。ソワァのようで湾曲した椅子に座る。

「誰か指名したい人とかいる?」

「特にいません」

「じゃあこちらが今、一番キラキラしている子を伺わせますね」

「はい」

女性はノブナガの耳元で呟く。

「もしかしたら、ワンナイトも期待できちゃうかもよ?」

「!?」

「ケンシン呼んで!」

「はーい」

カウンター席の奥の部屋からケンシンが出てきた。

「こんにちはぁ。私はケンシンです」

「こんにちは。ノ、いや、こんにちは」

「ん?」

「いえいえ」

「座っていい?」

「あ、どうぞ」

ケンシンはノブナガの左隣に腰を降ろした。それはまるでタコつぼに流れ込むタコのように素早い。ノブナガのお尻に自身のお尻を、摺り寄せる。

「何歳ですか?」

「え?」

「言いたくないなら言わなくてもいいですけど。聞いてみたいなぁ」

ケンシンは、自身の顎に右握りこぶしを置き、ノブナガの目の深い所まで見つめる。でも、穏やかな優しい目だった。

「えっと、十三歳です」

「へぇー! そうなんだ! 同い年だね」

「へ……。へぇーそうんなんだ……」

「堅いよ。もう少し楽にして良いんだよ」

「ここってどういう店なんですか?」

「どういう店だと思う?」

「えっと……」

ノブナガが言いかけるとケンシンはノブナガの右耳に口を近づける。

「な・い・しょ」

ケンシンの吐息がかかる。ノブナガの鼓動が早くなる。ケンシンの口が離れる。ノブナガの顔は真っ赤になる。

「君面白いね」

「全然」

「最初、私恐かったなぁ」

「何で?」

「私の好きな人に似てたから」

「どんな人だったんですか?」

「敬語じゃなくていいよ」

「どんな人が好きだったの?」

「えーとね……」

夜の店によからぬ来訪者が来た。ヤマカガ先生だ。

「お前らここからは大人だけの時間だ。明日の授業に響く。中学生は帰れ!」

「えー」

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