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はい!

ノブナガが今いるのは四階の家庭科室の隣にある悪の魔法の防衛術の部屋だ。理科室のような薬品や人体模型が置かれている。極楽鳥の二十人の生徒がいくつかの塊になって騒いでいた。そこに、銭亀鳥の生徒、不死鳥の生徒、始祖鳥の生徒が、群をなして、入ってくる。さらに、基本魔術科の担当教師のルナ先生が現れた。チャイムが鳴る。各自席に座った。

「今日は、委員会決めをします。この中のほとんどの生徒が委員会に入ってもらいます」

生徒達は静かになった。

「では生徒会から決めます。各クラス一名ずつです」

ノブナガは生徒会に立候補するかしないか考え込んでいた。この世界を変える以上生徒会に入っておくべきか……。でも勇気がない。ノブナガが迷っているとミツヒデが手をあげた。

「え?」

「俺がやります」

ノブナガにとって、ミツヒデは物静かで波風立てないイメージだった。そんな彼がまさか生徒会に入る勇気があったのかと驚く。そして、思う。ここで生徒会に立候補しなくては、一年間悔いが残る。絶対、生徒会に入るべきだ。そして、ノブナガは震える手を根性で上にあげた。

「はい!」

「では、生徒会に入りたいという熱をみんなの前で伝えてください!」

「へ? それって演説ってことですか?」

「はいそうです」

ノブナガは手をカタカタと動かし、足も踏ん張りがきかなくなった。

「ミツヒデ君からどうぞ」

ミツヒデは何喰わぬ顔して、席を立ち、先生の横黒板の前に立ち、演説を始めた。

「僕は、昔から人と接することが苦手で、中学になるまでこれと言った友達は出来なかったです。そんな中、似たような同じような暗い経験を持つ方と、友達になりました。僕は共通の経験が人を友達にするということを知りました。僕は、みんなに、共通の楽しい経験を送り、みんなの、団結力を高め、一人でも多くの友達を作れるように応援します。だから、生徒会に入りたいと思い、立候補させて頂きます」

拍手喝采だった。ノブナガは冷や汗をダラダラと流す。袖でこする。目に染みる。前を向く。

「ヤバイ」

「ノブナガ期待してるぞ!」

リュウセイは笑いながらプレッシャーを与える。ここでぼろくそだったら、あいつのいい養分だ。絶対成功してやる。でも、話すことが見つからねぇ。ノブナガは抜き足差し足で、黒板の方に歩く。

「さっさと歩け!」

すでに笑いものだった。そんなノブナガもこれ以上笑いものにはなりたくない。絶対、生徒会に入ってやる。この演説絶対乗り越える。と言いつつノブナガは六かける六団子からゲンゴロウの仮面を取り出しつける。

ノブナガは生徒の方を向き口を開く。

「こんにちは。僕の名前は」

その光景に一部の人はあざけ笑い。一部の人は爆笑。そして一部の人はヤジを飛ばした。

「おい、ふざけんな! 仮面を取れ!」

ノブナガは顔を隠し続ける。

「僕の名前はノブナガです」

「聞いてんのか!」

「僕は、弱い人間です。肉体的に、そして精神的に、僕は人前に出て注目を浴びるのが怖くて怖くてしょうがないんです。だから仮面をつけてしまう。そんな僕は今まで、友達が一人もいなかったです」

「!?」

「そうですね。中学に入るまで」

「?」

「そんな僕は似た境遇の人に出会いました。その人と一緒にいるうちに、だんだんわかりました。似た境遇の人間は仲良くなれると。僕が生徒会に入ったら、似た境遇の人間を増やします。だから生徒会に入りたく思い、立候補させて頂きました」

「ミツヒデのパクリだ!」

「オマージュしやがって!」

ノブナガはそこから席に着くまでいや、席に着いてからもチャイムが鳴るまで、罵詈雑言を浴びせられ、仮面を取るに取れなかった。ノブナガは仮面でこぼれでる涙を隠したのだ。

投票用紙が生徒に配られた。ノブナガの声を誰も聞こうとはしない。ノブナガはこの空間にはたった一人、自分一人しかいないかのように感じた。

みんながミツヒデに投票するのは言うまでもなかった。

「生徒会はミツヒデ君に決まりました」

ルナ先生はノブナガのことを哀れに思ったのか自分の担当である飼育委員に推薦した。保護したようなものだ。ミツヒデはノブナガにかける言葉は見つからなかった。

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