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新入生5

ドークがそのうちの一人の剣を無言で受け止め、間髪入れず肘で喉元を打ち、体をひねって地面に叩きつけた。ひとつも無駄のない動きだった。


ジュラは相手の刃を腰を落としていなすと、くるりと回転し、見事な回し蹴りを相手の脇腹に叩き込んだ。男は苦しげにうめき、木に激突して崩れ落ちる。


「甘いな」

ドークが一言つぶやいたが――次の瞬間、リーダー格の仮面の男が口を開いた。


「甘いのはそっちさ。生徒たちを狙え!」

その一言に、空気が凍りつく。


仮面の男たちが一斉に散開し、列の後ろにいた新入生たちへと走り出す。複数の刃が、無防備な子どもたちを狙って煌めいた。


「やばいっ……!」

「えっ、来た!? え、え、なにして……!」


ノブナガの目の前にも一人が迫ってくる。

剣を振りかざし、一直線にこちらを狙って突っ込んでくる。

ノブナガは後ずさりした。

他の生徒たちも、その場に立ち尽くしているだけだった。

恐怖で動けない。

何が起きているのか理解できず、目を見開き、口を開けたまま声も出ない。


「動けば……他の奴らを巻き込む……でも、このままじゃ……!」

ノブナガの頭は真っ白だった。自分の魔法――「水門斬り」では、この速さと数には到底太刀打ちできない。

(クソ……なんで、こんなときに!)

けれど、それでも。

(それでも、やるしかねぇだろ……!)


意を決したノブナガが動こうとしたその瞬間、目の前に白い閃光が走った。


「私たちの魔力を、甘く見ないことね!」

ジュラが身を翻し、鋭い斬撃を仮面の男に叩きつけた。魔力をまとった剣から、紫電のようなオーラがほとばしる。

直撃を受けた男の身体は宙を舞い、霧の中に吹き飛んでいった。


「……私の“魔剣気”を受けて立っているなんて。なかなかやるわね」

ジュラは眉をひそめつつも、構えを解かない。


一方、新入生たちは――ただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。


目の前で繰り広げられる戦闘は現実味がなく、まぼろしのようだった。

誰もが足をすくませ、言葉を失い、その場に釘付けになっていた。


ノブナガも、拳を固く握りしめる。

(これが……“魔法の世界”かよ……)

――まるで歓迎の儀式のように、最初の戦いが幕を開けていた。


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