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新入生4

同時に、ドークとジュラも立ち止まり、無言で生徒たちの前に生徒たちを守るように立ちはだかった。

ドークは外套の内側に手を滑らせ、武具を握る。ジュラは笑みを消し、すっと構える。

霧が、どこからともなく流れ込んできた。


最初は足元をかすめるような薄い霧だったが、瞬く間に濃くなり、視界を包んでいく。

冷たい空気が肌にまとわりつき、吐く息すら白くなりはじめる。新入生たちがざわざわと動揺する。


「せ、先生……なに、これ……?」

「寒っ……え、こんなに急に?」

そして――。

崖の上から、低く唸るような声が響き渡った。呪詛のような、古代語のような、何かを呼び起こすような声。


「……ハハハ……」

濃霧の中に、十数人の影が浮かび上がる。黒い戦闘服に身を包み、顔には不気味な仮面――魔法界の正義の象徴“仮面戦士コオロギ”の面影を歪めたような代物。

だが、その仮面はどこか焦げついており、光を吸い込むように黒く塗られていた。

仮面の目の部分は赤く輝き、獲物を狙う捕食者のように光っている。

彼らは無言で崖の縁に立ち尽くし、じっとこちらを見下ろしていた。

その中のひとりが、ふいに仮面の奥から低く笑い、静かに崖の縁から飛び降りる。


「ずいぶんと元気なガキどもだな……」

落下の勢いそのままに、長剣を振り上げ、真下にいるアヴァルトめがけて斬りかかる。


「誰だ!」

アヴァルトが即座に反応し、腰の長剣を抜く。鋭い金属音が空気を裂く。


「名乗るほどの者でもねぇよ」

仮面の男の一太刀が唸りを上げて振り下ろされる――が、それはアヴァルトの剣によって寸前で受け止められた。甲高い音と共に火花が散る。刃と刃が擦れ合い、数秒の間、二人の剣がせめぎ合う。


アヴァルトが重心をずらして足払いを仕掛けると、仮面の男はたたらを踏みながら後退した。


「……さすが、先生……だが、こっちは数で攻めるぜ!」


その声を合図に、他の仮面の男たちが次々に霧の中から飛び出してくる。身のこなしは軽く、着地の衝撃を殺すように静かに地面に降り立つ。その数は十五人以上――全員が剣や棍、魔導具を構えている。





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