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新入生4
「不死鳥組?」
「そうだ」
その一言で、一瞬場に不穏な空気が漂い、教室の温度が下がったかのようだった。
「あなた、まだ生徒いびりが抜けてないのね」
そう言って、一人の女性教師が割って入る。すると、ユキムラの表情にふっと柔らかな笑みが浮かんだ。
「救世主……! 先生、お名前は?」
「私はジュラ。“夢見る会”の指導担当よ」
ユキムラの顔から、さっきまでの笑みが消える。代わりに、重たい曇り空のような表情が広がった。
「どうかしたの?」
「ふん、“夢見る会”なんていう怪しげな宗教には関わりたくないってのが、まともな人間の感覚さ」
ユキムラの心を代弁するかのように、ドークが冷ややかに言い放つ。
「そう……?」
ジュラは少し驚いたように目を細め、ユキムラの目線に合わせて腰を落とす。
だが、ユキムラは顔をそらし、視線を下に落とした。
「ジュラ先生、ドーク先生、そろそろ時間です!」
遠くから誰かの呼び声が飛ぶ。
「わかりました」
「了解です」
二人は声をそろえて応じる。
「では、新入生の皆さん、こちらへついてきてください!」
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