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【オムニバス】君へ紡ぐための物語  作者: きよたプッチン
8/20

熱だけ残していかないで(残されたリスナーの話)

※こちらの文章を書くにあたり、語尾プッチンの省略をお許しくださいプッチン。

※また、こちらのお話はフィクションですプッチン。実在の人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。

※電車で移動中の際に作成をさせていただきましたため、誤字脱字をお許しくださいプッチン。

※2022年12月1日~7日までの更新となりますプッチン。


*お気軽に、ポイント、感想などなどお待ちしておりますプッチン*

本当に私の気持ちわかってる?

一一あなたが消えてどれだけ泣いたか、わかる?

もう、全然わかってない!




【熱だけ残していかないで】




『配信辞めます。』


その一言が出てくるなんて全く思わなかった。


……つい数時間前の出来事。いつもの時間。いつものゲーム。本当にいつものことだった。

ワイワイしていた配信で、いつもの配信者ののんきな発言。だけど、少しだけ人数の多くなった配信。いろんな人がいるから。そののんきな発言に傷ついてしまった人がいたみたい。



気がついたら、



次の日には炎上騒ぎになっていた。

あれよあれよという間にしっかり燃やされる配信。チュリッターではしっかりアンチコメントが流れて、切り抜きなんかも作られちゃった。

途端に、掌を返していくファンやリスナーたちを横目に自分もなにか言わなくては、と文字を何度も打ったけれど。どれもこれも本心じゃない言葉な気がして。あれよあれよと時間が過ぎて。



ああ、と息つく間に、



『配信辞めます。』



の文字だけが残った。残ってしまった。

どうして、と気がついたときには目から涙がボロボロ。社会人になってはじめての拠り所だったはずなのに。


とても大切な場所のはずだったのに。


携帯電話を握りしめて、なってしまった結末に苦しくなる。涙を何度も手でぬぐったけど、前が見えない。画面が見えない。


「私が……私が、どれほど……」


どれほど、この場所が大切だったのか…わかってもらえていなかった。

どれほど、あなたたちの配信を楽しみにしていたか…わかってもらえていなかった。


もう次からは配信しません、と。

たったそれだけの文字がとても辛かった。辞めないでほしいと文字を打って、DMもしてみた。ただ、こんなのは重いだけなのかもしれない。



でも。



ファンがいることだけは届いてほしかった。


またこの場所で待っている。

いつか帰ってきてほしい。

あなたのファンで居続けたい。


そんな在り来たりな、でも心から言葉を綴った。何度も何度も書き直して、何度も何度も書き綴った。何度書いても在り来たりで。何度直しても安っぽくて。こんなことを言いたいんじゃない。こんな言葉を届けたいんじゃない。


もっと本を読めばよかった。

もっと勉強すればよかった。

もっと。もっと。もっと。


布団のなかから何度も書き直す。

あなたに届けと、何度も何度も、だ。

所詮、私のエゴだとしても。

例え、ファンが私一人になったとしても。

私は。


違う。もっと単純なことだ。

私は…、



あなたの配信が大好きだった。



布団のなかで声をだして泣いた。こんな腫れた目で会社になんか行けるもんか。もはや、心配すぎて仕事どころでもない。泣きながら、「今日は休みます」と上司に告げ、パジャマのまま再び布団に潜り込む。


会社を休んでしまった。


数少ない有休ではあるが、致し方ない。致し方ない。

……けれども。


すっかり悲劇のヒロインだ。

いつもの私が聞いたら腹を抱えて笑うだろう。

なのに、涙はあとからあとから流れてくる。


あなたの配信が好きだった。

いや。まだ好きだ。あなたの心から笑う声が。雑談が。ゲームをしている姿が。だから、私は。あたしは。



ピコン。



チュリッターの投稿音が鳴る。

いつもの癖で携帯をつけて確認してみる。


「……えっ」


もう何も呟いてくれないかと思ったけど、そんなことはなかったらしい。

携帯の画面には配信者からのメッセージ。


『このチャンネルでの配信は辞めますが、別のチャンネルで配信します。探してくれるような貴徳な方はいないと思いますが、見つけてくれたらよろしくお願いします』


その言葉がどうしても嬉しくて。


「絶対に、……絶対にみつけるから」


同じような名前でははじめないと思って、その配信者が好きだったゲームで探してみる。



ちがう。



ちがう。



この人も、違う。



片っ端から配信を見に行って、申し訳ないけれど目的のあの人ではなかった。



ちがう。



ちがう。



ちがう。



ちがう。



ちがう。



気がついたらもう19時半。

ずっと色んな配信を回った。どこの配信主も探している人じゃなかった。




もしかしたら、




そういうだけの嘘なのかもしれない。

ただ、そういうことにだけしておいて、今までのチャンネルのことは忘れてしまう、というような。


…違う。と首を振る。


きっとそんなことない。

あなたのことが好きだった。あなたの配信が好きだった。


この気持ちをこのまま、どうして残してしまえるんだろう。


この熱を忘れることなんてどうしてもできないのだ。

なにがなんでも、絶対にあなたのことを見つけるから。




「最後までついていくから」




何がなんでもみつけてやる。

半分意地。とり残された私は、ずっと彼の幻影を探していくのだ。

そう……私は、今も彼のことを探している。




【Fin】

読んでいただきありがとうございましたプッチン。よければ、ポイント、感想、誤字脱字報告などなどお気軽に頂けたらと思いますプッチン!

次回も読んでいただけたら、嬉しく思いますプッチン~!

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