熱だけ残していかないで(残されたリスナーの話)
※こちらの文章を書くにあたり、語尾プッチンの省略をお許しくださいプッチン。
※また、こちらのお話はフィクションですプッチン。実在の人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※電車で移動中の際に作成をさせていただきましたため、誤字脱字をお許しくださいプッチン。
※2022年12月1日~7日までの更新となりますプッチン。
*お気軽に、ポイント、感想などなどお待ちしておりますプッチン*
本当に私の気持ちわかってる?
一一あなたが消えてどれだけ泣いたか、わかる?
もう、全然わかってない!
【熱だけ残していかないで】
『配信辞めます。』
その一言が出てくるなんて全く思わなかった。
……つい数時間前の出来事。いつもの時間。いつものゲーム。本当にいつものことだった。
ワイワイしていた配信で、いつもの配信者ののんきな発言。だけど、少しだけ人数の多くなった配信。いろんな人がいるから。そののんきな発言に傷ついてしまった人がいたみたい。
気がついたら、
次の日には炎上騒ぎになっていた。
あれよあれよという間にしっかり燃やされる配信。チュリッターではしっかりアンチコメントが流れて、切り抜きなんかも作られちゃった。
途端に、掌を返していくファンやリスナーたちを横目に自分もなにか言わなくては、と文字を何度も打ったけれど。どれもこれも本心じゃない言葉な気がして。あれよあれよと時間が過ぎて。
ああ、と息つく間に、
『配信辞めます。』
の文字だけが残った。残ってしまった。
どうして、と気がついたときには目から涙がボロボロ。社会人になってはじめての拠り所だったはずなのに。
とても大切な場所のはずだったのに。
携帯電話を握りしめて、なってしまった結末に苦しくなる。涙を何度も手でぬぐったけど、前が見えない。画面が見えない。
「私が……私が、どれほど……」
どれほど、この場所が大切だったのか…わかってもらえていなかった。
どれほど、あなたたちの配信を楽しみにしていたか…わかってもらえていなかった。
もう次からは配信しません、と。
たったそれだけの文字がとても辛かった。辞めないでほしいと文字を打って、DMもしてみた。ただ、こんなのは重いだけなのかもしれない。
でも。
ファンがいることだけは届いてほしかった。
またこの場所で待っている。
いつか帰ってきてほしい。
あなたのファンで居続けたい。
そんな在り来たりな、でも心から言葉を綴った。何度も何度も書き直して、何度も何度も書き綴った。何度書いても在り来たりで。何度直しても安っぽくて。こんなことを言いたいんじゃない。こんな言葉を届けたいんじゃない。
もっと本を読めばよかった。
もっと勉強すればよかった。
もっと。もっと。もっと。
布団のなかから何度も書き直す。
あなたに届けと、何度も何度も、だ。
所詮、私のエゴだとしても。
例え、ファンが私一人になったとしても。
私は。
違う。もっと単純なことだ。
私は…、
あなたの配信が大好きだった。
布団のなかで声をだして泣いた。こんな腫れた目で会社になんか行けるもんか。もはや、心配すぎて仕事どころでもない。泣きながら、「今日は休みます」と上司に告げ、パジャマのまま再び布団に潜り込む。
会社を休んでしまった。
数少ない有休ではあるが、致し方ない。致し方ない。
……けれども。
すっかり悲劇のヒロインだ。
いつもの私が聞いたら腹を抱えて笑うだろう。
なのに、涙はあとからあとから流れてくる。
あなたの配信が好きだった。
いや。まだ好きだ。あなたの心から笑う声が。雑談が。ゲームをしている姿が。だから、私は。あたしは。
ピコン。
チュリッターの投稿音が鳴る。
いつもの癖で携帯をつけて確認してみる。
「……えっ」
もう何も呟いてくれないかと思ったけど、そんなことはなかったらしい。
携帯の画面には配信者からのメッセージ。
『このチャンネルでの配信は辞めますが、別のチャンネルで配信します。探してくれるような貴徳な方はいないと思いますが、見つけてくれたらよろしくお願いします』
その言葉がどうしても嬉しくて。
「絶対に、……絶対にみつけるから」
同じような名前でははじめないと思って、その配信者が好きだったゲームで探してみる。
ちがう。
ちがう。
この人も、違う。
片っ端から配信を見に行って、申し訳ないけれど目的のあの人ではなかった。
ちがう。
ちがう。
ちがう。
ちがう。
ちがう。
気がついたらもう19時半。
ずっと色んな配信を回った。どこの配信主も探している人じゃなかった。
もしかしたら、
そういうだけの嘘なのかもしれない。
ただ、そういうことにだけしておいて、今までのチャンネルのことは忘れてしまう、というような。
…違う。と首を振る。
きっとそんなことない。
あなたのことが好きだった。あなたの配信が好きだった。
この気持ちをこのまま、どうして残してしまえるんだろう。
この熱を忘れることなんてどうしてもできないのだ。
なにがなんでも、絶対にあなたのことを見つけるから。
「最後までついていくから」
何がなんでもみつけてやる。
半分意地。とり残された私は、ずっと彼の幻影を探していくのだ。
そう……私は、今も彼のことを探している。
【Fin】
読んでいただきありがとうございましたプッチン。よければ、ポイント、感想、誤字脱字報告などなどお気軽に頂けたらと思いますプッチン!
次回も読んでいただけたら、嬉しく思いますプッチン~!