ニート撲滅★魔法少女オレンジペッパー(魔法少女リスナーの話)
※こちらの文章を書くにあたり、語尾プッチンの省略をお許しくださいプッチン。
※また、こちらのお話はフィクションですプッチン。実在の人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※電車で移動中の際に作成をさせていただきましたため、誤字脱字をお許しくださいプッチン。
※2022年12月1日~7日までの更新となりますプッチン。
*お気軽に、ポイント、感想などなどお待ちしておりますプッチン*
私は絶対に絶望しないっ★
【ニート撲滅★魔法少女オレンジペッパー】
夕方。朝と夜の境界線。太陽が沈みかけるそのオレンジ。
さらに路地裏。伸びる影。背後の影。追う。さらに、追う。
はあっ……はあっ……
肩で息をする男は、後ろからついてくる影から逃げているのだ。
どうして自分は追われているのか。
自問自答を繰り返す。
引きこもりの人生だった。一般的に、「ニート」と呼ばれる存在。
たまたま親がいなくて、どうしてもお腹がすいたからコンビニに出かけたのだ。
その日は気分がよかった。自分で外に出ようと思えるほどには、だ。
……そう、夕方だから、どうせ誰にも会わないだろうと思って。
それなのに。どうしてこんなことに。
迫る影。走る男。
ついに曲がった先は袋小路で。
ああ、と声が漏れた時には既に……遅い。
背後の影がゆらり、と現れる。
たっ、助けて……!
男が振り返り、懇願しようとした…その時、影はステッキを振り上げた。
「ちょえーーーいっ★」
ドゴォッ(効果音)
不似合いな音。地面にめり込むピンク色のステッキ。舞う粉塵。そして、不釣り合いなフリフリスカート。かわいらしいアニメ声は、地面にめり込んだステッキを持つ人物とはかけ離れている様にも思える。
そこには少女がいた。
不釣り合いなステッキを振り下ろしたのは、水色の長い髪を靡かせた猫耳を生やした少女だった。男はあまりの迫力に驚いて尻餅をついたようで、ガタガタと震えている。
いや、混乱していた。
「あれれ~?泣いてるのん?」
「たっ助けて…!」
路地裏。追い詰められた男。可愛いピンクのステッキを振り回す少女。
少女に助けをこう男は、目から涙が止まらないようだ。
端から見れば、犯罪臭。フリフリのドレスをきた少女にすがり付く男。
「むむっ!必殺あらびきこしょうボンバーが効いてないというのかっ★」
男を見据えて、再びステッキを強く握る。ステッキの先には複数の小さな穴が開いている。
……どうやら、このステッキがこしょうの入れ物そのものらしい。
「もっもうしません!ごめんなさい!!」
男は地面に頭をこすり合わせて、大声で叫ぶ。
路地裏。大声。懇願。近所に響き渡る男の声。
……だが、男の大声が響いた時にはも遅かった。
少女は顔を真っ赤にしながら、ステッキを振り上げ、
「もうっ!もうっ!ニートはうるさいにょらーーっ!」
ドゴォッ(効果音)
男の頭上へと振り下ろしたのだった。
「…ふう、またつまらぬニートを斬ってしまった!」
気絶。
直撃はしなかったものの、男の右横すれすれをかすめ、地面にめり込むステッキ。
きっと男は自分の死を予期したのだろう。
衝撃が伝わる前にはもうよだれを垂らして意識を飛ばしていたのだった。
―――。そして、夕暮れはとうに過ぎて。
『ぴぴるぴるぴる~~!だめだよ~!謝ってるのに』
まだ薄明るいほどの暗がり。夜とはまだ到底言えないほどの空の色。でも、もう夕方でもない時間。
ヒラヒラのピンクプリーツスカート。白とピンクの可愛い衣装は魔法少女を思わせた。
少女の横をちらちらと飛ぶカエルのぬいぐるみ。
「だって、ニートなんだもん」
口を尖らせ、家路へと歩みを進めている。
『確かにニート撲滅系魔法少女だけどさあ…』
カエルのぬいぐるみは言う。
少女が持つステッキをちらりと見やる。
少女が歩くたびに、ステッキの先端からこしょうが飛び散っている。
「んもう!うるさいうるさいうるさーい!
お仕事は終わり!もうすぐ配信なんだから!」
カエルのぬいぐるみに悪態をついたと思ったら、走り出す。
ぴょんっと飛び跳ねれば、屋根の上。そして、自身の家まで走るのだ。
『魔法を使えばいいのに~!』
「だめ!対価を必要とされたら清算できるものがない!」
走りながらポケットから取り出した携帯をみる。
時刻は19時20分。
もうすぐ始まるいつも見ているゲーム配信。
非日常的な魔法少女は、毎日の日常的な放送を楽しみにしていた。
携帯一つでみられる世界。手元にある小さな画面に映るゲーム配信。配信主は、顔は見たことないけれど、普通のおじさん。リスナー参加型の配信をこよなく愛し、モンファンを愛している。
「急いで帰らないと!」
『そんなに急がなくてもいいじゃん!
せっかくニートを一人撲滅できたっていうのに』
カエルのぬいぐるみをむぎゅっと掴んだら、再びぴょんと飛び跳ねる。
屋根から屋根へ飛び、家路へと急ぐ。
誰も彼女が見えないのは、そういう魔法がかかっているからなのだろうか。
「いーから!はやく仕事から帰るなの!」
既に空は真っ暗だ。
魔法少女は今日も仕事(ニートを撲滅する簡単なお仕事)を終えて、家路へと急ぐのだ。
……結局、時間にぎりぎりになってしまったので、携帯からコメントを打ったのは内緒だけれど。
「おこめてすと」
『あ!魔法少女さん、こんばんは~!…っていうか毎回いうけど、「おこめてすと」ってこんばんはとかおはようとかそういう挨拶じゃないからね?』
ーーほら、今日も日常的な放送が始まる。
【Fin】
読んでいただきありがとうございましたプッチン。
よければ、ポイント、感想、誤字脱字報告などなどお気軽に頂けたらと思いますプッチン!
次回も読んでいただけたら、嬉しく思いますプッチン~!