世界観説明&用語解説(12/18追記)
【西方世界と東方世界】
物語の舞台となるこの星最大の大陸には、中央やや西側に“大河”と呼ばれる巨大な河が世界を隔てる壁のように流れていて、その東西で世界が分断されている。ゆえに通常「世界」と言えば大河の西方か東方かに分けられるものであり、そこに住む人類にとっては大河の西方か東方かいずれかだけが「世界の全て」になる。
“大河”を越えるのは船で1日がかりの命懸けということもあって、わざわざ越えていくのはほとんどが商魂逞しい商人たちだけ。だが彼らによって西方世界には東方の様々な文物が輸入されていて流通している。逆に東方世界には西方のいろんな物が輸出されていると思われる。
西方世界の世界地図は見る者に「竜」を思い起こさせる。ゆえに西方世界の地形は竜になぞらえて名付けられていることが多い。竜頭半島、竜額島、竜角山地、竜脚半島、竜尾平野、竜翼山脈、竜骨回廊、などなど。
【季節】
西方世界の大部分は季節の移り変わりがはっきりしていて、大きく5つの季節に分けられる。これを「五季」という。
なお地球の3月が正月(新年)に相当する。
・花季(春)
新年から暖かくなるまでの約2ヶ月。花が咲き新芽が芽吹く命の季節。
・雨季(梅雨)
雨が集中的に降る約2ヶ月。花季に芽吹いた芽が伸びて葉になり大きく成長する。
・暑季(夏)
雨季終わりからの暑い約3ヶ月。陽神の活動が強まり生命が躍動する季節。
・稔季(秋)
暑季に成長した動植物が実る(稔る)季節で、約2ヶ月。人間を含め全ての動物はこの時季に冬支度に追われる。
・寒季(冬)
陽神の活動が弱まり寒さに凍える約3ヶ月。地域によっては寒季が約半年に及ぶこともあるという。
【暦】
現在の暦を「フェル」といい、年もまた「フェル」という。よって1年経つごとにフェル(暦)が加算されていく。
暦は世界全体で共通。西方世界ではイェルゲイル神教の巫女に神託が降って暦の交代が行われる。ひとつの暦はおよそ千年ほどで、次の暦ではまた元年から数え直す。
〖月〗
1ヶ月は30日固定で、12ヶ月ないし13ヶ月で1年。暦が進めば少しずつ季節とズレが出て来るため、ズレが目立つようになれば適宜「閏月」を挟んでズレを修正する。
閏月は概ね5〜6年に一度挿入され、その場合はズレが顕著な季節に月がひとつ増やされる。
・1月:花季上月(地球暦3月)
・2月:花季下月(同4月)
・3月:雨季上月(同5月)
・4月:雨季下月(同6月)
・5月:暑季上月(同7月)
・6月:暑季中月(同8月)
・7月:暑季下月(同9月)
・8月:稔季上月(同10月)
・9月:稔季下月(同11月)
・10月:寒季上月(同12月)
・11月:寒季中月(同1月)
・12月:寒季下月(同2月)
・閏月
〖週〗
ひと月を三分割したのが週の概念で、それぞれ10日間。呼び方は上週、中週、下週。大半の仕事では週に1日ないし2日の休養日が設けられるが、全員が同じ日に一度に休むのかローテーションで仕事そのものを切らさないのかは職業によって異なる。
〖日〗
1日の概念としては「日の出」から「日没」まで。それ以降の夜の時間は「夜」と呼ばれ、「日」とは区別される。
日の出から陽神(太陽)がもっとも高くなるまでが「朝」で、そこから日没までが「昼」。夕方の概念はなく、日没前後のわずかな時間を「晩」と通称する。そのため日暮れ時の1日最後の食事は「夕食」ではなく「晩食」という。
なお太陽のことを「陽神」といい、月のことは「陰神」と呼ぶ。
【時間】
砂振り子と呼ばれる魔道具で計測する。砂時計状で器の片方に色砂を集め、ひっくり返して色砂が全部落ちきるまでの時間を計測する。
砂振り子は微小、小、中、大、特大の5種類。
夜明けとともに朝鳴鳥が一声鳴くと「朝」になり、それを基準に砂振り子が計時を開始する。そこからの特大一を「朝の特大一」略して「朝一」と呼ぶ。
陽神が中天に差し掛かるとそこからは「昼」であり、陽神が完全に沈むと「夜」となる。「夜」は「1日」に含まれず計時もされない。
「朝」は季節にもよるがおおむね六〜七を数え、「昼」は七〜八を数える。昼七ないし昼八の途中で日没を迎えるため、その日没前後の時間を慣例的に「晩」という。「晩」の時間帯に食べるのが「晩食」。
なお「夕方」の概念はない。
〖砂振り子〗
・微小
約1分。
・小
約5分。
・中
約10分。
・大
約30分
・特大
約60分。
〖時間を現す言葉〗
・瞬
瞬きする間のごく短い時間。
・刻
ちょっとした合間の時間。慣例的には中一に相当する。
・時
慣例的に特大一に相当する。
・茶時
ティータイム。主に貴族たちの用語で、朝と昼に1回ずつ設けられる。朝は通常朝五、昼は通常昼三が茶時。
【年齢加算】
誕生日を祝う習慣はあって正確な誕生日も記録されるが、年齢加算に関しては「年が明けた時点」でなされる。ガリオンの一部地域などのように「誕生日祝賀は数年に一度まとめて行う」などという場合もあり、年齢加算と誕生日(およびその祝賀)は別物だという意識が比較的浸透している。
なおこの世界の成人年齢はほとんどの国で一律に15歳である。貴族など上流階級であれば15歳の年の自身の誕生日前後に御披露目を迎えるのが一般的。
【魔力と霊力】
この世界の森羅万象は全て魔力によって構成されており、ゆえに魔力は全ての根源にして構成元素でもある。その魔力は大別して黒、青、赤、黄、白の五色に分類され、森羅万象の全てが五色のいずれかに属する。それは人類も動植物も自然現象も、神々であってさえも例外ではない。
特定の色の魔力の影響を強く受けることを「加護」といい、特定の色の加護を持つ人々が同じ加護の神々を信奉することで宗派が成り立っている。そうした加護と宗派を取りまとめているのが「イェルゲイル神教」で、西方世界でもっとも信者数の多い多神教になる。
ちなみにどの色の加護を得ているかは瞳の色に現れる。ついでに言えば加護は遺伝しないので、子供は生まれるまでどの加護を受けているか分からない。
魔力の中でも人体を構成するものを特に呼び分けて「霊力」という。
魔術は人類の体内に存在するとされる「霊炉」と呼ばれる器官で霊力を生成し、それを燃料として術式によって霊炉を起動させ、自分の周囲の魔力をエネルギーに変えることで発動させる。つまり霊力は魔術の発動強度、魔力は魔術の威力に関わってくる。
魔力(霊力)は生命力や活力にも密接に関わっていて、魔力を失うことは生命力の枯渇、つまり死に直結する。いわゆる「魔力なし」の人々は、自身の霊力を生命力の維持にしか回せず魔術に振り分けられないため、魔術が使えない。仮に無理やり使っても一瞬だけで、それ以上は命に関わるとされている。
森羅万象を構成するものが魔力である以上、魔力は善なる神々や人類、動植物などと同じように闇の眷属、つまり魔物や魔王なども成立・具現化させてしまう。本来的には魔力そのものには善悪の別はないため、善なるものも悪しきものも等しく生み出してしまうのだ。
そのため魔物や魔獣はいくら討伐しても絶滅することがない。そういう意味ではアンドレのような騎士や街の冒険者などの需要は高い。
【度量衡】
〖長さ〗
・デジ
約2cm。
成人男性の中指第二関節の横幅が基準。
・フット
約32cm。
成人男性の足のサイズが基準と言われるが定かではない。デジの16倍。
・ニフ
約1.6m。
フットの5倍。成人男性が2歩歩く距離が基準。
1ニフ=5フット=80デジ
〖距離〗
・スタディオン
約200m。
陽神が地平線から出た瞬間に歩き始めて地平線から完全に姿を現す間(約2分)の間に成人男性が歩ける距離が基準。
・ミリウム
約1600m。
ニフの1000倍、スタディオンの8倍。
〖重量〗
・グレン
約5g。
・ポーンド
約25g、グレンの5倍。
・リブラ
約1kg、ポーンドの約40倍。
1リブラ=40ポーンド=200グレン
【宗教】
・イェルゲイル神教
西方世界でもっとも信者数の多い多神教。五色の魔力の加護を教義に取り入れ、加護ごとに五つの宗派に分かれてそれぞれの加護の神を信仰する。ある程度の規模の街にはたいていどこでも神教の神殿があり、神教神殿には必ず五つの宗派が揃っている。
・その他
このほか、一部地域で信者数を伸ばしている「聖典教」、最北の国フェノスカンディア宗主国で信仰される「霊峰教」、西方世界と東方世界を分かつ大河流域で主に信仰される「拝炎教」、東方世界で信者数の多い「崇偶教」や「曼荼羅教」など、多くの宗教がある。
【敬称】(6/26追記)
他作品も含めてちょっと混乱しているので正式に統一します。
※以下の表記法に従って『王子妃教育1日無料体験実施中!』の方も修正します。
※あくまでも作品世界における呼称です。一般的なものではありませんし、他者にこれらを教示あるいは強制する意図もありません。(11/28追記)
・貴族家の当主
公爵、侯爵、伯爵は爵位名+爵位。
例:ノルマンド公、ブレイズ侯、ボードレール伯
※身分の上下関係なく他者からの呼び方。目下の者は許可を得るまで名前を呼んではならない。
爵位に関わらず貴族として敬意を表する場合、名字(爵位名)に付ける場合は「卿」と呼ぶ。同じ字でも単独で用いる場合は「卿」と読む。
例:アンドレに対して「ブザンソン卿」と呼ぶ。アンドレは子爵家の子息で貴族のひとりなので。
例:「ノルマンド公、卿の改善案ですが…」
・貴族家の子女
公爵家の子女は男子なら敬称は「公子」、女子なら「公女」。大公家も同様。
侯爵家は男子なら敬称は「侯子」、女子なら「侯女」。
伯爵家以下は男子なら敬称は「世子」、女子には専用の敬称はなく「嬢」と呼ぶ。
※「世子」は本来世継ぎに対する敬称。
「子息」「子女(息女)」は敬称だが本人に対しては使わない。要は「息子さん」「娘さん」の意なので。
・王家と王族
当主(君主)は「王(国王)」、敬称は「陛下」。
その子は男女問わず敬称は「殿下」。
・皇帝家と皇族、皇室
当主(君主)は「皇帝」、敬称は「陛下」。
その子は男女問わず敬称は「殿下」。
国によっては皇族、皇室ではなく帝族、帝室と表記する場合も。
・「令嬢」「令息」について
第三者視点の三人称に固定します。つまり本人に対して「令嬢」とは呼びかけません。ましてや自分で「令嬢」と名乗ることはあり得ません。
例:アンドレがジャックにレティシアを紹介する時は「公爵家のご令嬢」と呼ぶが、レティシア本人に「公爵家令嬢」とは呼ばない。
例:レティシアが自分のことを「わたくしは公爵家の令嬢です」などとは言わない。
※そもそも「悪役令嬢」の表記がかなり一般化していて違和感が薄れていますが、本来は「深窓の令嬢」といったように他人に対する敬称です。
・目上の人物に対する我が子の謙譲表現
男子なら「愚息」、女子なら「愚女」。謙る表現なので、敢えて悪く言う。
例:ノルマンド公オリヴィエが国王アンリに向かって子を紹介する際は「こちらが愚息のカミーユ、そして愚女のレティシアでございます」と言う。
・目下の人物に対する我が子の表現
男子なら「息子」、女子なら「娘」。




