始まりの覚醒
遅れてすいませんでした!!
理由を述べますと、リアル事情により執筆が出来ない状況にはありました。
日だまりの温かさに満ちた、朽ち果てた大樹の空洞の中に不思議な生き物が浮いていた。
そう石原高志こと、俺である。ただし俺は試練の苦しみによって、疲れ果てて、浮きながら寝言を言うほど熟睡するという、なんとも愉快な眠り方をしている。
「ベーコンエッグ…食パン…んん…パ○ーパン」
なんともアホな寝言だった、夢の中では、天空の城を信じる少年に料理をご馳走してもらっているのだろうか?
閑話休題
そんなアホなこと言っている俺に向かってどこからか、水滴が垂れ落ちてきてーー。
「イャッフゥ!?」
今度は、土管工もびっくりな、やけにハイテンションな叫びをしながら、突然垂れ落ちてきた水滴に驚いて、飛び起きた。
そして、完全に覚醒した俺の意識は、周囲の状況を確認すると、歓喜の震えをもたらし、俺はググっと力を溜めてーー。
「試練乗り越えたぞー!!」
実際、俺は無事に試練を乗り越える事ができるか心配だったのだ。なので、ヤバいくらいに嬉しい。
「おっと、肝心の能力を確認せねば。」
そうして俺は、自分の能力を確認すべく、魂と心の深いところに意識を潜り込むように集中させた。すると自分の魂と心に根ざす能力が、意識の中に浮かんできた。
「さて、俺の能力は、っと。」
名前 ロイ・シャルト
年齢 0歳
種族 回帰の妖精
スキル 無し
ユニークスキル
『回帰の芽吹き』
『双楔の祈り』
「う〜ん、チートだぁ。」
かなりの大物なスキル名に語彙力が崩壊しつつも、詳しく知るために、さらに深いところへ意識を集中させる。
『回帰の世界樹』
・『魔導の芽吹き』
・『神聖の芽吹き』
『双楔の祈り』
・『不屈の祈り』
・『慈愛の祈り』
「………」
もはや、目が少しずつ死んだ魚のような目になりながらも、淡々と能力の効果を確認していった。
『魔導の芽吹き』
時空属性と基本6属性の適性及び初級魔法の獲得。
『神聖の祈り』と共に使い、『回帰の芽吹き』を全開にすることで≪世界樹魔法≫を行使可能。
『神聖の芽吹き』は、『魔導の芽吹き』の神聖版なので省略。
『不屈の祈り』
『回帰の芽吹き』とその下位スキルによる、最も適した戦闘法の取得。
『慈愛の祈り』
『回帰の芽吹き』とその下位スキルによる、最も適した援助法の取得。
このスキル構成を見るに、俺は魔法を利用した戦闘と援助などに特化しているようだ。
具体的には、身体強化や魔法を使った武術や、回復魔法などを使った援助などがある。
要するに、今の俺が強くなっていくには、魔力や魔力制御などの魔法に関する力などを鍛えなければならない。
ただ、MP的な魔力は『回帰の芽吹き』のおかげで尽きることは無さそうだ。
「なら、やるべき事は一つだな……」
俺は、やるべき事をこなすべく外に向かって歩き出した。
☆☆☆
拝啓レイへ。
今、あなたはどこで何をしているのですか?
私は今、森のヌシに追われています。こんチクショウ!!
なぜ今、こんなことになっているかというと。
俺は、魔物を探して森を探索していたのだが、そこに丁度いい的ーー小鬼がいたので、時空魔法の『時空斬』で攻撃したところ、ゴブリンを貫きさらに、ゴブリンの後ろの木も貫き、ぐっすりと気持ちよく寝ていたコイツに当たってしまい、怒って攻撃してきたのである、なんでそんな無謀なことをしたのかって?
HAHA!!俺の固有属性だからといっても初級魔法がこんなに威力が高いと思うわけないじゃないか!!
こんなことを考えながらも全力疾走で逃げているのだが、未だ付かず離れずで森のヌシを振り切れる様子はない。
「やるしかないか……っ!」
俺は、覚悟を決めて、森のヌシの討伐を試みて、魔法を発動する。
『時空斬っ!』
時空の歪みによって出来た刃が森のヌシの右腕に向かって飛んでいき、右腕に着弾し右腕の一部を抉る。
「グアァァ!?」
「よしっ、腕一本封じたぞーー!?」
腕を抉ったことによる戦力の低下が成功したと、喜びそうになった瞬間、森のヌシの右腕の痛々しい傷が何事もなかったかのように全快した。
(再生能力持ちかよっ!?まずいここは一旦隠れて作戦を立てなければコイツには勝てない!!)
『煙幕!』
俺は、余程の力量差がない限り絶対に逃げれる煙幕を発生させ逃げた。
★★★
森のヌシは怒っていた。
奇妙な存在に己の眠りを妨げられたからである。
そいつは、奇妙な術を使い、右腕を抉ってきた。再生できない可能性を考えて、少し焦ったが問題なく再生できたため安堵した。
そいつの顔を見ると焦りの色に染まった顔で、またもや奇妙な術を使い逃げていった。
森のヌシは逃げていった、奇妙な存在に対して、"逃げるな!!"と言わんばかりに怒りに吠えた。
「よう、クマ公、俺はここだ。」
森のヌシは、歓喜に震え、嘲笑った。
"わざわざ殺されに来るとはバカなヤツだと"
しかし、森のヌシは気づかなかった。
奇妙な存在の浮かべる表情が、圧倒的強者を前にした弱者の浮かべる"怯え"でもなく、窮鼠猫を噛むのような決死の表情でもなくーーー強者を倒す自信と算段を持つ弱者の不敵な笑みであることに。
そんなこともつゆ知らず、森のヌシは、奇妙な存在を倒すべく全力で突撃した。その時森のヌシはこのように思っただろう、
"これで終わりだ!!"
しかし、そんな森のヌシの考えは奇妙な存在の前にある見えない壁にぶつかり砕け散る。
なぜ、コイツに突撃できないのか考え、一つの可能性にたどり着き、咄嗟に離脱しようとするも、時すでに遅く、首を刈られてしまう。
「おせーよ、バーカ。」
森のヌシは、暗転する意識の中で奇妙な存在に対する恐怖に染まりながら、生き絶えた。
設定ゲロリ(読みたくない人は読まない方がいいです)
『回帰の芽吹き』
一度は枯れ果ててしまった世界を見守る大樹は、主人の回帰と共にに芽吹く。
一度は枯れた大樹の行く末は誰にも分からない。
『双楔の祈り』
精霊神の妄念と秘術により別たれた運命の楔を共にする二つの魂は再び巡り会い一つとなった。
二つの魂はお互いを思い合い、願いが叶うように祈り続けている。
『不屈の祈り』
双楔の片割れによる祈り。
何故彼の者が"不屈"なのかを理解した時、"慈愛"の者との融合は果たされ、真の意味で"不屈"となるであろう。
『慈愛の祈り』
双楔の片割れによる祈り。
何故彼の者が"慈愛"なのかを理解した時、"不屈"の者との融合は果たされ、真の意味で"慈愛"となるであろう。