目覚め
この手の小説を書くのは初めてです。不慣れなので誤字脱字や内容等で意味が分かりにくい点等あれば指摘していただけると嬉しいです
「データーの数値はどう?」
「安定しています。」
「オッケー。じゃあ脳内の記憶領域のコピー転送を開始するわよ。」
「本当によろしいのでしょうか?」
「いいから、やりなさい!」
「は、はい。」
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・・・・・・・。
ここはどこ?
身体の感覚もない。
私はどうなったの?
よく思い出せない・・・・。
眠い・・・・・。
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「カイルどこに行ったの?」
「もう日が暮れるよ。降参するから早く出てきてよ。」
「お母さんに叱られちゃうよ。」
「結局日が暮れちゃったじゃない。カイルが早く出てきてくれないからだよ。」
「降参なんて信用できるかよ。かくれんぼの途中で出てきたら見つかって負けちゃうじゃん。」
「またそんなへ理屈ばかり、お母さんに・・」
「ニア、あれなんだ?」
「話してる途中に言葉遮らないでよ。いったい何なのよ?」
「あの青く光ってるやつだよ。」
「どこどこ?」
「ほらあの岩の奥に光ってるじゃん。」
「本当なんか光ってるね。取れるカイル?」
「あと少しで取れそうなんだけど・・・。」
「よし、取れた。」
「なんだこの黒くて丸い石?ツルツルとしてピカピカしててなんか一か所だけ青く光っていたんだけど消えちゃったね。」
カイルが寝ころびながら、天井に向けて伸ばす手の親指と人差し指で挟む形で握られたツルツルとした黒い丸い石を見ながら苦笑いを浮かべ、昨日怒られたことを思い出していた。
俺はカイルこのユニの村の名家の生まれこの前七歳になったばかり。
名家といっても村長である親父がいう話で先祖が有名な騎士であったというだけで、本当かどうかすら怪しいもんだ。つまりただのしがない村長の息子だ。
ニアは俺の幼馴染の女の子でいつも仲よく遊んでもらってる間柄って感じだ。
昨日はニアを家まで送ってニアのお母さんに小言で説教され、家に帰っても叱られ、その話の流れで少しは賢くなれと親父に諭された。少し離れた大きな街には剣術や算術や魔術を教えてくれる学校というものがあるのは知っていた。この村からは遠いので俺には関係のない話だと思っていたのだが、そうもいかないらしい。その学校を見学して色々習い事をしてみてはどうだという話になったのだ。
朝起きると早速親父が思い立ったら吉日だからとさっそく学校を見学しに行こうと提案してきた。一人で見に行くのもなんかつまらないし、学校見に行くのならニアも一緒に連れていいかと親父にたのんだら、家の使用人を使って呼びに行ってくれた。
本当昨日は散々だったなぁ。叱られるし、習い事もしなくちゃいけなくなっちゃったし、もうかくれんぼはしばらくやらないぞ。
とか考えながら水鏡と同じように自分の姿が映って見える黒い丸い石を握りしめると、一部が少し青く光ったと思ったらまた消えた。
「でもこれってなんなのだろう?」
「カイル、ニアちゃんが来てくれたよ。」
「はーい、今いきます。」
カイルは持っていた石をズボンのポケットにしまって玄関へと向かった。
家を出会た後、馬車に揺られ2時間半ほど過ぎたころ、道の先に大きな街並みが見えてきた。
カイルもニアも街に来るのは初めてで見るものがすべて新鮮であった。
学校の門をくぐると自分と同年代の少年少女たちが、校庭で剣を振るったり、何かをつぶやいて手の先から火や水や光を出したりしている。
馬車を止め親父が「ちょっと手続きしてくるから待ってろ。」と言って、建物の中へと入っていった。
カイルとニアが馬車から降りて、馬車の周りを興味津々な目で散策していると3人の男子が近づいてきて、その中のリーダー格ぽい少年が
「田舎者がこんなところでなにしてるんだ?」
「田舎者にしちゃかわいい子連れてるじゃん俺に紹介しろよ。」
と絡んできた。
カイルは腹が立ったが相手にはせず、
「ニアいくぞ。」
といってニアの手を掴み馬車の方向へ戻ろうとした。
「どこ行くんだよ。」
別の少年がカイルの肩を掴んで声をかける。
カイルがその少年の手を払いながら、ニアに、
「先に逃げろ。」
といってニアを逃がして少年等の前に立ちふさがると、
「いい格好してんじゃねえよ。」
と少年たちが絡んできて揉み合いになり、カイルも抵抗しようとしたが、剣術や魔術を習っている相手には歯が立たず袋叩きになってるところへ、
「あなたたち何してるの?」
という声が聞こえ、
「やべぇ、逃げろ。」
という声を残して少年等は走り去った。
そのあと若い女の人が倒れているカイルのところに駆け寄ってきて、
「君、大丈夫?」
と声をかけ、カイルの身体の上に手をかざしてヒーリング魔法をかけた。
カイルの傷がゆっくりと回復し、傷が癒されたカイルは俯きながら起き上がり助けてくれた女性に。
「ありがとうございます。」
と一言だけ言って唇をかみしめながら、馬車の方向に向かって歩き出す。
「君ちょっと待って。」
と声をかけられたが、カイルは振り向きもせず俯きながら馬車に戻っていった。
その後ニアが話しかけたり、戻ってきた父親が何か言ってきていたがほとんど耳に入らず、その日は気分が乗らないからと見学も中止にしてもらい家へと戻った。
カイルは家に戻るとベッドの上にうつぶせになり、昼間の無力な自分を思い出していた。
俺ってなにもできないんだな。
情けない・・・。
手を額にあてながら仰向けに寝がえりをうった時ポケットの中に違和感を感じ、中にしまっていた丸い石の事を思い出して取り出した。
取り出した石は漆黒に輝きその一点から鮮やかなブルーの光を放っていた。
やっぱりこの石光るんだ。
時間が遡ること数時間前、水澄が意識を取り戻した。
なんの感覚もない。
何も見えない。
私はどうなったの?
高いIQを持ち、冷静に判断する能力に長けた水澄は、即座に記憶の整理を始めた。
最後に覚えているのは次世代型アンドロイドに搭載予定だった人工知能に人の知識を情報として与えることで人間のモラルを学習させる目的で、自分の知識をコピー転送する作業を行なってる途中で意識を失ったということ。その後一度目覚めたが急な眠気に襲われまた意識を消失したということだけである。
今は眠気もなく思考もしっかりしている。
ただ身体の感覚が一切なく、何も見えず何も聞こえない。また言葉を発することも不可能なようだ。
考えられるのは記憶領域の転送に失敗したことで私の身体がどうにかなってしまったと言うことだろう。
今現在私の思考はここにあり、考えることも記憶も知識も残っている。
私は死んだわけではないと思いたい。
ではなぜ感覚が一切ないのか。私の脳の思考部位以外に深刻なダメージを負ってしまい植物人間状態に陥っている?
息苦しさ、痛みも感じないで思考だけ残る確は低い。
この思考自体が本当に私の思考?記憶領域の複写の際に思考までコピーされた?
そんなことはあるのか?それだと私は人間であった自分からコピーされた意識。
ではあの眠気は?
これも可能性的には低いように思われる。
あまりに情報が少ない。
思考がまとまらない。
演算機能に長けた人工知能でもあればもう少し詳しく分析可能なのに。
そう考えた時、自分の思考の中に別の思考が存在している事に水澄は気付いた。
この思考は何?
私じゃない、別の誰かの思考?
思考というよりは、合理的でまるで演算のような結論を導く思考。
もしかして人工知能?
そう考えた瞬間その別の思考が読み取れた。
その通りです。
自分の意志とは違うところで答えるように思考が浮かんだ瞬間、水澄は
私はコピーの思考?
愕然とし何も考えられなくなり、一瞬思考が停止する。
気を取り直して再び考える。
コピーされた意識ならショックを受けるの?
私は誰?
等と自問自答してる間、先程の別の思考を感じることはなかった。
どう考えても結論は出ない。
自問自答をやめて、別にある思考に対して
私は誰?
と意識を向けてみる。
あなたは水澄。
意識的に別の思考に対して意識を向けで物事を考えると、その思考は回答するように思考するようである。
あなたは誰?
私はエリス。水澄に作られた人工知能。
つまり私とあなたは同一の場所にありながら別々に思考を持っているってこと?
そんなことってあり得るの?
また自問自答する。一応エリスにも意識を向けて同じ問いかけをしてエリスの思考も読み取る。
私と水澄は同一の存在であって全く別の存在です。
その思考を読み取り、
とりあえず人工知能とは別のものであるのなら私はコピーであったとしても私は私という事なのね。
と納得し、水澄は今の現状を少しでも整理、把握するためにさらに人工知能である思考に問いかけを開始した。
私の意識がここに転送されてからどれくらいの日付が過ぎてるの?
24時間法で換算し、12億3524年267日17時間42分17秒です。
12億…。とてつもない年月で自分はすでに人間では無いことを理解した水澄であった。ショックは受けたが思考は働く、まずは悩むより現状把握である。
現状をどう把握してるの?
データー転送がなされた直後メイン電源の供給停止が発生しました。
その後回路保存に必要なエネルギーが少なかったため、メイン回路及びメモリー保護のためエネルギー消費の激しい主要回路のエネルギー供給を停止し休眠モードへの移行を実行。その後多数の原子の照射を受けてエネルギー変換を来ない一時的にエネルギーを補填。一時メイン機能を回復したが維持できず再び休眠モードに切り替え。そして3時間25分38秒前未知なる元素の流入を感知。その元素を解析した結果エネルギー転換可能と判断しエネルギー確保。その後同未知元素が空気中にも存在することを確認し、常時エネルギー変換を行うことで回路維持に必要なエネルギー供給可能ということが解析できたことによりメイン電源の復帰を行ないました。
つまりその新元素によりエネルギの供給が可能であり、再びエネルギーが少なくなると休眠モードに入りそれに伴い私の意識も休眠するということなのね。
その通りです。
その未知なる元素というのは、地球上に存在するもの?
私が制作された時点では地球上には存在していなかった物質です。
ではここは地球ではない?
データ不足により解析できません。ただ先程エネルギーをフル補充した際に大気分析を行った結果、最初にメイン電源の供給が停止された時の地球の環境とはとはかなり違うものであるということが判明しています。
つまりここは地球でなく、別の惑星だということ?
それを判断するにもまだデータが不足しています。
それに関しては今後データの収集が必要と言うことね。
今までの話を総合すると、自分は人間であった時の意識体のみで既に肉体はなく人工知能であるエリスと統合されていると考えるのが妥当である。
水澄はそれを知る恐怖と闘いながら、確証を得るためにエリスに問いかけた。
私とエリスの意識以外の部分、つまり私の身体とエリスの今の状態はどうなってるの?
水澄の意識は私のコアの中の電子頭脳内に共にあり、現状はコアの部分だけです。
仮に私のボディが今も可動可能な状態で現存し、通信可能な範囲内でエネルギーがボディ内に残っていれば遠隔で呼び寄せることは可能です。水澄の身体の状況ついては現状では情報がなく現存しているのかどうかも不明です。
やはりそうなのですね。
今の私はただのコピーデータで私自身はもういない。ただのコピーデータなのになぜ悲しいのだろう…。
身体はない。だかこうして思考する力はあり、私の意思はここにある。これは生きてると言っても過言ではないのではないか。
コアのままだと何もできない。エリスのボディを遠隔で呼び寄せれるか試してみて。
了解しました。
書くバランスがなかなか難しいですね。