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エリは言った。
「メモを見せてもらってもいい?」
ユウタは言った。
「うん、いいよ」
エリは言った。
「メモを一緒に見てもらってもいい?」
「うん」
二人は一緒にユウタのメモを見る。
娘の嫉妬
エリは言った。
「私たちのまだ存在してない娘、夢に出て来た?」
ユウタは言った。
「夢に出て来てないけど想像した」
エリは言った。
「なにか言ってた?」
「エリちゃんと結婚するの決めた後、22から26才くらいのショートカットの女性がパジャマ姿でニヤニヤするの想像した。結婚が嬉しいならなんでにこにこじゃなくてニヤニヤなんだろう」
「絶対私達の子だね。ユウタそこはにこにこじゃなくてニヤニヤなんだよ」
「よく分からないな」
二人は一緒にユウタのメモを見る。
熱燗
天丼を見てる氷
続きを折る
出来ますか
つづれて
限界で
二人で切る
白い○○が○○する
天気予報を聞きながら動かす
平気で○○続ける
すぐ板
会うの楽しみ
剥がしたら
ついてきたのにか
川底の青い石
前回
肉が通る時
足の指先
止めさせるのに
○○才以上上
道で探してる
レモンの顔
大根の千切りの真ん中
開くと
飛び跳ねる
気を使えないのに
焼くのに
各ブースに
変えやすい
止める物に
一生突く
いい加減で目盛り
油断して輪
お掃除で
7 元気な
今高い
隠すのにも
全然進んでない
エリは言った。
「全然進んでない。なにが全然進んでないの?」
ユウタは言った。
「進んでないもの。なんだろう進んでないもの」
「進んでないもの。なに?」
「進まないもの」
「動くものが止まって進まない?」
「どうだろう」
「なにかの企画を進めるのが進まない?」
「どうだろう」
「なにが全然進んでないの?」
「歩くのが全然進まない夢」
「そういう夢を見るの?」
「前そういう夢を見てた」
「体が重くて全然進まないの?」
「体が重いと足を下ろす時はゆっくりじゃないでしょ?足を下ろす時も凄いゆっくりで全然進まないの」
「全然進まないのどこに向かってるの?」
「どこにも向かってない夢だと思うけど」
「どこに向かってるか考えて」
「全然進まなくてどこに向かってるんだろう」
「すごいゆっくり進んでるんでしょ」
「全然進まなくて、向かってる所」
「近所?」
「近所ではないかな。その状態を近所の人に見られるの嫌だな」
「近所じゃなくてどこに向かってる?」
「博物館は違うと思うし」
「美術館は?」
「美術館も違うような気がする。ハーフパンツで凄いゆっくり進んでる」
「ユウタの服装はいいよ。どこに向かってるの?」
「でも蚊は普通のスピードで飛んでる」
「蚊をやっつけられないね」
「でも凄いゆっくりだから蚊にさされたところを掻くのも嫌」
「それでどこに向かってるの?」
「痒くて向かってる所」
「どこに向かってるの?」
「城門じゃ無いしな」
「縄文?縄文時代?」
「縄文時代じゃなくて城の門」
「ああ、その城門。でも城門には向かわない」
「城門じゃなくて…」
「どこかの門?」
「門かな、どうだろう」
「どんな門?」
「鳥居の前を通り過ぎる」
「門はもう関係無い?」
「駄菓子屋じゃないしな」
「駄菓子屋。お菓子は関係ある?」
「お菓子は関係無いかな」
「お菓子関係無くてどこに向かってる?」
「爪切り買いに向かってる」
「凄いゆっくり爪切り買いに行ってるの?ドラッグストア?」
「凄いゆっくりドラッグストアに向かってる」
「近所のドラッグストア?」
「近所。凄いゆっくり歩いてるの近所の人に見られるの恥ずかしい」
「近所じゃん。爪切り買いに行くのは普通の速さで歩ける日でよくない?」
「明日までに爪を切っときたい」
「家に爪切りが無いの?」
「爪切りの切れ味が悪い」
「それ我慢して、普通の速さで歩ける日に買いに行けばいいと思うけど」
「爪切り買って、家に入った瞬間に普通の速さで歩けるようになる。それで爪を切る前にもう一回ドラッグストアに行く」
「もう一回行くんだ?ドラッグストアでなにを買うの?」
「一回目より少し遠いドラッグストアに行く」
「なんで?二回行くの恥ずかしいの?」
「一回目のドラッグストアに置いてない保湿クリームを買う」
「保湿クリームはなにが違うの?」
「寝転んだ時の皮膚の痛さが違う」
「結構な悩み?」
「結構な悩みだよ」
「なんか爪切りの切れ味よりもそっちの方が大事な気がするけど」
「でも寝るときは睡眠薬飲んで眠るから大丈夫」
「なんかユウタの診察に一回一緒に行った方がいいような気がするんだけど」
「そうだね一回一緒に行った方がいいかもね。でも主治医にたくさんは質問しないでね」
「なんで?」
「予約制で多分30分に何人診察とか決まってるから」
「いくつなら質問していいい?」
「二つかな」
「三つは?」
「じゃあ三つまで」




