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7.成立した日




あー、昨日はやってしまったなー·······

お酒なんて僕も岡本さん······いや夏希も飲んでないんだけどね。

あ、それと、今回のことを切っ掛けに恋人同士になっちゃったから、僕は岡本さんのことを夏希と呼ぶことをお願いされたし、夏希も僕のことを御崎と呼ぶ。

勿論それはプライベートな空間だけなのだけれどね。公的な空間····つまり仕事中はいつも通りの関係だ。


それと、やらかしたのはその件だけじゃなくて、昨日ファーストフード店に行ったときの交通手段も完全にやらかしていたのだ。

ファーストフード店には車で行ったのだが······思い出してほしい。僕が保有している車を。

そう。僕が現在保有しているのはこともあろうにフェラーリとランボルギーニの二社の車をそれぞれ一台ずつだ。だから、それはもう大いに目立った。

だって、普通フェラーリやランボルギーニでファーストフード店に行くか?

行かないだろう。普通ならば。だが、僕たちは失念していたようだ。ココが成金にはまだまだ慣れていないところ。金銭感覚は最早とうに麻痺しているけど、それでもファーストフード店に超高級車で乗り込むのはどうかしていると気付くべきだったのだ。


だから、昨日は思わぬ視線を浴びてしまった。だから、帰りに一樹たちが見送ってくれたんだけど、その時も一樹たちははじめの間は驚いて、暫くしたら僕のことを阿呆だと宣った。

はい。本当に反省してますよ。もう二度とあんなことは(多分)しないだろう。──────不安だけど


「あー夏希?」


「なぁに、御崎?」


「なんでさっきからこんなにもずっとくっついてるのかな?」


今日はほとんど家でだらだらと過ごしていた。だから、夏希との今の関係は恋人同士だし、こんなにもイチャイチャしているんだけど·······先程、具体的には数十分前からこの調子で、引き離そうとしてもべったりで全然離れてくれないのだ。


「えへへ、いいじゃん別にー。私たち恋人同士なんだしさ!!」


確かに、クールな夏希も良いが、こっちの甘えん坊な夏希も非常に可愛いのは認めるし、それに鼻の下を伸ばしてだらしない顔をしている僕がいることも認めるけど、変わりようが凄まじくて困惑している僕もいることは確かだった。

それに、昨夜、恋人に成り立てだというのにベッドに忍び込んできて夜這いしようとして来たのには、それは僕ももう大慌てで·······

結局僕はまだ童貞のままだけど、このままだと僕の純潔を奪われるのも時間の問題だと思われる。


まあ、可愛いと何でも許しちゃうんだよね。


「ああ、うん。分かったよ。もう暫くこのままで居ようか····」


僕はそのままの体勢で夏希の身体から匂う甘い香りに、夢の世界に誘われて、程無くして眠りに落ちた。






翌日。


「─────!···さき!御崎!」


僕は寝ぼけ眼を擦って、声の聞こえる方にその視線を向けると、そこには僕を真上から見下ろす夏希の姿があった。


「やっと起きた······もう朝だよ!」


「うーん·····おはよう、夏希」


「おはよう、御崎。もう朝食は作っておいたから、一緒に食べましょう」


「ありがとう」


どうやら夏希は先に起きて朝食の準備をしてくれていたらしい。流石は完璧超人さんだ。夏希の意外な一面を知ったあとでもやること成すこと何もかもが早い。


「それじゃあ、『いただきます』」


夏希が作ってくれた朝食は非常に豪華なものだ。基本的に西洋風朝食で、健康にも意識を使っていることがよくわかる位に、巷で話題のスーパーフードを使用したサラダや、それにかけるオリジナルのドレッシング。

他にもパンやら卵やらをふんだんに使った料理だった。


それは端的に言って非常に美味しい。多分、これ以上の朝食なんて無いんじゃないかと思えるほどの美味しさだ。

勿論、使用している食材が一から十に至るまで高級品だというのもあるだろうが、そうではない。

僕が本当に凄いのはどんな食材を利用しても······つまり、安い食材だろうが高級な食材だろうが関係なく、同じ仕上がりにできるという点で誉めているのだ。

流石に、料理の腕だけで安物と高級品の差を埋めることは叶わないが、それでも、どんな料理もそのとき使える食材で最高のものを提供してくれる。


僕は最高の女性を恋人にできたようだ。




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