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6.恋人の日?




「いやー、それにしてもまさか御崎がねー」


あのあと、すっかり話し込んでしまい、料理を食べ終えた後も暫く話続けていた。そのためにテーブルの上にはスイーツやコーヒー、紅茶が並んでいた。


「はは、僕だってこんなにトントン拍子でうまいこと投資が成功するなんて思わなかったよ。お陰で岡本さんとも出会うことができたしね」


「黒嶋様······そうですね。黒嶋様がこのように成功しなければ私が黒嶋様の秘書になることなどはありませんでしたからね」


「─────ふむ。そうだな。もし、お二人さん」


「どうしたんだい、一樹?」


「いやなに、そこまで仲良さげならもう付き合っちゃえよと思ってな」


「はっ?」


「えっ?」


一樹のそのいきなりな言葉に俺も岡本さんも呆気にとられてしまった。

たしかに、一樹の言う通り岡本さんと僕とは単に仕事の関係というよりは友達関係という方が似合うときもある。あくまでも僕が雇っているから基本的に敬語だけれど、それでもそんな関係以上に岡本さんとは友達でいたいと思う自分が居るのも確かなことだけど、まさか恋人にとかは全く想像していなかったので、僕の脳内は混乱中だ。


「か、か一樹、何を言っているんだい!?ぼ、僕は岡本さんとは友達関係だと·······」


「そうなのか?てっきり二人とも付き合ってると思ってたんだけどなー」


と、一樹はわざとらしくそう告げた。そう言われた僕の顔はもう真っ赤かだ。きっと。だって顔がとても暑い。


僕は恐る恐る岡本さんの顔を見てみると、彼女も彼女で顔が真っ赤で、少し下に俯いている。

不意に可愛いと思ってしまった僕は悪くない······筈だ。


「あのー岡本さん·····」


「ひゃ、はい!」


ああー!完璧超人の岡本さんが可愛すぎる。ギャップ萌えってやつなのか?


「僕の友達がごめんね。普段はこんな奴じゃ無いんだけど」


「い、いえ。私も突然のことにビックリしただけですから·····」


んと、なんだか微妙な空気になっちゃったな。それもこれも一樹が変なことを言い出すから!


「一樹····変な空気にしたことの責任とってよね」


「へっ?責任?」


「うん。別に僕たちが恋人って訳じゃないし。それにさっきので変な空気になったから」


「責任って、どういう風に?そうだね、これじゃあ飯喬さんに迷惑かけちゃうけど、一樹、そっちこそ恋人同士なんだし僕たちの前で恋人らしいことしてよ」


「え?は?恋人らしいこと?」


「そうそう、恋人らしいこと」


一樹混乱してるねー。まあ無理もないか。


「うーん。分かったよ。どうしてこうなったかわからないけど。ごめんね真愛」


そう一言謝って、一樹はそっと真愛さんの唇にキスをした。


あー、なんだ。頼んでおいてなんだけどこっちの方が恥ずかしいや。目の前で恋人らしいことさせるってこっちもこんなに恥ずかしいことなんだね。

周りに人が居なくて良かったよ。いつの間にか時間が経っていたようで、店内には付近に僕たち以外の客は居ない。


「ふぇ?一樹?」


一方の真愛さんも真愛さんで非常に混乱しているようだが、次第に状況が把握できてきたようで、その顔は茹でダコのように真っ赤に染まった。


それで、僕がそんな状況を呆然と見ていたときだ。いきなり横から伸びてきた両手で頬を挟まれて、そのまま唇にキスと相成った。


「っっっっっんんー!!」


「ぷはっ!お、岡本さん!?」


「はっ、うわっ、私なんてこと·····ごめんなさい黒嶋様!突然こんなことして!目の前のこと見ていたらどうにも我慢ならなくなってしまって·······」


「······過ぎたことだししょうがないよ。でもこれからはする前に一言言ってね」


「えっ?」


「あ、あぁー!!何てことを!!僕の!口は!何を言っているんだ!?」


「黒嶋様!いえ、御崎さん!私と付き合ってくれませんか!?」


「えっ、えぇーーー!!!?」


いやまて、なんだこれこの超展開。えーと、一樹暴走→俺暴走→岡本さん暴走→今ココ


「御崎さん私と付き合って!!」


「わっ、分かったよ。それじゃあお付き合いからね。僕は恋愛経験なんか無いけど、これから宜しくね」


と、一樹の桃色空間とは別に、僕たちは新たな桃色空間を創造するのだった。



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