29.スウェーデンな日(4)
「色んな人が居たねえ。まさか、有名な発見が意外な人の研究だったとは思わなかったし」
「そうだね。僕たちが知らない名前の人がとても有名な研究をしていたりしたね」
一通り年代別歴代ノーベル賞受賞者の説明を見終えたので、館内の他の展示を見て回っていた。
「へぇー、今日はマーティン・ルーサー・キングJrについて特集してるんだね。これって毎日違う人をピックアップしてるのかな?」
「流石にそれはないでしょ。この規模の展示なんだし、月一とかの展示なんじゃないかな。詳しくは知らないけど」
「そうなんだ?」
「たぶん、ね」
展示ではキングJrの功績や人生について詳しく説明がされている。当時の映像が流れていたりして、その時のアメリカの社会の様子、特に人種差別についてよく知ることが出来た。
当時のアメリカでは黒人は差別されていて、法律でもそれを後押しするようなものもあったらしい。
アメリカ合衆国憲法では全人類は平等としておきながらだから、今の日本国憲法の9条と全く似たような状況だ。
9条では軍隊の保持を認めないとしながらも、自衛隊という名の軍隊が存在していて、それを苦し紛れに軍隊ではありませんと言っている。
どこに戦車や駆逐艦、軍用ヘリ、戦闘機を保有しているにもかかわらず軍隊でない組織があるのだろうか。
少なくとも世界は日本の自衛隊のことを日本国軍と見なしている。どう考えても言い逃れすることのできない事実だった。
ここ、スウェーデンでも少し軍事的に関連させて言うことがあるとすれば、スウェーデンが実は徴兵制であることだ。しかも、男女徴兵である。尤も、女性については徴兵を拒否することもできる。
まあ、他国のことなのでとやかく言うつもりは全く無いのだが、とても以外に思ったことは事実だった。
「ここは、ノーベルについて説明しているのかな?」
「どうやらそのようだね。ノーベルはダイナマイトが平和利用されることを望んで開発したらしいけど、その実、裏ではダイナマイトが確実に兵器に利用されるだろうことを予想していたらしい。ダイナマイトは本来、鉱山の採鉱現場で、効率よく安全に採鉱できるようにするためのものだしね。今もトンネルの工事現場とかでも使われるらしいよ」
「へー、そうなんだね。じゃあ、やっぱりダイナマイトって元々は民間技術なんだ?」
「一概にそうとも言えないと思うよ。ダイナマイトだって極論すれば威力が上がって使いやすくなった火薬だよ。それが軍事利用されるのはある意味当然だったともいえる。あくまでもこれは僕個人の考えだよ」
「うーん、でも、危ないものでも使い方さえ間違えなければ便利なものになるって事だよね。身近な例で言うと、包丁は凶器にもなり得るって事と似たようなこと?」
「まあ、包丁とダイナマイトは随分用途は違うけど、そうだね」
その後も夏希とあれやこれやとノーベルについて話をしていると、それなりに時間も経ったし、ノーベル博物館内もあらかた見て回ったので、併設のカフェでアイスを食べることにした。そのカフェ、とても人気で殆ど満席だった。
「ほう、見た目が凄く豪華で華やかだね」
「まあそりゃ、特別なアイスクリームだしね。なんて言ったってノーベル賞の晩餐会で出されるアイスクリームなんだし、それ相応に凝ってるでしょ」
「アハハ、そっか。じゃあ、いただきまーす」
「いただきます」
そう言葉を述べてから、スプーンでアイスを掬い、口に運んだ。
「うーん、シャーベットみたい?」
「どうかな?でも、特別感は感じれるでしょ」
「そりゃ勿論!!ここでしか食べられないんだし、何よりノーベル賞受賞者と同じアイスを食べてると思うと、ね」
「他にも晩餐会で出された夕食も食べられるんだからね」
「どうしよう、食べちゃう?」
「食べるのなら、ストックホルム市庁舎で食べられるよ。どうする?明日の夕食に予約する?」
「うーん、折角だしやっぱり食べたいよね」
「分かった。じゃあ予約しておくよ」
そんな会話をしているうちにアイスクリーム等を平らげていた。




