21.ロシアな日
というわけでウラジオストクに到着。いやー、ここが極東のヨーロッパと言われてもおかしくない景色なのはとてもよく分かった。
もうまんま景色がヨーロッパそのものだしね。ロシア語に関しては今回、付きっきりで日本人の通訳さんが居るのでその辺は全く心配していない。
今日はこのままウラジオストクで一泊してから明日朝の列車で出発する。
六泊七日の鉄道の旅を予定しているが、場合によっては延びる可能性もある。
シベリア鉄道にてモスクワまで到着したら今度は乗り換えてサンクトペテルブルクまで向かう。シベリア鉄道はあくまでもモスクワとウラジオストクを繋いでいて、サンクトペテルブルクまでは無いのだ。
モスクワからサンクトペテルブルクへはロシアの高速鉄道を利用する手筈となっている。
「それにしてもすごいねー。距離はそんなに離れてないのにヨーロッパそのものの雰囲気だよ!」
夏希が興奮ぎみにそう言った。
「そうだね。極東とは思えないよ。やっぱり来てよかったと思うよ」
「うん。それで、今日はここに一泊するんだよね」
「そうだよ。今回泊まるホテルはロシア料理を提供してくれるからね」
「へー、それってボルシチとか?」
「いや、何が出されるかは知らないんだ。まあ、ボルシチは一般的だし出されるんじゃないかな?僕はそんなにロシア料理に詳しくないから、後はビーフストロガノフとかピロシキとかそんなのしか分からないよ」
「ふーん······まあ、ロシア料理は美味しいと思うし期待してるよ」
「あはは、それはホテルの料理人の腕前に懸かってるかな」
「それもそうか。それじゃあもうちょっとこの街を見て回らない?折角来たんだからさ!」
「ああ、そうしようか。それじゃあ西山さん。ウラジオストクの案内お願いしますね」
「はい。お任せください」
西山さんは今回雇った通訳で、ロシアの観光案内役も兼ねている。
そして僕たちは西山さんに案内されながらウラジオストクを観光した。兎に角、ウラジオストクは結構広い。
まあ、ロシアそのものが凄く広いけど······
僕的には港町の雰囲気がとても気に入った。夏希は教会や広場等を中心に見たいようだった。
他にもここウラジオストクには様々な博物館もあり、ロシアの極東での活動の歴史とかが綴られていたりした。勿論その中には日露戦争のこともあった。今ではそれも長い歴史の中の僅かな一ページに過ぎなかった。
「うーん!もう夜だね!」
「そうだね。それじゃあそろそろホテルに向かおうか。西山さん、タクシーの手配をお願い」
「分かりました」
それから僕たちはタクシーでウラジオストク市内に予約しておいた高級ホテルに向かった。
ホテルに到着したら、チェックインを済ませて早速部屋に向かった。
部屋についたら先に届けていた荷物を整理してから、もう夜でいい時間なので直ぐに夕食に向かった。
高級ホテルとだけあり、やはり料理人の腕前はかなりのもので、ロシア料理は滅多に食べないが、ロシアで食べる本場の料理はまたなんとも新鮮なものだと思えた。
やはりボルシチやピロシキ等といった有名な料理も出されたが、フォルシュマークといった聞いたことの無いような料理も提供されたが、どれもとても美味しかった。
聞けばフォルシュマークとやらもロシアでは有名なロシア料理らしい。
まあ、ロシア料理はロシアで有名なのは当たり前なのだろう。そうそう、ここウラジオストクでもよく日本料理店を目にすることができた。今、世界的な日本食ブームで、それはロシアでも同様らしい。
食の文化は他国にも受けが良いらしい。まあ、日本の食文化が世界に誇れるものなのはとても同意できる。
「うー、ウォッカって初めて飲んだけど、これ、きつすぎない?美味しいけども······」
と、夏希がウォッカを飲んで苦しそうにそう言った。
「まあ、確かに度数きついけど、ロシアじゃこれが欠かせないんだしね。それに、この先旅行してれば飲む機会なんて幾らでもあるだろうし、そのうち慣れるよ」
「そーお?まあ、美味しいからいっか······」
そう言って夏希はウォッカを一気に呷った。




