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12.日本一の日




柴田さんと話を終えた後も、ひっきりなしにやってくる資産家や政治家の人との話をのらりくらりと交わしつつ僕はパーティーを楽しんでいた。

ここで出される料理は流石に大物が出席するパーティーとだけあって、使われる食材は勿論のことながら、その食材を調理するシェフも一流の人が用意しているのがよく分かった。

まあでも、夏希には遠く及ばないけどね······


あくまでも夏希のは別格なのだ。勿論、恋人が作ってくれたというのも大いにあるが、その贔屓目を抜きにしても普通にプロのシェフ並みの料理の腕前だった。


そんな夏希は今は会場の外で待機しているので、僕のとなりには居ない。


パーティーもやがて終盤に差し掛かると、僕に話し掛けてきた一人の男性が居た。

僕はその人の姿を見て、今回のために覚えてきた顔と名前に合致した、

そう、今、僕に話し掛けてきているのは個人資産で日本一に立っている、ソフトモバイルグループの代表取締役社長、甲斐昌義(かいまさよし)さんだった。


「初めまして。私は黒嶋御崎です。黒嶋グループの会長を務めております」


「どうも。私は甲斐昌義だ。ソフトモバイルグループで代表取締役社長を務めている。君があの有名な黒嶋グループの会長さんか」


どうやら僕の事は日本一の資産家にまで知られているようだ。


「ええ、その通りですが、まさか甲斐さんにまで知られているとは······光栄です」


「いやいや、謙遜することはないよ。この世界はやはり運も重要だからね。黒嶋君のような急成長を私は見たことがないけど、有り得ないことではないからね」


「ええ、私もそう思います」


「とはいえ、やはり自らの手腕も重要だよ。運があってもそれだけじゃあ会社を経営することは出来ないからね。やはり、勉強は重要だよ」


「確かに。私もまだまだ若輩者ですから、会社の経営に関してのノウハウは確立してないんですよ。手探りってことです。だから、会長になった今も学ぶことだらけです」


「うんうん。それがいい。私の年になっても経営に正解なんて見出だせなかったからね。多分、この世界に正解なんて無いんじゃないかと思うんだよ。だから私もまだまだ勉強中だよ」


「そうなんですか!」


「はは、そうなんだよ。今日は楽しんでるかい?」


「ええ、こういうパーティーは初めてですが、皆さんが優しいお陰で僕も孤立せずにこうして楽しめていますよ」


「うん、それは良かった。私はこういうのは何度目かもう忘れてしまったけど、イメージが変わるだろう。政治家の」


「ええ、ここに来る以前、テレビだけで感じた印象とは180°違いましたよ。ええ、少なくともここにいる政治家さんたちは己の信念をもって行動している志のある方なんだと思いましたね」


「ほう。まあ、この場にいる政治家たちもピンからキリまでだけどね─────おっと、これは内密に頼むよ」


「ええ」


「それにしても、君を見ていると私もまだまだだなぁと思わされるよ」


「えっ?」


「いや、これからは君のように若い世代の人たちが台頭する時代になってくるんだろうと思ってね。勿論、私もその流れに呑み込まれないようにせいぜい足掻くつもりだけどね」


「はぁ」


「ああ、済まないね、私ばかり喋ってしまって。これを渡しておくよ」


そう言って甲斐さんはメモを取り出して、そこに何かの番号を書き込むと僕に渡してきた。


「これは私のプライベートナンバーだよ。何か相談があればここにかけてくるといい········勿論、商談でも受け付けよう」


と、冗談混じりにそう言って、甲斐さんは僕から離れていった。


「へぇー、さっきのってソフトモバイルグループの甲斐昌義じゃん」


突然、僕のとなりからそんな声が聞こえてきた。


「おっと、これは初めまして。俺は新堂敦業(しんどうあつなり)だ。こう見えて飲食チェーンの社長をしている」


「私は黒嶋御崎です。黒嶋グループの会長を務めております」


「うひょー、やっぱり本物の方が良いな」


「どういうことですか?」


「いやなに、ネットであんたの画像を見たことがあるんだけどさ、本物の方がかわいいなーって」


この人······僕の苦手なタイプだ!完全に向こうのペースだし·······て言うか、可愛い!?

確かに顔は中性的ではあるけど······はじめて言われたなぁ。


「そう·······」


「おっ、照れた顔はより可愛いな。─────っと、すまない。ちょっと悪ふざけが過ぎたな」


確かに照れていたが、周りの雰囲気を鑑みてかちょっと冷静になる新堂さん。この人も若い。もしかしたら僕よりも年下かもしれない。


「新堂さんって、もしかして私よりも若いんですか?」


「えっ、ああそうだな。俺は今年で25だ」


「そうですか······私は26だから·····」


「へぇー。でも俺よりも年下に見えるな」


失礼な!確かに見た目より幼く見えるとは言われるけれど!


その後も、新堂さんはだらだらとどうでもいい話を続け、最後には連絡先を交換するまでの仲になった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定は面白いと思う。 [気になる点] 過程が省かれ過ぎて残念。会話もトントン拍子過ぎる…。 [一言] もうちょい株式や会社作る際のうんちくを調べて詳しく書いて欲しい。
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