第4話〜懐かしの魔法使い〜
「そういえば、この時代のアルナさんはどうしてるの?」
ギルはアリシアに聞く
「うーん、確か普通の子供と同じだったけど、協会に居た神父がカッコよかったとかで、僧侶になったんだったな」
「へぇー、確かアルエ城の近くの街に居たよね」
「ルビの街だが今の状態だと街とは言えねぇな」
アリシアはルビの街もといルビの村を経由し、東にある魔女の森に向かう
昔から魔女の森は木が鬱蒼としており、馬車では通れなかった
「すぐに魔王城に行っても返り討ちに遭うだけだ、なら遠回りして少しずつ力をつければと思ったんだが、馬車を置いていくしかなさそうだな」
馬車から降り、馬を逃す
馬は一目散に走っていった
「他人の馬だが、まぁ良しとするか」
「なんか懐かしいね、この森」
「初めてアルよ、ワタシは」
魔女の森と言えばギルとアリシア、アルナが訪れターリットに出会った場所だ
ギルとアリシアが旅に出て以来会ってなかったため、久しぶりに会いたいなと思ってしまう
「あっ、小屋があるよ」
「一応声かけてみるか?流石に別の人が住んでるかもな」
トントン
扉をノックする
返事は返ってこない
「聞こえてないのかな?」
トントン
さらに強く扉をノックする
中からドタドタと音がしてきた
ガチャ
「はぁーい、どなたです〜?」
「「「えぇ!!」」」
驚くのも無理はない
彼女の姿は全くもって変わっていないのだ
「あら〜?なんだろうね、貴方達とはどこかで会ったような〜、無かったような〜」
「もしターリットが俺たちのことを信じるならその事について話すのだが」
「えぇ〜なんで私の名前を〜!是非その話聞かせてちょうだい」
カクカクシカジカ
「ふ〜ん、つまり貴方達は未来で私に会っていると」
「それで俺たちと共に旅をしたって訳」
ターリットは顔を戻す
「ちょっとだけ待ってね〜、急いで支度してくるから」
「乗り気になってよかった、人は多い方が良いしね」
「まさか、何も姿が変わってないとは思わなかった」
数分後にターリット戻ってきた
沢山の道具などを運んで
「ヨイショっと、これを魔法で包み込んで⋯⋯」
ターリットは杖を振る
魔法のようなものを唱えると、道具が全て小さなポーチの中に吸い込まれていく
「どう、たいしたものでしょ〜」
「たしかにすごいな」
ターリットは頭を書きながら照れる
「勿論支度をしたっていうことは付いて来るってことだな」
「そのつもりだよー、長年の経験を見せる時よ」
「ターリットって何歳なの?」
瞬間的にギルを睨むターリット
穏やかな顔つきから一変し不穏な表情になる
「ギルくんだっけ?年齢は教えないけど、私の秘密は教えてあげるわ」
ターリットはギルの耳に口を近づける
「私はね、不老不死の薬を飲んだのよ。未来でも老けてないのはそのため、さっき未来の私とコンタクトして貴方達の記憶を共有したわ」
まさかの秘密を知らされてギルは驚く
アリシアはきっとおっかない事でも言われたんだろうなと思っていた
「さて!出発進行!」
ターリットはズケズケと歩き出す
「なんかキャラ違くないか?」
「強いのに越した事ないでしょ」
3人はターリットの後を追い、森を出ていく
森の外でやはり魔物達は攻撃してきた
ターリット以外の3人は躊躇しながらも応戦する
「クソ!コイツら俺たちの時代よりも凶暴になってる」
「それにやたらとタフだ!」
「アチョー!これも、魔王が二人いるせいアルか!」
ターリットは魔法の詠唱を終える
「メガファイア!」
大きな火の塊が沢山の魔物に直撃する
「「「ギャギャー!!」」」
魔物達は姿も残らず、灰になって消えた
「さすがターリットだな、魔法の腕前はピカイチだ」
「そんな事ないよ〜、それより次の行き先は?」
「場所的にはドルテス城だが残っているかどうか」
「クヨクヨしてても仕方ないよ〜、行きましょ〜」
ターリットを先頭にドルテス城に向かう四人
その足取りはどこか重たかった