第2話〜空間の先には〜
「ふあぁ、昨日は遅くなっちゃったな」
起床したギルはあくびをする
昨夜は遅くまで起きていたので当然だ
「アリシアさん、起きてください」
アリシアを揺さぶる
「うぅ、頭がいてぇ、飲み過ぎた〜」
「あんなに酔ってれば二日酔いにもなりますよ」
アリシアは頭を抑えフラフラと歩く
ギルはアリシアを支えながら玉座の間へ向かう
「おぉ起きたか。ギル、アリシア」
アルエ王は深刻な顔で出迎える
「そなたらに昨日言いそびれたことがある」
いかにも何かあったと言わんばかりの顔つきだ
「実はそなたらが来るずっと前に魔王から不思議なことを聞かれてな、『自分と同じ魔王の気を放つ空間が城に現れた』と言っていのじゃ」
アルエ王は話を続ける
「その後、魔王はその空間に入ったきり戻ってこないそうじゃ」
ギルとアリシアは眠気が覚め、魔王を探しに行くと意気込む
「ホッホッホ、そういうと思ったよ。では、旅のお供として懐かしい仲間を呼んでおいたよ」
アルエ王はそういうと、どこからか走ってくる音が聞こえてくる
ダダダダダダッ!
どんどん近づいてくるその音の正体は
「二人共!元気にしてたアルかー!」
魔王と和解して以来修行の身だったリンだ
ダッシュの勢いで思いっきり飛びつくリン
アリシアにぶち当たる
「ぐわぁ!」
「あいたー!」
アルエ王はその元気の良さを見て笑っていた
「ホッホッホ、元気があって何よりじゃ。リンよ、勇者の魔王探しの手助けをしてくれまいか?」
「勿論オッケーアル、魔王が居なくなったら決闘相手がいなくて寂しいアル」
ションボリした感じで答えるリン
実際戦ったようだが結果は魔王ルビスの勝ちだったらしい
「では、くれぐれも気をつけて行くのだぞ。魔王城への道中は移動ゴブリンを手配しておる、それに乗っていくがよい」
ギル達は外に出ると馬車に乗ったゴブリンが手を振って待っていた
「アルエ王からは聞いてますぜ!魔王を探しに行くんだろ?超特急で魔王城に連れてってやるから早く乗りな!」
ゴブリンに急かされ馬車に乗ると並みの馬車では出せないような速さで移動していく
「うわぁ!すごい揺れだね」
「頭が響くぜ⋯⋯うっぷ」
「大丈夫アルか?アリシア」
そんなこんなであっという間に魔王城に到着する
魔王城にはたくさんの魔物が仲良く暮らしている
魔王城の玉座の間に行くといかにも怪しい空間が存在していた
「なんか嫌な気を感じるアル」
「アルエ王が言ってたのはきっとこの空間の事だよ」
「よし、気合いを入れて3人で飛び込むぜ!」
アリシアを先頭に一気に空間に入っていく
「「「うおぉぉ!」」」
空間に入ると目の前がグラグラ揺れ始める
ものすごく気分が悪い
空間を抜けると魔王城ではなく、なんの変哲も無い平原に出てくる
「どわぁ!」
アリシアが急に空間を抜けたため小石につまずく
「おわっ!」
その後ろから空間を抜けてきたギルがつまずく
「おふ」
ギルの顔がアリシアの尻に直撃する
その後ろからリンはさっきの小石につまずき、ギルの上に乗る
「誰だ!尻に顔を埋めているのは!」
アリシアの怒鳴り声で急いで降りるギルとリン
「全く、とうとう俺の尻にかぶりついてきやがった」
お尻を払い、辺りを見渡すアリシア
「にしてもここはどこなんだ?」
「さぁ?魔王城はないし、適当に歩くしかないよ」
「なんだかワクワクしますね」
ギル達は適当に歩いていくと魔物を見つける
「おっ、魔物だ」
「平気だろ。みんな仲良くなったんだからな、襲ってくることは⋯⋯」
アリシアが言い終わる前に突然の襲ってくる魔物
魔物の種類は一般的なゴブリンだ
しかしどこか雰囲気が違う
その目は本当に殺しに来ている、本来の魔物の目だ
「なんだってんだ!一体!」
「ちょっとやめてよ!僕たち和解したじゃないか!」
その言葉を聞く耳を持たず問答無用と言わんばかりに攻撃してくる
「クソ、一旦逃げるぞ。とりあえず、街に着かないと」
ゴブリンから逃げ出すギルたち
未だに彼ら魔物が突然牙を剥き攻撃してくることに理解ができないまま、ギルたちは街を探すことにする