僕が変えれなかった過去
今回、2回目の小説ですが…もしかしたら文や表現がおかしい所があるかもしれません。ご了承ください。
前回の龍馬君目線の話とは繋がりはありますが、これだけでも普通に読むことが出来るので、短編小説となっています。
※ロン目線での話です。
ーーー20XX年とある病室ーーー
「本当に行くつもりなのかい?」
僕の担当医であり科学者でもある男が尋ねた。僕は、
「勿論です。」
そう答えた。しかし、男は心配そうな顔で僕の身体に取り付けられた装置を見ながら…。
「今まで誰も成功した事がないんだぞ?それに、君の身体は…。それでも行くのかい?」
「それでも行きますよ。例え、この身が耐えきれなくなって砕けちろうとも…。だってそれが僕が彼に出来る精一杯の償いなんですから。」
その言葉を聞き、尚も心配そうな表情をしばらく浮かべていたが…覚悟を決めたらしく男がスイッチを押した。
僕の意識は暗い海の底に沈んでいった…。
ーーー???にてーーー
目を開けると一面真っ白な空間にいた。もしかして失敗してしまったのかな?と少し心配になってしまったが、どうやら成功していたみたいだ。キョロキョロと不思議そうに辺りを見回している少年を見つけた僕は、声をかけた。
「 初めまして、突然の出来事で何が起きてるのかわからないって顔してるね。」
少年はびっくりした様子でこちらを振り向いた。その少年は、まだ中学2年生の『龍馬』だった。
(緊張しているみたいだし、ジョークでも言ってあげた方がいいのかな?)と思い、口を開こうとしたら、
「…君は一体誰だ?」
龍馬の方から尋ねてきた。なんて言おうか迷った僕は、
「ん?僕?僕の事はそうだな…ロンとでも呼んでくれないか?」
(答えになってないし、急いで考えた名前だったから嘘がバレないか心配だな…。)
そう思いながら、龍馬からの返事を待った。
「えーっと、ロン…ここはどこなんだ?俺は自分の部屋を出た記憶が無いぞ??」
別に僕の名前にあまり興味を持っていなかったらしく…すぐに話題が変わってホッとした僕は、
「ここはそうだな…例えるなら、脳内の談話室みたいなとこだよ龍馬君。」
わけのわからない説明をしていた。
(遠い所に居る人と話が出来る空間だよと答える予定だったんだが…。いや、違うな…龍馬と会えて戸惑っているのか、思考までも変な回答しか出来なくなっている気がする…。)
と、少し顔をしかめている僕に全く気付いてない龍馬が混乱した様子で、
「脳内の談話室…??何わけのわからないことを言って…え?な、なんで俺の名を?!一言も名前を言った覚えは…!!」
「なんで知ってるのかって?簡単な話じゃないか、ここには僕が招待したからさ。」
(まぁ、本当は無理矢理夢の中に僕が入ってきたんだけど…)
「はぁ?!なんで俺を招待したんだ??」
「君なら僕の話を最後まで聞いてくれるかなーと思ってさ。」
(だって、君じゃないと未来が変わらないし…意味がないからね。)
明らかに面倒くさそうな顔をした龍馬に、
「ダメ…かな?」
とても悲しげに見える(であろう)上目遣いで聞いた。すると、
「…わかったよ、聞けばいいんだろ?ロンの話を。」
諦めたようにそう答えた。僕は素直に、
「やった!!ありがと!!龍馬君!!」
(こんな方法ですんなりいくなんて思ってなかったな。)なんて考えていると、早く元の場所に帰りたいと思ったのか、
「それで?話っていうのは??」
と、話を促された。
「うん、実は…。」
僕が犯した過ちを誰かに聞いてもらうなんて不思議な感じだな…と思いながら話した。
僕は、高校入学してからの友人である黎斗(龍馬には友人Aと伝えている)と仲が良かった。
しかし、ある時から黎斗の事が嫌になった。
「原因としては多分…普段はなんとも思わない些細な事、例えば突然後から軽く叩かれたり、他愛ない話でコンプレックスをいじられたり…。友達同士なら普通にするような事が僕にとってはストレスでしかなく、それが限界を迎えたからだと思う。」
僕は、黎斗と過ごした半年間の学生生活を思い出しながら言った。
「それに気付いたのなら直接友人Aってやつに言えばよかったんじゃないのか?」
龍馬が不思議そうにそう聞いてきた。
「普通ならそうするんだろうね…でも、僕は違ったんだ。関係が崩れるかもしれない事に怯えて、してはいけないことをしてしまった…。」
「してはいけないことってなんだよ??」
(本音を伝えて、黎斗から嫌われたくなかった僕は…。)
「それは…これ以上一緒に居たらもっと嫌いになってしまうそれだけは嫌だと、そう思っていた僕はSNSに書き込んでしまったんだ。友人Aと一緒に居たくない…と。」
「それは…。」
龍馬が答えようとしていたが、言葉にならなかった。どう答えようか思案している様子の龍馬に、
「わかっているよ、それがどんなにいけない事かなんてさ。」
自嘲気味に微笑みながらそう言った。
(だって、この時に嫌でも実感させられたからね…。)
「知っていてなんで書き込んだんだ??」
「気持ちがどうしても抑えられなくてね、気付いたら…って。」
「そんな事書いて、友人Aとはどうなったんだよ?」
「僕はすぐ消したんだけどね、友人Aはそれを見てしまった後だったみたいで…それからは近寄る事さえ出来なくなって、もう彼から話す事は無いんだなってそう思ったよ。」
(だって、僕の前に2度と現れることは無かったから。)
「おかしくないか?そんなに仲の良かった友人なら、いつから嫌いだったのかとか色々聞いてくるだろうし、全部話して和解するとか出来たはずだろ??」
ムッとした表情で問いかけてくる龍馬。多分これを言ったら怒るんだろうなと思いつつ、
「彼から聞いてくる事は無かったし、全部話して和解するには何もかも遅すぎたんだよ、龍馬君。」
そう言うしかなかった。
「何もかも遅すぎるなんてことあるわけないだろ?!そう思うって事は、和解を諦めたって事じゃないか!!」
案の定、龍馬は怒った。ネガティヴな発言ばかりの僕に。慌てて謝ろうとした龍馬を遮り、僕はポツリと呟いた。
「…僕は和解を諦めたわけじゃない。」
雰囲気が変わったのを察した龍馬は、恐る恐る聞いてきた。
「…何が遅かったんだよ?」
なんて言おうか迷った挙句、直球で答えた。
「彼は…僕の書き込みを見て自殺したんだ。」
龍馬は僕の言葉を聞いて、呆然とその場に立ち尽くしていた。丁度いいと思い、僕はそのまま話を続けた。
「次の日にね、彼にきちんと書き込みについて謝罪をしようと思っていたのに、HRが始まっても来る気配がなくて不思議だったんだ。彼は遅刻するような人じゃなかったから…。教頭先生が慌てた様子で教室に来て、友人Aが自殺したって聞くまでは。僕はその時に彼の死を知ったんだ。」
当時、何度夢だったらって思ったのを今でも覚えている。
ようやく僕の言った事を受け止められたらしい龍馬が少し考えながら言った。
「その時点ではロンの書き込みが原因だと決まってないだろ?」
「そうだね、でも…家に帰ってSNSを開いたら友人Aからのメッセージが届いてたんだ。『そんなに俺とが嫌なら俺が消えればいいんだろ?望み通り消えてやるよ』ってね。後から聞いた話によると、家の方で親や兄弟達の言い争いの仲介役をしていたらしく、それで心身共に疲れきっていて…そんな状態だったのに、僕の書き込みを見つけてしまい…。」
「…。」
何度も口を開いては閉じてを繰り返して、必死に答えようとしている龍馬を見て、中学生にするような話じゃなかったなと思った僕は、
「ごめん…こんな話反応に困るよね。でも、僕の後悔を誰でもいいから話したかったんだ。」
急いで謝った。龍馬は呆れたように笑いながら、
「無理矢理連れてきたくせに謝るなよ。そりゃ友人が…自殺したなんて聞いて反応に困らないやつは居ないし、そもそもそんな話をした所で友人Aが生き返る事はないけど、俺なんかが話を聞くだけでロンの後悔を少しでも減らせたのなら構わない。」
微笑んでいた。そんな顔を見ながらふと、
(そういや、高校入学してすぐに黎斗から、他人に気を使いすぎだって言われて小突かれてたっけな…)と懐かしい過去を思い出した。涙腺が緩みそうになったが、なんとか堪えつつ…
「ありがと……。」
一言、お礼を伝えた。
「さっき…。」
お礼の後の言葉について質問される前に僕は、
「よし、そろそろ時間だね。」
時間を確認するフリをしながら言った。龍馬がきょとんと首を傾げながらこちらを見てくる。
「もうすぐ僕達はそれぞれの帰るべき場所に帰る時間なんだよ。だって、僕は後悔していたこと全部君に伝えられて満足したからね。」
(丁度夢から覚めるとこで良かった…。これ以上ここに居たら話してはいけない未来の事まで話しそうだったから。)
「へ?」
間抜けな顔で変な声を出した龍馬を見て、笑いそうになるのを堪えながら、
(このまま同い年ぐらいだとか思われたままじゃなんか嫌だからな…。)
そう思った僕は、
「そういや、君が勘違いしていそうだから一言言っておくと、僕…君より一回り以上年上だからね?」
全く関係の無いことを言った。
「えっ?急に何…はぁ?!年上!?」
龍馬が意識が遠のきながらそうになるのを耐えながら言った。
(多分彼はこの辺の会話は覚えていないだろうな…。それにしても、失礼な反応だな。)と苦笑しながら僕は、
「本当にありがとね、龍馬君…無理矢理だったけど、俺の話を最後まで聞いてくれて。君はきちんと気持ちを直接伝えろよ。」
龍馬が夢から覚めたらしく、周囲が完全に真っ黒になる前に僕は、元の時代へと戻るため、薄れゆく意識を手放した。
ーーー20XX年とある病室ーーー
「これでもう後悔はないのか?龍馬君。」
僕の担当医であり、過去の自分の夢にタイムスリップする機械を作った科学者でもある男が尋ねた。僕は、
「もうないよ。これであの世界の黎斗が自殺する事ないと思うから。黎斗が居てくれるならあっちの僕…いや、俺は、多少の苦難はあるだろうけど、一生悔やむ事なんて起こらず…人生を楽しめるはずだからね。」
男は何を言うべきか思案しているようだったが、こう言った。
「そう信じているのならそれでいい。それで?君はこれからどうするんだい??病に侵され、背は縮み、髪が真っ白になった君は?」
「そうだね…。僕はもう永くなさそうだし、自由気ままに外の世界を散歩してその日を待つよ。今まで僕のワガママに付き合ってくれてありがとね。さようなら。」
僕は名も知らぬ科学者と別れ、そのまま病院を出た。久しぶりの太陽の光はとても眩しかった。昔と比べ、綺麗に舗装されている川の土手に座り込み、そのまましばらく水面を眺めていると…どこか遠い所から
『ロン、君のおかげで俺は友を失わずに済んだ。ありがとな…。』
そう聞こえた気がした。僕は、届く事は無いだろうと思いつつ…
「こちらこそ、(そっちの世界の)友を救ってくれてありがとう。」
素直に礼を言った。
(まぁ、あっちの世界で黎斗が生きていても、こっちの世界では死んだままだからね…。もう1度会いたかったな…。)
嬉しいけど悲しい複雑な感情をどうやって落ち着かせようか考えていると、突然背後から靴音が聞こえた。ビックリして振り返ってみると、彼が微笑んでいた。
僕は泣きながら笑った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます┏○ペコ
タイトルが、龍馬目線の話が「君が変えた未来」で、今回のロン目線の話が「僕が変えられなかった過去」ですが、本来なら逆にしようと思ってましたw
けれど、龍馬目線の方ではロンとは違い…黎斗が生きていて、「君=過去の龍馬が」「変えた未来=黎斗が自殺すること無く生きていてくれている」と言う意味を…。
逆に、ロン目線では黎斗が高校生で自殺し…それをロンがずっと後悔し続け、最終的にタイムスリップして…過去の自分に後悔させないよう「僕=ロン」が「変えられなかった=どんなに嘘だと思っても」「過去=変わることの無い黎斗の自殺」と言う意味で付けてます。
最後に、ロンが振り向いた先にいるのは一体誰だったんでしょうか??




