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一期一会  作者: 綿花音和
9/9

一期一会

「守口、元気か?」

 と南君に尋ねられる夢をまた観た。夢の中での出来事なのだが、懐かしく切ない。

 私はいつの間にか南君に恋愛感情を持っていた。



 勉強が出来るようになり、弁もたつようになった私は五年生になる頃にはクラスに居場所がそれなりに出来ていて、仲間はずれにされることもなくなっていた。

  それでもまだ足りないところはあっただろうが、会話が出来る人が増えたことが単純に嬉しかった。


 ところが、父の転勤が決まり五年生の終わりには転校が決まってしまった。


 藤棚小学校で出会った、優しく強い人、弱く悲しみを心の奥に持った人。もっと仲良くなりたかった人々。

 私を目覚めさせてくれた一つ一つの出逢い。どれが欠けても今の私にはならなかった。



 大人になり遠い場所で壁に当たりながらも、仲間はずれにされることもなく自分の居場所で仕事をしている。

 たまに古い映画のようにぼんやりとみんなのことを思い出すことがある。


 最後の登校日、皆少し優しくて涙が出てきた。ついでに鼻水も。私を育ててくれた大切な人と場所。


 一期一会。どんな人やものでも必ず接した相手に影響を多かれ少なかれ与えている。それは、傷跡であり気づきでもある。

 二度と逢うことがない人もいる。逆にSNSなどで偶然再会することが出来る場合もある。

 素敵で不思議な世の中。

 でも、一生に会える人の数は限られている。その出会いを大切にしていきたい。そして出来るなら、誰かのその日の天使になりたいと思っている。


 生きていればまたすれ違うこともある。

 それはいつかわからないから、自分を励まして進んでいく。








最後まで読んで下さって本当にありがとうございました。

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